フェアリー
今年の7月まで私とたくさんの時間を過ごしてくれた優しくてかっこよくて困ったような顔が愛らしいうちの猫たちの中で唯一の男の子だったフェアリー。
「私フェアリーと結婚するの!ねー、フェアリー。」
なんてよく言ってたなぁ。
いつの間にか、彼と過ごせる時間はもうこの世から消えていた。
出会いがあれば、別れもある。
でも、一緒に過ごした時間に何一つの後悔はない。
それだけが救いだ。
白血病かもしれないと言われた日から一人暮らしを始めたばかりの私はまるで週末家に帰る単身赴任の人のように毎週時間を見つけては実家に帰り、昼休みも母親に電話して容態を伺い、1人で毎晩泣いていた。
そんな日からもう1ヶ月が過ぎていた。
実は今日、会社の私の机の上に貝殻の形の写真立てに入れたフェアリーの写真をパソコンの横に置いた。
辛いときでも辛くないように。
大好きな大好きなフェアリーちゃんの写真があれば、きっと私はもう大丈夫。
これを書きながら涙が止まらない。