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gack
恋するあなたに逢いにいきます。-scene.1
一目惚れすることってあまりしなくなった。年を追うごとに稲妻が走るような出逢いは少なくなっているように思う。経験値が増えたから?それとも感受性が衰えてきてるの?どちらにせよ人間は衝撃的な遭遇が好きみたい。そんな考えが脳を一周りした。
とある日。
今、わたしは高速で地を這うモノに乗っている。そのうち車輪が無くなるみたいだ。約2時間の乗車。460kmあまりはあっという間だ。
あの日あなたを見掛けて一瞬で虜になった。そしてあなたは今東京に滞在していると言う。コロナで足止めされ会うに会えれず、想いは募るばかりだった。やっと逢える。流行る気持ちが抑えられない。明日は朝早いというのに前夜は寝付きが悪く、その上早く目が覚めてしまって身体が怠い。
それでも。って
恋焦がれ逢いに行く。
わたし一目惚れしました。
今日は生憎の雨模様。台風が近づいている。楽しみにしていた富士山は見えない。けれど、青々とした山並みを這う霧も乙だわねと、幻想的な風景をぼんやり眺める。
田んぼや畑に点在する母屋、大きな工場、新興住宅地であっただろうひしめき合う家々。ここにはどんな人が居て、どんな暮らしがあるのだろう?
同じ国の中なのに、まるで異国の地に来たみたいだ。そんな感情が湧くから不思議だ。旅は追憶。
あなたは、この建物の中に居るという。あなたはとても大事にされているみたい。とある人はあなたに物凄い価値を付けたみたい。
チケットを購入して、お熱計って、消毒して、もぎりのお姉さんを通過して、
部屋に入るとーーー
あなたは居た。
32と40のあなたが居た。
ここはあなたの世界。
やっと逢えた。
あなたの世界を堪能します。
つづく。
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