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建築CAD検定試験とは?初心者でも合格できる?

こんにちは、アップルビートルです。

CADの講師をしています。

これからCADをはじめてみたいと思っている人に、建築CAD検定試験という資格についてお伝えしたいと思います。

建築CAD検定試験というのは「一般社団法人 全国建築CAD連盟」という民間団体が主催する試験です。

建築CAD検定試験の種類

准1級、2級、准2級、3級、4級の5種類があります。

このうち、准2級は今年の10月から新しくできた級で、
それまでは、准2級を除く4種類で試験が行われていました。

今回は、一番挑戦しやすい3級について簡単に説明します

3級の試験で問われることは、主にこの2つです。

建築CADの製図について理解しているか
CADの基本的な操作を習得しているか

受験資格について、規定はありません。

試験の実施は年に4回あります。
4月、7月、10月、1月の4回となっていますが、このうち7月と1月は団体受験のみとなっています。
個人で受験する場合は、4月10月の2回です。

試験時間は2時間で、4種類の図面をトレースします。

受験会場は、団体受験は試験認定校で、一般受験は全国にある会場ですが、詳しくは全国建築CAD連盟のウェブサイト等での確認が必要です。

開場にあるパソコンやCADソフトでの受験、パソコンの持ち込み受験共にOKです。
CADソフトの指定も特にありません。

受験料は10,500円で、申し込みには証明写真が必要です。

記載した内容については、
「建築CAD検定試験公式ガイドブック」に詳しく掲載されています。

出典 建築CAD検定試験 公式ガイドブック
監修 一般社団法人 全国建築CAD連盟 
発行所 株式会社 エクスナレッジ

さて、この建築CAD検定試験なんですが、受験者にとってとても良心的な試験だというポイントがあります。

通常の試験ですと、テキスト類の持ち込みはNGのことが多いですが、
なんと、この試験はテキストや操作方法が描いたメモ、ガイドブックなど、持ち込みしても良いのです。

もし、途中でうっかり操作方法を忘れてしまっていても、持ち込んだ資料を見て解答をしても失格にはなりません。

持ち込み可能って、とても心強いですよね。

以前、勤務先の学校で団体受験の試験監督をしたことがあったのですが、
その時の試験問題には、あまり頻繁に出題されない「多角形」を描く問題が出題されました。

学生たちの多くは多角形の描き方を忘れてしまっている様子で四苦八苦しています。

多角形を描く操作方法を覚えていれば1分もかからずに描ける形を線分コマンドと角度を使って一生懸命に描いています。

授業の時に何度も教えたし、試験の時には授業のノートも見ていいって言ったのに、どうして持ってこなかったの?と、私は心の中で悔しい思いをしました。

もし、受験する場合は、自信があってもなくても、お守りとして、テキストや資料、持って行ってください。

見てもカンニングにはなりません。

筆記用具はもちろん、電卓や定規、使い慣れたキーボードやマウスも持ち込んで大丈夫です。

2時間以内で仕上げる4枚の図面は、以下の4種類です。

A 階段平面図

B 通り芯・寸法・通り芯記号

C 柱・壁・間仕切壁

D 壁と窓

種類は4種類ですが、配布される図面の数は8枚です。

各図面ごとに「参考図」と「完成図」という図面があり、受験者は「参考図」に描いてある寸法を読みとり、「完成図」と同じ図面を描きます。

4種類の図面のうち、どれか一つでも合格点に届かない場合は不合格となってしまいます。

合格する為にはどんなことをしたら良いか

これは、どんな実技試験でもそうですが、とにかくトレーニングです。
枚数を描けば、必ず描けるようになります。

とはいえ、最短時間で最高の結果を出したいですよね。

もし、実務でCADの操作をしていれば良いけれど、初心者の方が一から操作をを覚えて、受験したいと思った場合、次のような練習をしてみてください。

1,使っているCADソフトの基本操作を覚える
2.図面を読む練習をする。
3.過去問題を描く
4.同じ過去問題を繰り返し描く
5.ある程度、描けるようになったら時間を図って1枚30分以内で描けるように練習する

あ、結局トレーニングってことになってしまいますね。

それから
6.間違い探しの練習をする。これはよくある右の絵を左の絵で違うところはどこですか?というようなあれです。図面を描き終わったときに、ミスが無いか探すことができるようになります。

7.もう全然図面が読めない!と悩んだら、図形の性質について描いてある本などを読むと良いですよ!三角形の定義とか中点連結定理とか、中学校などで習った内容を復習すると少し図形がわかるようになります。

この3級の試験は、本当に基本的な操作で描けます。難しいコマンドをわざわざ覚えなくてもなんどか描けるようになっています。

だから1の基本操作を覚えるってことに関していえば、練習すればするほど覚えらます。

5のスピードに関しては、少しテクニックが必要です。

CADのソフトにもよりますが、おそらく早く描けるようなショートカットコマンドがあるはずです。基本操作を覚えたら、ショートカットコマンドで操作をすると格段にスピードアップします。

例えば、よく使われているJW-CADでしたらクロックメニュー、AutoCADでしたらエイリアスなどです。

最初からショートカットコマンドで覚えられる人はそれでも良いと思います。私は授業で操作を教える時は、最初はアイコンからの操作、ある程度覚えてから「実はこうするともっと速く描けるよ」とショートカットを教えています。

一番やっかいなのは、「読図」図面を読むということです。
これが一番難しいのでは無いでしょうか?

CADを使い始める前の人生で、たくさん絵を描いてきたとか、幾何学が好きだったとか、そういった方はたぶん、わりとすぐに読めるようになります。

今までたくさんの学生さんを見てきたのですが、絵を描くのが苦手だったり、数学に拒否反応がある方は習得に少し時間がかかっているようです。

だけど、そんな方もあきらめずにコツコツ続けていれば、1回目の受験で不合格でも2回目で合格できたって人がたくさんいます。

建築CAD検定試験3級は、CADの操作ができる、図面が読めるという証明になります。
名前に「建築」とついてはいますが、それ以外の分野への就職の時にも「CADを使える」という証明になります。

絵を描くのが好き、ものづくりに興味がある、ハンドメイドで使う型紙を作りたい、
DIYでフェンスを作りたい、いずれは3Dプリンタで何か作れるようになりたい

「何か作ってみたい」という思いがある方は、ぜひCADの操作を体験してみてください。

もちろん、就職や転職のときに履歴書に書けます。これも大きな強みです。建設業、製造業、不動産業、電気工事など他にもいろいろな分野で図や形を正確に描く機会がたくさんあります。どの産業でも使う機会があるはず。

スキルアップ、リスキリング、新しいことに挑戦したいなと思ったら、CADを選択肢に入れてみてはいかがでしょうか?

きっと作りたい物がどんどん増えて世界が広がりますよ。


全国建築CAD連盟のウェブサイト


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