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用水路
用水路を泳ぐ野生のメダカを眺める。
母親が直射日光を避けるために差している日傘の影が水面に映っている。
夕方になり、ヒグラシの鳴く坂道を自転車で駆け上がる。
生ぬるい風を正面から受け、目に飛び込んでくる小さな虫たちを避けながら家に帰る。
道端に落ちているガラスの破片がキラキラと輝いている。
その輝きがまるで宝物のようで拾いたい衝動に駆られるが、「危ないでしょ」と母親にたしなめられる。
手つかずのまま放置されている漢字ドリルがほこりをかぶり始めた頃、両親と田舎の祖父母の家に帰省する。
そんな夏休みに猫を添え、毎日風鈴の音を聞きながら昼寝できたらどんなに幸せだろうと考える。
気づけばもうすぐお盆だ。
終戦記念日も近い。
令和元年の夏も気づけばもう後半戦。
平成最後の夏休みは毎日研究室に通っていたが、今年の夏休みは家でゆっくり過ごそうと思う。