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捨てるよりも譲りたい

【文字数:約1,000文字】

 空き家になった祖父母の家の片付けが進行中で、先日やっとデカい仏壇を片付けたそうな。

 新たに小型のものを買って実家に引っ越し、たまに線香の匂いが漂っている。

 そんな状況を見ていたら、自分のも片付けようかという気になった。


 かつては部屋だった場所は物置になり、太古のゲーム機やソフトが眠っている。

 昔のレトロゲームをプレイする配信を観るなどしたこともあり、そういえばと思い出したのもきっかけの1つだ。

 ほぼ今はゲームをしないし、小型家電として無料でゴミに出せるとは思う。しかし、いざ手に取ると遊んだ記憶が浮かんできて、砕いて燃やされるだけにするのは心が痛む。

 本であれば売るなり人に譲るなりしているけれど、古いゲーム類は動くかどうかも微妙で、電源が入らなかったら諦めようと決めていた。

 コンセントに給電ケーブルを繋ぎ、祈るような気持ちでスイッチを動かす。

 ピコーン♪

 テーテテテ テーレレ テテテ テーレレレ♪

 なつかしいBGMが流れ出し、夢中で遊んだ記憶が蘇る。

 「ゼルダの伝説」は今も続くシリーズで、舞台が3Dのフィールドになった現在も多くのファンを楽しませている。

 私が手にしていたのは上から視点の2D時代、その末期のタイトルだ。

 今やゲームソフトとして販売されるより、データをDLするのが主流になったけれど、この頃はソフト単体に+αしようとする動きがあった。

 これだとシステムを流用した2つのタイトルが同時発売され、単体では楽しめない要素があった。

 お財布には優しくないし、ゲームメーカーとしてはアイデアの先食いをするようなものだろう。それでも発売したのは利益を得るために思う。

 スマートフォンのゲームが収益を上げられるのは、追加のEPやアイテムをプレイヤーが購入するからで、代わりに始めるのを無料にしている。

 売り切りだとメーカーとしては純粋な利益がソフトだけで、それは本の販売と近い。だからこそ、時代が進んで開発費が増えるほど難しくなるのは必然だった。

 

 そんなことを考えながら動作をチェックして売りに出し、人気タイトルらしく買い手がついた。しかも結構な高値だ。

 ゴミになるはずのものがお金になったのはもちろん、まだ価値があると思われたのが嬉しい。これが延命に過ぎず、やがてはゴミになるとしても。

 こんな感じだから片付けが終わるのは、いったいいつになるのやら。

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りんどん
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