ジャンクフードを無理矢理お食べ下さい。:1002文字

「クソマジィですわ!」
そういってお嬢様は床にカレーメシを叩きつけた。
目測だが時速70kmは出ていた。
おかしいな。
アニメ見たのだと、喜んでたんだけどな。
「インスタントはお気に召さない感じか?」
問いに対して、一呼吸置く間もなく、
「当たり前ですわ!カレーは一流シェフが一流の食材を使うのに限りますの!」
言い切るお嬢様。
しかしここで狼狽える俺ではない。
勉強机の下に隠しておいた、ジャンクフードを取り出す。
お嬢様は目をまん丸にする
「これなんですの?」
期待通りの反応だ。
「ハンバーガーって知ってるか」
お嬢様は得意げに仰け反って、目を閉じた。
「当たり前ですわ!ハンバーガーとは、牛肉のパティをバンズと呼ばれるパンに挟んだ食べ物ですわ!」
物分かりの悪さに唖然とする。
呆れながらも質問を付け足した。
「ハンバーガー、食べた事あるか」
そうするとお嬢様は目を開け、視線を上下に指をこね始めた。
「まぁ食べた事あると言えば無いような…無いと言えば無いような…」
少しずつ声のトーンも音量も落ちていくお嬢様。
期待通りの展開だ。
「これ開けて見て」
俺は見慣れきった紙に包まるハンバーガーを渡す。
「中にプレゼントでも入っているんでしょう?にしては余りに紙のセンスがないですわね。まぁ庶民の限界はこんなもので」
煽り続ける言葉はハンバーガーの出現と共に途切れた。
こうなればしめたものである。
あとはハンバーガーの旨さに感激して
「汚ったねぇですわ!」
ハンバーガーが床に叩きつけられ、トマトやレタスが破片になり小さな俺の部屋に飛び散る。
目測では時速60キロは出ている。
「飯を紙に包むとかどんな神経してますの!不潔極まり無いですわ!」
目を光らせて、口から煙を上げながら捲し立てるお嬢様。
失敗か。
俺はゆっくりと立ち上がりお嬢様の後ろに回る。
「なに近付いてるんですの!下劣な下民が!」
長いブロンドの髪をかき分けて、首にある停止ボタンを押す。
電子レンジみたいな音が首から鳴って、口からは何も聞こえなくなった。
ポケットからマイナスドライバーを取り出してこめかみにあるネジを外していく。
この作業も、もう慣れたものだ。
ブツブツと、配線は間違ってないか声出し確認をする。
どこにも不備は無い。
もっと基礎的な所で間違っているのかも知れない。
携帯に保存してある『アニメで分かる!初めてのお嬢様ロボットの作り方!!!』を再生する。
腕の力が異様に強かったのはどこが原因だろうか。

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