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何気ない会話

駅でピアノを弾いていると、いろんな感情が揺すぶられる。

お一人2曲まで、とあるし、だれも待っている気配がなかったから、「よしもう一度、今度はもうちょっとちゃんと弾けると良いな」と、アナ雪のInto the unknown に再挑戦してみた。自分なりに悦に入って弾いていたところ、「まだ弾くんですか?今会議しているんですよ」と遮られたことがあって、顔から火が噴きそうなくらい恥ずかしかった。

家に帰って子どもに話すと、「そんなところで会議しているほうがあかんねん。気にせんとき。ママは悪くない。」と言われて、なんとか私の脆弱な精神は正常に軌道修正した。

周りに弾きたそうな人が待っていないか、が私の2曲目を弾くか弾かないかのチェックポイントだったので、そばでオンライン会議をしている人は盲点だった。

また、あるときは、待っている人がいるから、これを弾いたら終わりだな、と思い、足早に立ち去ろうとすると、「その曲、なんていう曲ですか?」と聞かれた。定年退職をしてからピアノを習い始めた男性の方だった。そういう出会いは、なんだかとても嬉しい。

お一人2曲まで、とあるけど、ずっと遊びながら弾いている人がいて、弾きたい小学生の男の子が待っている様子なのに、ずっとやめる気配がないから、私は勇気を出して、「すいません、お一人2曲まで、って書いているんですけど。待っていらっしゃる方、いますよ。」と声をかけたこともあった。

その男の子は、もうすぐコンクールがあると言っていた。

男の子のお母さんに「ありがとうございます。」と言われたことから情報交換は始まった。

実は自分の娘もその次に弾きたかったから、声をかけたのではあるが。

他の教室の同世代の子がどんな演奏をするのか、いろんな勉強ができる場所だなと思った。

お互い、頑張ろうね、と言って別れた。

そこにピアノがなかったら、何の話すきっかけもないいろんな出会い。

そして、自分の気持ち。

粋な計らいに、日々、「ありがとう」って思う。

その出会いで、意気消沈しようと、高揚しようと。

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