リトリート4日目②【嘆きの奥には…】
みんなが外へ行ったあと、
わたしの周りにはさっきの人たちが
残ってくれた。
わたしはまた色んな言葉を
まとまりなく時系列もバラバラで
勝手に話し始めた。
また話しながら、涙が溢れ、
何度も何度も詰まり、
深呼吸をして…
そして、出てきた言葉たちに驚いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
5年ほど前に
母が亡くなったんです
お風呂上がりに
息子と遊んでいて、
そろそろ寝よかーって立ったときに
バタン!
突然心臓が止まっちゃった…
そして
そのままもう…
二度と…
動かなかった…
二人目ができたら
お世話に行くんだって
パスポートも更新してくれていた
でもパスポート受け取る日に
死んじゃった…
あとから、お兄ちゃんとお姉ちゃんが
取りに行ってくれたけど
「亡くなられた方には渡せません」
って、古いパスポートだけ帰ってきた…
母はいつも明るくて
風邪を引いたところも見たことなくて
しんどい、とか
辛い、とか
言ってるところを見たことがなくて…
強くて、弱いところを見せなかった
でも、もし、母が、
しんどいよ、
本当は苦しいよ、
辛いよ、
助けて…
って、
わたしたちに言えたら
何かできたかもしれない…
そんな母が弱音を吐けない環境や
雰囲気をつくっていた
自分を
わたしは責めた…
葬儀が終わって
すぐに息子の病気が見つかって
大学病院に通う日々
大泣きする息子を託児所に預けて
怖くて運転したくないのに
教習所も通わないといけない
アメリカへの引っ越しの荷物の準備も
一人でして
実家の家事も一気に降りかかってきて
布団から起きてこない父
5年近く経った今でも
洗面所には
母の歯ブラシがあるんです
毎朝、遺骨を抱いて
日向ぼっこしているんです
でもそんな父の背中に
わたしは…
手を当てることもできない…
母の死と向き合うこともできず
アメリカに渡り…
主人は本当に忙しくて
ほとんど家にいない
土日もいない
母のように強く、
気丈に振る舞って
笑顔で生きなきゃ
母もしっかりしなさいって
言ってるはず
弱音なんて吐いちゃダメ
旦那も一人で立ち上げに来て
しんどいんだし
家のことは気にしなくていいよ
家はわたしに任せてって
言ってあげたい
彼を支えるために来たんだから…
でも、
本当は
すごく寂しかった…
不安だった…
辛かった…
苦しかった…
そして
孤独だった…
わたしはそんな寂しさや孤独からくる
ストレス
イライラを…
すべて
わたしは
息子にぶつけてしまった…
小さい
小さい
心に
たくさん
たくさん
たくさんの
言葉の暴力…
たくさん
たくさん
たくさん
傷をつけてしまった…
鍵閉めてわたしは部屋に閉じこもり、
ドアの前で
おかあさぁぁぁぁーーんあけてぇぇーー
と泣き叫ぶ息子の
声を聞きながら
わたしも
おかあさぁぁぁーーん
と空を見上げて泣き叫んだ
ベランダを見て
あぁ…
投げたら解放されるのかも…
なんてことを思ってしまった瞬間があった…
こんなにも愛しているのに…
そんな風に思った自分が
恐ろしくて
こわくて
また自分を責めて…
だから
わたし
今でも息子と向き合うのが
こわいんです…
たくさんたくさん
傷つけたきたから
こわいんです…
お母さん
わたし…
お母さんに会いたいよ…
お母さんって呼びたいよ…
声が聞きたい
お母さんに
会いたいぃぃぃぃぃぃ
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
嘆いた
心の奥底から嘆いた
叫んだ
魂の叫びってこういうことだろうか
わたしの身体は再び硬直して
過呼吸になった。
もう座椅子に座っているのも辛かった
ずっとずっと奥に押し込んで
蓋をして、
見て見ぬ振りして
気づかない振りして、
大丈夫、
強く生きるんだ、
常に前向きでいるんだ、
笑顔で乗り切れるの人が強いんだ
なんて、言い聞かせて
弱音吐いたり、
寂しい・悲しい・しんどいとか言う人を
なに弱音吐いてるねん
しっかりしてよって
冷めた目で見て、
自分の本当の気持ちを置き去りにして、
見て見ぬ振りして、
向き合うこともせず、
ずっと、ずっと、
生きてきた…
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
全部吐ききったときは、
まるで出産のあとのような身体的疲労感と
とてつもない爽快感だった。
「あぁぁぁーーー
出たぁぁぁーーーー…」
と大きなため息と共にそう言った。
すごい塊が、
口から出たような感覚だった。
Yさんがミネラルを飲ませてくれて、
手の甲をさすると、
一本一本が魔法のように動き始めた。
わたしが嘆いている間、
アシスタントのIちゃんが、
ずっとずっとずっとピアノを
何十分も弾き続けてくれていた。
その音は
とても優しく、
あたたかく、
ひとつひとつの音が、
わたしの心と身体に沁み込んでいった。
娘はずっと眉をひそめ
わたしの膝の上にすわり、
心配そうに、
ジィーっと顔を覗き込んでくれ、
時々鼻やおでこを擦り合わせてくれていた。
そうこうしていると、外に行っていた
みなさんが帰ってきた。
外にみんなを連れてっていた
トレーナーのSさんに、
「セッションの続きに
入っていこうと思うんだけど
その前に何かみんなに話せるかな?」
と言われたんだけど、
正直、戸惑った。
すると、ずっと近くにいてくれた
トレーナーのHさんが、
「今は何を話したらいいかも
わからないんじゃないかな?
それにみんなから今は
ポジティブなコメントでも
ネガティブなコメントでも
スッと受け取れないような気がするんだけど、
どう?」
Hさんの言葉は優しくて
本当に有り難くて、
わたしは何も話さず、
何もみなさんから聞かず、
セッションをお休みして
母屋へ移動し、
子供たちと過ごすことにした。
Fさんが、
「一人になりたい?
今はまた色々考えてしまいそうなら、
誰か一緒にいた方がいい?
僕は今一人になるのは、少し心配だなぁ…」
と、おっしゃってくれたのも
すごくありがたかった。
お言葉に甘えて、
FさんとTさん(二人は夫婦)に
一緒に過ごしてもらうことにした。
母屋へ向かうとき、
Sさんがハグしてくれて、
「本当にありがとう。
みんなの学びになったから。
自分を大切にしてね。」
と言ってくれ、
トレーナーのKさんともハグ。
「話してくれてありがとう。
本当に自分を大切にして。
あと、みんなに申し訳ないとか
全く思わなくていいからね。」
他にもアシスタントの人とかにも
「話してくれて、本当にありがとう」
「みゆきさん、ありがとう」
って言ってもらえた。
もう動けないってくらいだったのに、
母屋までは意外としっかり歩けた。
母屋について、ゆったりと過ごす。
「どう?今、どんな気分?」
「あんな経験したことがないので
すごくビックリしたけど、
信じられないくらい今はスッキリしています。
もうあとのセッション全部
出なくてもいいかもってくらいの気持ちです。
でもやっぱりみんなのセッションを半分
潰してしまって申し訳なくて、
ちょっと顔が合わせ辛いです。。」
母屋でボーーーッと子供たちと過ごした。
そして、このあとの、お昼ごはんが、
涙ぐむほど、
美味しかった…
いいなと思ったら応援しよう!
![Mind Yoga Miyuki](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/71753798/profile_ba8eaa911d11795d8e77efd20fff7194.jpeg?width=600&crop=1:1,smart)