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研修報告 国民生活センターにおける子どもの自転車事故防止への取り組み  尼崎市議会議員 池田りな

こんにちは。尼崎市議会議員 池田りなです。研修の報告をさせていただきます。
 
2024年8月23日(金)10時〜12時
主催:子どもの事故予防防止議員連盟
テーマ:国民生活センターにおける子どもの自転車事故防止への取り組み
講師:独立行政法人国民生活センター 商品テスト部 大澤氏
 
【概要】
私が所属する子どもの事故予防防止議員連盟の勉強会で、子どもの自転車事故防止の取り組みについて学ぶ機会がありました。独立行政法人国民生活センター 商品テスト部の大澤氏より、①国民生活センターの概要、②自転車事故防止への取り組みについてご講演がありました。勉強会の後には、施設の見学も行われました。

まず、国民生活センターについてです。同センターのホームページで、同センターの使命を以下のように述べています。

”消費者問題・暮らしの問題に取り組む中核的な実施機関として、消費者・生活者、事業者、行政を『たしかな情報』でつなぎ、公正・健全な社会と安全・安心な生活を実現します。”

施設内には、商品の耐久テストを行う部屋、科学的な分析を行う部屋、X線やCTを使用して内部構造を調査する部屋、火を使ってスプレー缶などの引火事故を分析する部屋など、さまざまな設備が整っています。

国民生活センターは消費者からの相談を受け、その相談に基づいて商品を分析し、適切な注意喚起を行っています。また、被害拡大防止のために、特定の商品群のテストとそれに基づく注意喚起も行っています。国民生活センターは、私たちの消費生活にとって欠かせない機関です。

消費者庁と国民生活センターの共同事業である医療機関ネットワーク事業についても紹介がありました。同事業の目的は、消費生活において生命または身体に被害が生じた事故情報を、事業に参画する医療機関から収集し、同種・類似事故の再発・拡大防止を図ることです。医療機関から寄せられた事例をもとに商品テストや調査を行い、情報提供を行っています。

参照:医療機関からの事故情報収集(国民生活センターの紹介)_国民生活センター (kokusen.go.jp)
 
2点目は、子どもの自転車事故防止への取り組みについてです。2023年の改正道路交通法により、自転車に乗るすべての人にヘルメット着用の努力義務が課されました。警視庁交通局の「令和5年における交通事故の発生状況について」によると、全国で自転車乗用中の交通事故は令和4年に339件、令和5年には346件発生しています。また、ヘルメットを着用していない場合、交通事故による致死率が約2.4倍に上昇するとの報告もあります。

子ども家庭庁の「こどもの事故防止ハンドブック」でも、自動車や自転車に関連する事故について詳しく記載されています。子どもの安全を確保するためには、ヘルメットの着用とともに、適切な自転車の利用が重要です。

参照:こども家庭庁HP 自動車・自転車関連の事故|こども家庭庁 (cfa.go.jp)
 

参照:子ども家庭庁HP 060307R05nenkan.pdf (npa.go.jp)
 
ここでは2点について記載します。
1点目は、安全性が保証されたヘルメットの着用についてです。大澤氏は、ヘルメットの努力義務化に伴い「ヘルメットの購入は増えていますが、安全基準を満たしていないヘルメットも多く流通しており、実際には効果が期待できないヘルメットを着けているケースも多い」と述べられました。また、海外で安全認証を受けたヘルメットについては、外国人と日本人では頭の形が異なるため、「日本の認証を受けたヘルメットを購入してほしい」と強調されました。添付資料をご覧ください。

一般社団法人 日本ヘルメット工業会https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk15/documents/helmetkougyoukai2308.pdf

2点目は、1歳未満の子どもの自転車同乗についてです。子どもを抱っこ紐で「前抱き」して自転車に乗ることは交通違反です。基本的に、自転車の二人乗りは法律で禁止されていますが、「16歳以上の者が6歳未満の幼児を安全に紐などで背負っている場合」に限り、例外的に認められています。大澤氏は「子どもを抱っこして自転車に乗っている際に起こった事故が、2017年以降の6年間で32件あった」と指摘しました。

