りんご:もう、丸葉台は植えない。
春は苗木を植える時期。
当方では、大きな改植をせず、基本的には補植(抜かしたところに苗木を植える)形で、少しずつ園地の若返りをはかっています。
昔ながらの園地なので、整列された園地でもなく、いろいろな品種が混在しています。
すべて抜いて新しく園地を作れば、整った畑にはなるのでしょうが、
収穫しつつ園地を作っていかなければならないので、
少しずつ補植しながら更新しています。
近年までは、昔ながらのりんごの木の形になる「丸葉台」を植えていました。
りんごがなるまでに時間はかかりますが、ある意味「枯れた技術」の丸葉台での生産は、今の作業に組み込みやすく、大きな運用変更もありません。
ただし、「丸葉台」の弱点は、りんごがなるまでに時間がかかること。
近年の「定番よりもより良い新品種が求められる」という流れの中では、
この「なるまでに時間がかかる」というのは、大きなデメリットとなります。
またもう一つのデメリットとして、冬期に行う整枝剪定が、テクニカルすぎること。
30年やっている農家さんでも「まだまだ未熟」と満足しない技術。
謙遜して言っているのかもしれませんが、経済農業で考えると、そこまで人的技術を要するものは、デメリット要素でしかありません。
農業以外の通常の仕事(職人仕事以外)では、おおよそ5年ぐらいで、一通りの仕事ができるようになるものです。
「5年だとまだまだ新人」
と、当然のように思っていても駄目ですし、仕事を回せないような高度な技術を要さなければいけないのは、この人の足りない農業界では、見直すべきポイントだと思います。
ですので、高度な職人技術を要する「丸葉台」を植えるのをやめます(やめました)。
その代わりに、今後は丸葉+わい化のハイブリット台木を使った苗木を植えてきます。
技術的には今までの丸葉台のように作れるし、かつりんごがなるのが早い。
園地を大規模に改植する必要もない。
ゆるやかに園地を更新していくにはちょうどよい台木かな、と。
品種によっては、一部わい化も植えてはいます。
(ただ、整列して植えているわけではありません)
大規模農園経営ではないので、自分たちがやれる方法をなるべくリスクなく、進めていきたいなと思っています。
人のスキルだけに頼らず、働く人が仕事を覚えやすい、新しく始めた人でも数年で回せる園地となるように。
「難しい、大変、稼げない」から脱却した農業を目指していきたいと思います。
(正直な話、大変だけど、稼げないわけではないですよ)
今日はここまで。
少しでも農業に興味を持っていただければ幸いです。
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