Trauben Liebe und Zeit Sonne No4 (2013) / Wein & Sektmanufaktur Strohmeier
<タイプ>
オレンジ
<生産者>
Wein & Sektmanufaktur Strohmeier
<品種>
ソーヴィニヨン・ブラン 100%
<産地>
オーストリア・ Steirerland
<価格帯>
8500円前後
<コメント>
5日に分けて6日間で飲みました。オーストリアの自然派、好きな品種、オレンジ、と気になる要素が揃っていたワインなので選びました。
開けた瞬間は硫黄やトイレ的な感じの還元香がありましたが、グラスに注ぐとそれらは飛びます。色は薄めの琥珀色で、赤みはあまり感じられません。香りや味わいは閉じている感じで、以前別のオレンジワイン(Rebula Prilo 2009 / Kmetija Štekar)でも感じた、ロウソクのような曇った印象がありました。花梨のような果実感も感じられ、閉じているながらにまあまあのボリューム。温度が上がると蜂蜜のような甘やかな香りも出てきます。ボディはこの時点ではかなり軽い印象で、酸も渋みも甘みもあまりない空洞のような印象。相当にドライです。ただ、余韻は非常に長く、柑橘、特にグレープフルーツのような青みのある柑橘感が長く続き、最後の方には少し豆のような余韻もありました。少しおいて2-3時間経つと味わいにはじんわりと甘みが出てきます。余韻は品種由来か青い印象でバナナやメロンを感じます。一回しぼんでから再度盛り返すような力強い余韻で、特筆すべきものだと思います。6時間ほど経つと還元香の印象はなくなり、香りからは甘やかな蜜、花梨の果実味に熟れきったトマトのニュアンスを感じました。味わいはかなり開いてきた印象で、酸味が前に出てるとともにエキスの多さを感じます。余韻にはバニラなども感じますが、あくまでも爽やかな印象。アルコールは一切感じない点もRebula Prilo 2009に近しいものを感じます。
2日目。香りは相変わらずボリュームがあり、杏や煮詰めた花梨、洋梨。甘みや旨味が十分に感じられ、果実感と味わいのバランスがよいです。
3日目になっても香りは衰えず、むしろどんどん華やかになる印象。ただ、甘ったるい感じではなく、あくまでも冷涼感やエレガントさがある気がします。味わいもこの日が一番複雑で、品種由来と思われる青み、白胡椒や、針葉樹のニュアンス、塩味や旨味、ミネラルが感じられました。
1日空いて5日目もあまり変わりませんが、果実味は徐々に衰えていき、醤油や木材、スパイスのニュアンスが強くなっています。また、瓶の底に差し掛かってきたので、澱の影響か甘くない生搾りジュースのようなとろみや旨味があります。
最後の6日目は流石に果実味は衰えて、旨味が残る薄ウマ系の味わいに。おそらく酸化によると思われる鉛筆や醤油のニュアンスが強くさすがに下り坂ではあると思いますが、とろみがあって洋梨感が強く、これはこれで、と言う感じでした。
<感想>
非常にドライで香りも華やか、エレガントですが、自然に染み入る優しさもある、と言うことで、品種や国は違いますが、Rebula Prilo 2009 / Kmetija Štekarにかなり似た印象を受けました。ただ、こちらの方が表情の変化が複雑で繊細、かつ難しいワインだなと言う印象。また品種由来なのか先入観なのかは不明ですが、少し青みがあるように感じられる点も差でしょうか。また、一度落ち着いてから盛り返すように感じた余韻は特筆でした。
食事との相性という意味ではシェーブルチーズや辛くないエスニックとの相性は非常によく感じましたし、中華などもいけそうで、以外と幅広い活躍が期待できるのではないかと思います。
開栓直後は明らかに閉じており、何日かおきながら変化を楽しむワインのようで、個人的には2-3日目がピーク。いずれにしろ開栓直後、特に温度が低い状態は全くポテンシャルを発揮していなかったので、ゆっくり飲むべきワインです。ちなみに、コルクシール代わりの紙の裏面にも高めの温度(失念してしまいましたが具体的な温度が記載されていました)と大ぶりのブルゴーニュグラスで飲んで欲しい、と書いてあります。
飲み頃が難しいワインに感じましたが、もし瓶内でこのまま10年単位で熟成を進めるとどうなるのかも気になるところです。乏しい経験値で語るのもあれですが、少し置いた程度ではあまり変化しない強さもありそうですが....。
新しいヴィンテージは1万円の大台に差し掛かる金額で、コスパという意味ではあまりよろしくないワインですが、とても面白いワインでした。
<得点>
80点