子どもの同乗が認められているのは、幼児用シートまたはおんぶのみ で、2人までです。幼児用シートの対象年齢は1歳以上から小学校就学前まで、おんぶは首がすわる4か月から36か月までとされています。同乗する子どもにもヘルメットの着用義務があります。

しかし、道路交通関係法令違反のため、1歳未満のヘルメットはメーカーが製造できない現状です。また、1歳未満の子どもにヘルメットを着用させると、未発達な首に成長への影響が出ることも懸念されています。

国民生活センターは、文部科学省や厚生労働省に対し、国民に法律や規制を守るよう注意喚起や啓発をするだけでなく、1歳未満の子どもを自転車に同乗させたり、抱っこして乗ったり、3人乗りが不要となるような登園環境を整備することを要望しています。

特筆すべき点として、本市でも、赤ちゃんを前抱っこで自転車に乗っている保護者を見かけない日はありません。以前、乳幼児を持つ保護者との意見交換会を行いました。その際、次のような意見が寄せられました。

●   上の子の登園時に赤ちゃんを起こしていくわけにはいかず、抱っこ紐で連れて行くしかない。
●   危険だと分かっているが、前後の幼児席に2人座らせ、さらにもう1人をおんぶして4人で同乗している。
●   園の周辺には駐車場がなく、車での登園は認められていないため、自転車で行くしかない。
●   海外でよく使用されているチャイルドトレーラーの利用も考えたが、尼崎市は道路が狭く交通量が多いため、断念した。

勉強会に参加していた他都市の議員とも「おんぶ紐で頭を衝撃から守れるデザインにできないか」「サイクルトレーラーの利用を啓発するのはどうか」といった意見交換を行いました。

本市でもチャイルドトレーラーを利用している人を見かけますが、尼崎市は道路が狭く交通量が多いため、非常に危険だと考えられます。また、日本ではチャイルドトレーラーは「軽車両」の区分となるため、原則として車道を走行しなければならず、自転車通行可のマークがある歩道でも通行できません。

最後に、子どもの事故予防防止議員連盟についても述べます。当議員連盟は「予防できる重大事故」から子どもたちを守ることを目的に活動しています。子どもの死亡事故の原因として、不慮の事故が上位を占めており、窒息や誤嚥、交通事故などは、大人が注意することで防げるケースが多いです。

参照:【資料2-1】消費者庁「子どもの不慮の事故の発生傾向」 (cfa.go.jp)
 
これまでに、当議員連盟から関係団体に対して要望書を提出してきました。例えば、2020年4月には、「豆類」の包装袋に乳幼児の誤嚥に関する注意喚起表示を義務付ける要望を提出しました。

2020年2月には、島根県松江市内の保育施設で「節分」の行事として豆まきを行った際、その豆を口に入れた4歳の園児が喉に豆を詰まらせて窒息死するという事故が発生しました。

私からは、令和3年12月第4回定例会において、保育園や幼稚園の給食において窒息事故が発生しないよう、節分の豆や餅つきの餅を提供しないよう提案しました。

尼崎市からの回答では、公立園では提供していないが、私立園の状況については把握していないとのことでした。尼崎市内のすべての保育園、幼稚園に対して「豆まき・餅つき」における誤嚥の注意喚起が必要であると考え、私立園の状況も常に把握するよう要望しました。

今回の勉強会で学んだ乳幼児を乗せた自転車の事故予防については、令和6年9月第23回定例会において取り上げました。保護者が危険性を認識しながらも、乳幼児にヘルメットを被せず、抱っこ紐で自転車に乗せざるを得ないという危険な状況を解消するための注意喚起をするよう要望しました。

今後も子どもの事故予防防止議員連盟所属の議員と意見交換をしながら、子どもたちが防げる事故に遭わないよう、尼崎市に対して積極的に提言を行っていきます。
 

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