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梅鉢という仙台のゲストハウスに1人で3泊した話

学校を卒業し会社に入社する前のブランク期間に卒業旅行をする人は多いですが、私も例に漏れずキャリーケースを引きづり行ったことのない場所へ赴きました。書いている今から4年と7ヶ月も前になる2018年3月のことです。
友達とフィリピンのセブ島で卒業旅行らしい旅行をした他、どういう心情からかは今では思い出すことが難しいですが1人で仙台への旅行もしました。なぜ仙台だったのか正確なところは分かりませんが、パッと思いついたからとかそんな理由だと思います。

バイトする余裕もなかった大学院時代後期は当然お金もないので、移動は新宿から出ている高速バスを利用しました。当時はまだバスタ新宿はできていなかったんじゃないかな。
宿泊先は同様の理由から、安く泊まれるゲストハウスを選択。
Airbnbを初めて使ったのもこの時で今でも履歴が残っています。

「梅鉢」という仙台市郊外にあるゲストハウスを利用し、そこで唯一無二な体験ができたので備忘録がてら書きたいと思います。
その場所の印象があまりにも良かったため、その後いくつかゲストハウスを利用しましたが、私が知る「ゲストハウス」に出会えることはなく、あの場所は特殊な場所だったのだと思い知ることとなりました。


仙台駅からローカルバスにて最寄りのバス停に向かい、そこから徒歩間もないところにそのゲストハウスはありました。
迎え入れてくれたのは経営している素敵なご夫妻と2名のスタッフの方。
ジムのインストラクターのようにフレンドリーに接してくれて、これがホテルや民宿とは違うゲストハウスという場所なんだと思いました。
ドミトリーやシャワー、洗濯機など簡単に中を案内していただいた後は、一応旅行ということで松島の方に観光に行きました。松島周辺で思い出せることは、散歩している中で見つけたアトリエで芸術家の人になかなか解放してもらえなかったこととトンビにパンを奪われている人の姿をみて少しニヤけたことくらいです。

松島や ああ松島や 松島や

僕も同じ感想でした。
松島だ あれ松島か? 松島だわ
みたいなものですよね。

ゲストハウスに戻ると、スタッフさんとお客さんがテーブルについて談笑している姿が目に入りました。成り行きから私もその一席にお邪魔して会話に混ぜていただくことに。

ゲストハウスに泊まる人たちとはどんな人たちだと思いますか。
ヒッチハイクの旅をしている女学生、仕事で仙台に来ているカッコいいフリーランスのカメラマン、梅鉢が好きでその年5回目の宿泊だという韓国人(信じられないくらい日本語が堪能)、営業でこの辺に来たマッチョでハンサムな中国人(片手に黒龍:日本酒)、その他リピーターのお客さん、僕と似た境遇の大学生などなど。ユニークな人たちと出会うことができました。

ここでは夕飯やお酒もいただくことができて、そんな人たちと談笑し飲み会をしました。更にすごいことに、近所の人がこの場所にフラッとやってきて一緒に飲み会に混ざるのです。
閉鎖的とは正反対の空間がそこにはあり大きな衝撃を受けました。
ちなみに夕食はお魚の煮付け的な何かをいただいたのですが、信じられないくらい美味しかったです。
当時は一律700円で食べられたのですが、今思うと食材費は払った額を超えていたのではないかという気がします。

話は盛り上がり、次の日には宿泊客+スタッフさん+地元のお兄さんで塩釜仲卸市場というところにご飯を食べに行くことになりました。
スタッフさんはバイク移動で、後ろには常連の韓国から来たお客さんが乗り
私他数名は地元のお兄さんが車を出してくれて、その車で移動することになりました。
まあまあの大所帯で7名くらいだったと思います。そしてほとんどの人がお互いに昨日初めて会った仲です。

塩釜仲卸市場では、丼のごはんを買って市場で買ったものを自分で好きなように盛り付けてオリジナル丼を食べました。みんなで食べたいものをパックで買って分け合って作るのですが、人数が多いので種類の豊富な丼ができた記憶があります。

普通に暮らしていたらまず会うことができないような人たちと会って、宿泊客同士で話して、その人たちと観光して。
これは本当に唯一無二の体験で、その経験をもう一度味わいたいとその後いくつかゲストハウスを巡るも、どこを探してもあの空間はありませんでした。

楽しかった思い出のほか、事件にも遭遇しました。
3日目最後の宿泊の時、同じように飲み会が開催され盛り上がるゲストハウスでしたが、私は少し旅の疲れもあり早めに離脱して就寝しました。

夜中の3時ごろでしょうか。大きな水の音で目を覚ましました。最初は雨かと思いましたが、音は鮮明に、そして近くから聞こえます。
起き上がってみると、ベッド脇には窓の外の光でうっすらと照らされた人影がありました。なんとそのお方は部屋の中で体のどこかから何らかの液体を放出していたのです。
あまりの衝撃に声を上げることもできず、ハッと冷静になってLINEを交換していたスタッフさんに連絡をしました。時間も時間なので気づかないかもしれないと思いましたが運よく連絡がつき、駆けつけ後片付けをしてくれました。(ゲストハウスの横にある小屋でスタッフさんは住み込みで働いていました)
ドミトリーは2段ベッドがいくつかある構成で、僕は上の段だったので被害はありませんでしたが、下の段で寝ていたと思うとちょっと恐ろしいですね。
お酒を飲みすぎてしまうくらい楽しい場所であるが故の事故なのかもしれません。

次の日が私のチェックアウトの日でお世話になったスタッフさんは例のお客さんと経営者との3人で大人の話があるということで挨拶をすることもなく梅鉢を後にしました。

今でもSNSで繋がっていて近況は見ていますが、いつかあの場所で出会った人とまた会えたらいいなと思います。

旅の選択肢としてゲストハウスなんかいかがでしょうか。
よかったらこちらに足を運んでみてください。
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