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完全に分かち合うより…

写真はオトンと亡きオカンである。

日本海だ。

蟹を食べに行った。

姉と私を含め、最後の家族旅行だった。

(兄はすでに結婚していたのでいなかったのがとても残念…)



父と母は本当に仲が良かった。
いつも腕を組んで歩いていた。


父は本当に母を愛していた。


葬儀の最後で、
人前で話すことがすごく苦手な父が、
母へのあたたかい愛に溢れた挨拶をし、

「わたしには、もったいない人でした…」

と、くるりと参列者に背を向け、

「ヨシコ、ありがとう」

と、すごく力のこもった声で、母の遺影に向かって涙を流しながら深々と頭を下げた。


多くの参列者が涙を流していた。

「あんな風に言ってもらえるなんて、お母さんは本当に幸せだね。」

と、あとからいろんな人に言われた。



なぜわたしはこんなことを思い出し、この写真を引っ張り出してきたのか。


それはこの歌だった。


この曲のオリジナルを歌う「ヒゲダン」というグループは聞いたことはあり、すごく人気らしいけれど、日本にいないわたしは日本のアーティストに疎くて曲を聴いたことがなかった。

でもHighTさんのカバーから、この曲がすごく好きになり、ほかの曲も色々聴いてみるキッカケとなった。こういうキッカケってありがたい。


この曲の中で、好きな歌詞の一部。

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「高まる愛の中 変わる心情の中
燦然と輝く姿は

まるで水槽の中に 飛び込んで溶けた
絵の具みたいな イレギュラー

独りじゃ何ひとつ 気付けなかっただろう
こんなに鮮やかな色彩に」


「レプリカばかりが飾られた銀河
カーテンで作られた暗闇

嘆く人も居ない 鼠色の街の中で
I Loveその証を抱き締めて

喜びも悲しみも句読点のない想いも
完全に分かち合うより
曖昧に悩みながらも 認め合えたなら

重なる愛の中 濁った感情の中
瞬きの僅かその合間に

君がくれたプレゼントはこの
やけに優しい世界だ」


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いい。いい。すき。


特に、

「レプリカばかりが飾られた銀河
カーテンで作られた暗闇」

と、

「喜びも悲しみも句読点のない想いも
完全に分かち合うより
曖昧に悩みながらも 認め合えたなら
重なる愛の中 濁った感情の中」

と、

「君がくれたプレゼントはこの
やけに優しい世界だ」

というところがすごくすき。



『完全に分かち合うより
曖昧に悩みながらも 認め合えたなら』

って、わたしが好きなNVCと逆かもしれないけど、 そこがまたすごくいい。

だって、どっちもすごく大事にしたいから。



なぜかこの曲を聴いていて、父と母のこの写真がフッと浮かんだんだよね。

でもなぜなのかは、わからない。

ただ、今一度聴いてみると、まさに父にとってこの曲の相手が母のように感じた。そう思いながら、もう一度聴いてみると泣けてくるのである。

毎日一人で誰とも会話せずに、お惣菜ばかりを食べ、芸能人のゴシップを生きる力にして、テレビの前に一日中座っている父の姿を想うと…


胸が張り裂けそうになる…


「ヨシコがくれたプレゼントはこの
やけに優しい世界だ」

そう、父が思い出せる日が、

いつか必ず来る、

そう願って…

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Mind Yoga Miyuki
循環が循環を生むのがすきです。サポートしたいただいた循環を、文字で循環していきます♡