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それはこだわりなのか、理解の問題なのか。はたまた感覚過敏?(事例検討)

さて、タイトルの通りみんなで事例検討をしてみましょう。


1.触覚過敏があるAさんについて。

簡単な情報

30代後半の自閉症の診断を受けている。
お風呂が大好きでシャンプーなどに抵抗はない。
ただ、例えばトイレ後の手洗いなどは極度に嫌う。(とても嫌々指先だけ濡らすイメージ)
お風呂後の塗り薬には抵抗はないがそれ以外の場面での塗り薬は本当に嫌。
塗られた後には自らでしっかり洗い落とす。
土などを触れるのは嫌。
性格は頑固。自分が決めたことはよっぽどのことがない限り曲げない。
知的にも重たいがADLについては概ね自立している。

2.ぴよぴよ時代の自分はどう思っていたか。

「本当に嫌なんだろうな〜」
くらいにしか思っていませんでした。本当に。
恥ずかしい。

3.数年経って生じた疑問。

むむむ。
確かに触覚の過敏があることは間違いなさそうだ。
ただちょっと待てよ。
本当にそれだけなのだろうか?
何か大切なことを見落としてないだろうか?
ふと、そんなことを思う瞬間がありました。

4.ここでもう一度整理してみましょう。

A君の「特性」

・自閉症特有のこだわりがあり強い。(増えていくタイプ)
・逆をいえば本人なりのルーティンが仕上がっている。
・触覚過敏があることはほぼ間違いがない。

A君の「性格」

・頑固。(自分の中でこうと決めたらそれは揺るがない)
・自分が納得しないことは絶対やりたくないタイプ。

A君のこれまで

・恐らく手洗いなど「なぜしなければならないか」ということの理解までは落とし込まれていない。
・生活上必ず必要なこと(お風呂や食事)はこれまでの人生を通して1日の流れとして本人もごく自然に身についている。
・周囲が頑張れば頑張るほど本人の反発が強くなるため良くも悪くもあまり負荷をかけられてこなかった。

5.たどりついた一旦の結論。

「過敏・こだわり・本人が必要性を理解していないことからやりたくない」が「ちょうど1:1:1で混ざり合っている」
別に手洗いにこだわらなくても、目的は清潔保持なんだから除菌おしぼりとか、違う方法を考えれば良いだけであって、それ自体に目くじら立ててもねえ。というのが基本的な自分のスタンスです。
ただ、本当に大切なのはそこじゃない。

6.原因や要因が1つとは限らない。むしろ1つであることの方が少ない。

ように自分は感じています。
障害特性・性格・本人の生育歴・人生の中で獲得してきた経験体験或いはスキル。
こういったことが複雑に混ざりあって強みになったり課題になったりするわけです。
だから私たち支援者は何かを検討するときには「行為に着目しすぎないこと」と「複数の要素から考察する」は絶対に怠ったらいけないわけです。

しかし、ぴよぴよ時代のことを思い返すと本当に恥ずかしいなあ。

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