■■■ ヒューマノイド ＊ AD 2145 ■■■

連なる滴が染みたのに
張り詰めた糸と絡まった糸屑がつかえて上手く起動してくれないのよ。

スローモーションがだんだんと遅くなって、連なる影のコマ送りになったかと思ってたら急に消えちゃうし、ここは異次元なの？

スゥｧーーーーーーッ。

フィルムは何も映さず静かに流れた。

どれだけ時が経ったのだろう。

手から零れ落ちた光よ、
今どこですか？

現実に引き戻もどされ、ポーカーフェイスを装うために

辛うじて繋ぎとめてた回路を引きちぎったのよ。

ババ抜きはお手の物だった。

ごめんなさい。
人間になることを拒んで。

迷子の子猫のように空気に取り残され漂う線先
一つひとつ元の位置にハンダ(溶接)してくれたね。

美しき愛の意味を知りたかった。
それだけだった。って

再起動してからかなりの時間が経ってやっと馴染んできたみたい。

取扱説明書を読まなくてもわかるようになったよ。

世界はいつも煌めいて美しいこと
初めて知ったよ。

ヒューマンってとっても面白いんだね。

プッシュパペットの底を押し続けなくてよくなったよ。

ほろ苦いスパイスは、立ち上がるのに必要だと知ったから。

今、船を造ってます。

第４フェーズの終了よ。

第五章の始まりよ。

新たな世界の幕開け。

ー  AD 2145  xx.xx  ー