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爽やかに尖る人の美しさ

同僚のN氏。自分とは正反対のタイプである。
問題児扱いされそうなギリギリの発言を繰り返すが、傍目に見ていても、言っていることは正しい。正しいから言ってもいいわけではないという意見も聞こえてきそうだが、その正しさは組織のこと、仲間のことを想った発言だから、自分は嫌いにならない。彼も苦労している実感はあるようだが、そんな彼だからこそ、なんだか好きだしお互いに尊敬している感がある。

自分と真逆とはいっても、同じ方向を向いている人だ。
ただ、やり方も考え方も正反対。だから、話していて面白い。
これはビジネスで最高のパートナーになる条件ともいえるだろう。

上司から相談されたことがあった。
「N氏、どう思う?あいつがさ、やりすぎないように、同期としてしっかり見張っててくれよな」
(いや、同僚だし、配属先も関東都北海道で全然違うし・・・どうやって???w)
不思議なことを依頼してくる上司だ。
上手く人材を使おうとして、手に余っている。
だが、明らかに彼は我がベンチャー企業に必要な人材だ。

先日、会議という名目の顔合わせ集会で、彼はまたしても正論を振りかざしたようだ。
「それじゃあ、だめっすよ!!!◎△$♪×¥●&%#?!」
きっと周りには意味不明な暴言に映ったと思うが、後から話を聞いて、自分には充分理解できた。
きっと彼が言ったことも、英語で表現できていたら、普通の意見に聞こえたにちがいない。日本は曖昧な表現を好む文化だから、裏を返すと直接的に伝えるだけでキツい印象になる。

N氏を持て余している上司もその場にはいたが、「うん、わかったわかった」と必死に事なきを得ようとしていたらしい。

最後に振り返りの時間があった。全員が一言ずつ挨拶。
ここでもN氏は期待を裏切らない。
「みなさん、僕のことを何言ってるんだこいつは!とか思ってらっしゃるんでしょう・・!見ててくださいよ、配属先でこれでもかってくらい結果出してきますから!!!」

こみ上げる笑いが止まらなかった。
「またこいつは自分から退路を立つのか・・・!おもしろい奴ー。。。」
笑いは自分なりに称賛と心からの尊敬。
拍手の代わりに自分でも驚くほど笑った。

彼を応援するには自分が成長しなければいけない。
彼を応援している場合ではない。
もう知り合って、尊敬し合ってしまったから。
波に乗るしかない。

自分達が会社をリードするんだ、という熱い気持ちの側(かたわら)に、この人が自分のことを「面白い人だ」と思えなくなる日がきたら、それが一番怖い気がした。

上司よりも、これから配属される先の顧客や部下よりも、自分が入社3ヶ月足らずでごぼう抜きにしてしまった同僚や管理職よりも、N氏からの期待が一番重たくて、ずっしりと自分の一部になった気がした。

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Okarina*
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