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愛されたい、その一言を吐き出したい。

時々、いや、割と、
お腹のあたりから胃を通り、
喉のあたりまで言葉がせり上がってくることがある。

目の前の人に今この言葉をぶつけたい。
だけど、喉から先に出すことがどうしてもできない。
そして、喉が苦しくなる。
比喩とかではなくて、本当に、窒息感みたいなものを感じるのだ。

頭の中には常に膨大な数の言葉が渦巻いている気がする。

言葉の種類にもよるのだけれど、
それが負の感情から生まれた言葉のとき、
喉でつっかえるそれは本当に、本当に、苦しい。

恋人の前で、
言葉が話せなくなる。
よくある言い回しでは、
"嫌われたくないから"思ったことが言えないのかもしれない。

「嬉しそうにしている君が好き。」
「楽しそうな君が好き。」

恋人からそんな言葉を貰うたび、どんな自分が好かれているのか分かってしまって、そうではない自分だとダメな気がして、心に浮かんだ負の感情の言葉が溜まっていく。

一番心の奥まで知りたい相手なのに。
一番さらけ出したい相手なのに。

気づけば、
何も言えなくなっている。

そうして、
いつも終わりを迎える。

喉の痛みに耐えきれず。
私の中身がもう満杯になって。

頭の中に渦巻いているように感じる膨大な数の言葉。

薄っすらと気づいている。

本当はたったひとつの言葉でしかない。
そう、"愛されたい"。
その一言が言葉にできず分裂して肥大して、
私の中身を充満していくのだ。


#エッセイ #恋愛 #カップル #愛

きょうもあなたの一日にちょっぴりいいことがありますように。そんなちょっぴりのいいことを、一緒にたくさん積み重ねていきましょう。「すき」で世界を溢れさせましょう。