第四章 感情を見極め、表現する①
NVCの本に沿って書いていくシリーズ第九回目。
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NVCとは、思いやりを持ち、お互いが大切にされて、心の底から自然に相手に何かをしたくなる関係性。
第三章では、
「観察」と「評価」を混ぜない、切り離すこと。
について書きました。
では今日から、NVCの4つのプロセスの二つ目【感情】に入っていきたいと思います。
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わたしたちは、自分の内側に起っている感情を自覚する方法を知らず、それを表現する方法も知らない。多くの人たちにとって、それはとても難しいことである。
それは、わたしたちは今まで、
「あなたはどう感じているの?どんな気持ち?」
と、感情にフォーカスして聞かれたことがほとんどなかったから。
そして、そんな風に聞かれたとしても、
「わたしはあの人がやっていることは間違っていると思います。」
と、感情を表現するのではなく、意見を述べる答え方しかできない。
例えば、
Aさんのルームメイトは大音量で音楽を聴くので、Aさんは眠れないと言った。
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「そのとき、Aさんはどう感じるのですか?」
「夜にそんな大音量で音楽を聴くのは、間違っていると感じています。」
「【〜と感じている】これは感情を表現しているのではなく、意見を述べています。その時のあなたの感情は?どんな気持ちになるのですか?」
「そんな行動をする人は、人として問題があると感じます。」
「それも感情ではなく、意見です。」
「んー、このことに関してわたしはなにも感情なんてありませんよ!」
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でも、明らかにAさんは、ルームメイトが音楽を大音量で流して眠れないという出来事に関して、なにかしらの強い感情を抱いている。
でもそれを表現できない。
そんな風に今まで誰も問いかけてきてくれなかったから。
感情は重要視されてこなかったから。
価値が置かれていたのは、
「正しい考え方」
であった。
しかもその「正しい考え方」というのは、
地位と権威のある人たちによって定められたもの。
わたしたちは、
自分自身の内側に気づくことよりも、
「他人の顔色をうかがう」
ように訓練されてきた。
「頭に意識を向け」、
「周りの人たちは、ここでわたしが何をいうべきだと思っているんだろう?」
と、考えることを学んできた。
マーシャルのワークショップにやってきたご夫婦の話。
妻は、
「わたしの主人は立派な人だけど、彼がなにを感じているのわからない。“壁“と結婚したみたいです。」
という。
そして、それを聞いている夫は、見事に“壁“のように黙り続ける。
妻:「ほら!見てください!いつもこうなんです!一言も喋らない!まるで“壁“と一緒に暮らしてるみたいですよ!」
マーシャルは妻に問いかける。
「あなたは本当は寂しくて、夫ともっと気持ちを通わせたいって望んでいるのですか?」
妻は頷いた。
「壁と結婚しているみたい」と伝えても、夫が彼女の感情や想いに関心を向ける可能性は低くなってしまう。むしろ批判のように受け止められ、妻の想いはますます届かなくなるかもしれない。
また、口にした言葉は現実になることもあるので、「壁のようだ」と言われた夫は、それを自分への批判だと受け止め、傷つき、やる気がなくなり、反応しなくなる。
すると、ますます妻の目には壁のように映るだろう、とマーシャルは伝えた。
マーシャルは、夫婦間だけでなく、大手企業の社内や、医師と経営陣のコミュニケーションの問題などにも関わってきた。
「職場で自分の感情を表現するなんて、とんでもない!」という人たちに何度も何度も遭遇してきた。
それでも、人間らしさをもっと表現するようにしてもらうと、社内のコミュニケーションの問題が解消されていくのを目撃してきたし、
普段は、論理的で合理的・非感情的な態度を貫いている人が、「本当は怖いんだ…」と自分の弱さを打ち明けることで、相手はその弱さを攻撃するどころか、理解を示してくれて、対立が解決していくこともあった。
自分の感情を表現する語彙力を向上させることができたら、家族や友人のような親密な関係はもちろん、職場などの人間関係も大きく変わっていく可能性が広がる。
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【感情】について前半はココまで。
本では「解決」って言葉がちょこちょこ出てくるんだけれども、必ずしも解決をできるわけでもなく、解決するためにNVCを用いるとそこに執着をしてしまうため、うまくいかなくなることもある。
なので、「解決につながる可能性や選択肢が広がる」とわたしは思っているので、できるだけ使わないようにしました。
ちなみに、感情の一覧表はココにあります。
「感情ってこんなにも表現があるの!?」
と、わたしも最初は驚きました。
我慢は美徳、
空気を読め、
感情的になるな、
コントロールしろ、
顔に出すな、
泣くな、
男は怖がるな、
女は感情的でめんどくさい、
お姉ちゃんだから怒るんじゃないの!
