ヒーローの出番です
2024/01/31
日記
種々のプリキュアのネタバレを含みます。
ひろがるスカイ!プリキュアが終わった。
放送は28日の日曜日には終わっていた。リアルタイムでの視聴が出来ず、今日録画した最終回を見た。
最終回どころかここ最近はずっと録画を溜めがちだったので、数話まとめて昨日と今日で見終えた。
カイゼリンアンダーグ。
あまりにもビジュアルが良い。
いつも思うのだけれど、"悪役"と分かりやすく記号化するために使われる色使いというものは、大体カッコイイ。
少しだけロリータ趣味をもっていて、甘ロリや姫ロリも可愛いとはいえ私が好きなのはゴスロリだ。
かっこよくてかわいい。
もちろん、パステルカラーのポップな可愛さはいつどんなときだって可愛い。
ゴスロリの黒や赤なんかはシックで落ち着いている一方で、ゴシックの語感から退廃的であったりダークなイメージを持つのは否定できないし、その趣きもあってこその魅力であるとも言える。
それでも、カッコイイだけではなく可愛いのがゴスロリだと思う。
悪役のイメージカラーって大体黒っぽい。
プリキュアの対象年齢を考えたら、登場人物たちは視聴層の幼稚園~小学生がより感情移入しやすく、少し憧れを抱ける年齢である中学生に設定されることが多い。
これに対し、敵幹部というのは異世界人も含めて、ビジュアル的に、或いは精神年齢的に大人であることも度々である。
ダークな雰囲気のお姉さんの方が断然かっこいい。
つまり、私は大体敵女幹部が好きなことが多い。
それは生き様だとかキャラクターとかではなく、単にビジュアルとして。
ポイズニーさん(初代ふたりはプリキュア敵組織紅一点)の妖艶さを忘れてはいけない。
幼女向けの健全な朝アニメとして勿論過度なお色気はNGではあるが、敵幹部なら多少出してもいいのではないかという基準があるように感じられる。
オトナの女に憧れる幼女はどこにでもいる。
別にプリキュアに胸出して色気を出せと言っているんじゃない。
そういう雰囲気を纏う大人ってカッコイイよね!!!!
ただそれだけなのだ。
オトナじゃなくとも、私の好きなGo!プリンセスプリキュアに出てくる、トワイライトは年齢からしたら少女タイプの幹部である。なんせその後プリキュアとして主人公たちの同級生になるのだから。
それでも、トワイライト時代の彼女のビジュアル、空気感、何をとっても最高だった。
キュアスカーレットも高貴で情熱的で素晴らしいが。
トワがタレ目なのを赤いアイライン(シャドウ?)とベネチアンマスクでつり目に見せてるのもまた凄いテクニックだと思う。
しかし、みな"敵"なのだ。
カイゼリンアンダーグもまた、敵のトップだった。
敵役でいるには、あまりにも荷が重すぎる。
彼女はたまたま、暗い国に生まれ落ちたプリンセス。
彼女の父もまた、ただ強くなければ他国に攻められるかもしれないという猜疑に囚われて、強さを誇示することで自国を防衛しようとして(しかしその手段に他国を攻撃している点は見逃してはいけない)いただけの男。
ひろプリのテーマは、ヒーローであること。
ヒーローが救うべき対象は、範囲は、なぜ助けるのか。
例え相手が間違いを犯していた人だとしても、目の前で泣いている人を助けるのに理由はいらない。それがヒーローたらんとする主人公ソラの到達するヒーロー像。
カイゼリンの父=カイザーは愚かにも、スカイランドのプリンセス・エルレインが和平を持ちかけた場においても、猜疑心を消せず丸腰のエルレインに不意打ちを仕掛け、先代のプリキュアでもあるエルレインは止むを得ずプリキュアの力を行使……としたところで、正に体を張って止めに入ったのが他でもないカイゼリンだった。エルレイン=キュアノーブルの父への攻撃を庇い傷を負ったのだ。
ひたすら"力"の行使に明け暮れる父親の姿に疑問を抱きながら、防衛のため"正義の力"を行使する相手国姫に親交をもちかけながら、幼く"力無き"彼女は身を呈して本当の和平を取り付けることに成功した。
どう考えてもプリキュアの素質だ。まだ若く心優しい敵国のお姫様は、出自だけで敵っぽい色合いをしているに過ぎず、完全にプリキュア側の人間としか思えない。この頃はまだプリンセス然としたドレスを着ている。
しかし、その後和平を結び、カイザーも平和を享受し穏やかな生活が訪れると思った敵国の父娘に悲劇が訪れる。
カイザーの側近でありカイゼリンの教育係でもあったスキアヘッド(ダークヘッド)は、強さこそ全てを盲信する男であり、和平には納得出来ていなかった。
そして、カイザーは討たれる。カイゼリンは目の前で、信頼する教育係が、父を殺した場面を目撃したのだ。更には記憶を上書きされ、エルレインが父を突然討ったという偽の情報を植え付けられ、(スカイランド側から見たら)一方的に和平を打ち破り、スキアヘッドだけが頼りであると依存するように仕向けられ、悪の女王として君臨するようになった。
つまり、騙されていた。
父を失い、騙されて親友を裏切り、一番許してはいけない相手に心を許し、300年もの間心を荒ませた結果、見事パンクな悪役ファッションへと生まれ変わった。色合いは昔から変わらないけれど。
どうしてカイゼリンがプリキュアにならないのか。
本当に終盤にしかカイゼリンは出てこないため、ストーリー上カイゼリンがプリキュアになる展開は違うなと思うところもある。
誰も彼もプリキュアになればいいってもんでもない、というのが私の信念だ。これは、Go!プリンセスプリキュアを好きな理由にも通じる。この当たりのこともそのうちまとめたい。
それはそれとして、カイゼリンアンダークは根っからの悪人ではない。ヒーローになれる素質があるからこそ、素体として優秀である(その分闇の力も増幅させられる)とスキアヘッドに目をつけられたのだ(スキアヘッドは乗っ取れる器を探していたが、小物(カイザー)より娘の方がヒーローとしての素質が高くその分堕ちたときのパワーの増幅が見込まれるとして、父を殺し丁寧に丁寧に娘を闇堕ちさせた)。
とはいえ、やったことは消えない。スカイランドやソラシド市を襲撃し幼いプリンセスを誘拐して殺そうとしたのも事実。
それでも、助けられない訳では無いというのがこの番組のテーマだ。
そしてプリキュアの光落ちとは往々にしてそうである。自分の罪との向き合い。そしてやり直し。
十分にプリキュアになれる可能性はあった。和平を受け入れてもらえた父のように。
そしてほぼプリキュアでしょと言える無垢な幼少期から完全にラスボス風になったときまで、カラーリングは一切変わっていない。
(色味が)ダークなプリキュアが生まれていた可能性があったのだ。
カイゼリンアンダーグを私は愛する。
そもそも、初代がブラックなんだからもっと黒系統で敵じゃないプリキュアがいてもいいと思う。
琴爪ゆかりのようなプリキュアがいるのだから性格にクセがあってもいいだろう。
"敵"みたいなプリキュアがいたっていいじゃん。
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