もうお兄ちゃんでしょ!泣かないの!
もう◯歳でしょ!我慢しなさい!
そんな言葉を皆さんもたくさん浴びたり、体験したりしながら、今まで生きてきた人たちは多いのではないでしょうか?
喜んで見せても、大したことない、
と言われ一緒に喜んでもらえなかったり、
傷ついていても、クヨクヨすんな、前を向けよ、
と受け止めてもらえなかったり、
自分の感情、この喜びや、悲しみは、意味のないものなのかと感情を感じることを放棄していく…
すると、
感情に蓋をしたり、
見なかったようにしたり、
無理矢理ポジティブな感情にすり替えたり、
感情を出さずに、穏やかで常に前向き人間でいないといけない、それが正しいんだ、って思い込んでいたり。
だから、自分の感情がわからない。
「すごく大事なんだよ」
って誰も教えてきてくれなかったから。
感情の語彙力がない、
言語化できない、わたしたち。
でもこれって身体のどこかに溜まっていく。
どこかを痛めたり、内臓を壊したり、体調を崩す。
身体と心はつながっていて、身体は正直、教えてくれる。
そこにまた目を向けてあげないと、
今度は心が壊れてしまったり。。
だからといって、なにも「全人類、24時間、感情剥き出しで生きていきましょー!」と言っているわけでなくて(笑)、自分でどんな感情がココにあるのかを自覚をして、大切にしてあげる、必要な時にはそれを伝える。
伝えたいけど伝えられない時には、伝えられないことで湧き起こる感情にまた気づいて、感じてあげる。
感情を大事にしてあげること、自分が何を感じているのかを大切にしてあげられるってことって、自分の存在や命を大切にしてあげること、だとわたしは思っています。
この本は、
アメリカのマーシャル・B・ローゼンバーグさんが書いた本なのですが、
「オーベイビー、寂しいよ」
「ハニー、うれしいよ」
「オーノーボーイ、それは残念だ」
といつも表現してそうな(わたしの表現の乏しさに凹む!笑)アメリカ人でも、「感情を重要視されてこなかった」と書いているということは、日本はその何倍も何倍もだと思う。
だから、NVCを日本で伝えるまでに、今の日本人の認定トレーナー5人はこれは日本で受け入れられるのだろうかって悩みに悩んで、この15年ほど諦めずに伝え続けてきてくれた。その苦労はわたしには想像もできない。。感謝しかない。
ということで、
【第四章 感情を見極め、表現する】
の前半をお届けしました。
次回は後半、
「感情と思いを区別する」
を書こうと思います。
では、今日も読んでくださり、ありがとうございます♡
感情に目を向けてみる一日を♡
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このシリーズの有料マガジンの試みについてと、今すぐ何かしらの講座を覗いてみたい、感情の一覧表など、どんなものあるのかを知りたいと思われた方のために、ココに載せています。よかったら下のリンクにも訪れてみてくださいね。
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NVCの創設者マーシャル・B・ローゼンバーグの唯一の日本語に翻訳された本。これを第一章から第十四章までを、わたしの学んできた様々な視点やた…
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