
令和6年10月 決算特別委員会 総括質疑 ~ファミ リー世帯の定住・転入について~尼崎市議会議員 池田りな
こんにちは。尼崎市議会議員 池田りなです。令和6年10月 決算特別委員会 総括質疑において、本市の最重要政策である、ファミ リー世帯の定住・転入について取り上げました。
子ども政策の自治体間競争は加速しています。近隣他都市が実施する、0歳 から2歳児の保育料無償化、給食無償化、子ども医療費無償化などは、ファミ リー世帯から魅力的であると分かっていますが、本市では財政上すぐに実施することはできません。
令和2年3月実施の「尼崎市ファミリー世帯に対するアンケート調査 報告書 」で は、尼崎市からの転出理由は治安・マナー・教育環境の悪さがあげられています。
本市の魅力をどのように発信していくかについて2点取り上げます。
1点目は、通勤に加えて通学の利便性の発信です。特別な施策を実施していく ことは難しいですが、尼崎市には13の駅があり、神戸・大阪・京都・奈良への乗 り換え不要で移動できる利便性があります。尼崎市の計画では主に通勤の利便 性が強調されていますが、通学の利便性についてももっと発信すべきだと考え ます。
令和6年5月1日時点で、私立小学校など尼崎市立小学校以外の小学校に通 う児童は全体約2万人中約1.5%、私立中学校など尼崎市立中学校以外の中学 校に通う生徒は全体約1万400人中約10%です。私の元にも「私立中学受験を 考えているので、中学受験をする児童が多い学校を教えてほしい」といった相 談をいただくことがあります。
また、他都市から尼崎市に引っ越してきた子育て世帯の中には、私立小学校 へ の通学を目的とする家庭も少なくありません。これらの世帯は比較的所得が 高く、市税収入の増加にもつながります。
ここでお伺いします。
<池田 質問>
公教育を推進する立場から、私立学校への通学の利便性を強調することは難し い点は理解しますが、ファミリー世帯への定住促進の一環として、私立学校への 通学の利便性をより積極的にアピールすべきだと考えます。本市の見解をお聞きかせください。
<こども政策監 答弁>
ファミリー世帯への定住促進の一環として、私立学校通学の利便性をより積極的にアピールすべきだと考えるが見解は。 答弁要旨 本市の交通利便性の高さは、働く親世代の通勤だけでなく、私学のほか、大学・専門学校や市外の公立高校に通う子どもたちにとっても、通学しやすい環境にあるものと認識しております。
こうした意味も含め、本市の立地特性や、通勤・通学の利便性は、ファミリー世帯への大きなアピールポイントとなることから、昨年度策定しました「あまがさき子ども・子育てアクションプラン」においても、その強みをPRしているところです。 引き続き、「働く」も「子育て」も応援する、子育てしやすいまちの実現に向けて、全力で取り組むとともに、その魅力を積極的に発信してまいります。
<池田 質問>
必要性を感じていただけましたが、どの媒体で広報していくのか具体的 に教えてください。
<こども政策監 答弁>
通学の利便性を具体的にどの媒体で広報し ていくのか。 本市が、「働く」も「子育て」も応援するまちであることをわかりやすく市内外のファミリー世帯へPRするため、妊娠出産期から子どもが大きくなるまでの様々な子育て支援策や、交通利便性の高さなどの本市の魅力を、イラストなどを活用しながら簡潔にわかりやすくまとめ、既存の定住・転入促進情報発信サイト「AMANISM」と連携した特設サイトとして新たに作成することとしており、10月中を目途に公開の予定としております。
今回ご提案いただいた通学利便性の視点も、本市の強みの一つでありますことから、この点も含め、市内外のファミリー世帯が定住・転入を考えるきっかけとしていただけるような情報発信を、より積極的に進めてまいります。
2点目は、ファミリー世帯に特化した本市の子育て情報の発信についてです。現 在「尼崎市 子育て」と検索すると、尼崎市のホームページ・いくしあ(子どもの育 ち支援センター)・AMANISM・あまがさき子ども・子育てアクションプラン・あ まっ こいきいきナビが1ページ目に表示されます。
「明石市 子育て」「神戸市 子育て」と検索すると市が作成したファミリー世帯向 けの情報発信ページが表示されます。これらのサイトでは、妊娠出産期から18 歳までの子育て情報が掲載されています。
<池田 質問>
令和4年度から総額1587万円をかけて運営する定住・転入促進情報発信サイトAMANISMの効果と課題を具体的に教えてください。
<こども政策監 答弁>
AMANISM (アマニスム)サイトの効果と課題 は。 答弁要旨 「AMANISMサイト」につきましては、前身となる「尼ノ 國サイト」を令和5年3月にリニューアルして公開しているもので、和5年度のアクセス件数は年間で約16万 5千件となっており、定住・転入を考えるきっかけとして、一定の効果があるものと見込んでおります。
しかしながら、サイトのアドレスが変わったことなどから、令和4年度と比較してアクセス件数は約3割減少していることが課題であります。 今後より一層多くの方にご覧いただけるよう、先ほども答弁申し上げましたとおり、AMANISM内に特設サイトを開設する予定もございますので、そちらとあわせて周知および内容の充実に努めてまいります。
次にファミリー世帯に発信する情報の内容についてです。教育環境について、 公立小中学校の全国学力テストが平均以上であることを訴えるだけでは、ファミ リー世帯の定住や転入促進に対しては十分でありません。
保護者から要望の高い子育て環境は、学力に加えて子どもが生きる力を身に
つけることです。生きる力を身につけるには、学力以外に多世代と関わり多様な 経験を積むことが必要だと考えます。
「尼崎は情がありおせっかいなまち」と表現されますが、令和6年9月30日時点、 市内には子ども食堂が47箇所、子 どもの居場所44箇所、子育てサークル16個 があります。地域の大人たちが子ども たちの成長を温かく見守ってくれるのが尼崎市の良さであり魅力です。
すべての公立学校で同じ取り組みを行うことは難しいですが、本市では 学校 や地域で生きる力が身につく、特色のある教育が実施されています。 学校では、農業体験や専門学生による動物愛護の授業、プロスポーツ選手 が スポーツを教える特色ある授業などが行われています。尼崎市内の各学校 では当たり前のように実施されていますが、地域の力を活かした取り組みが散 りばめられています。これらの取り組みはそれぞれの学校の保護者しか知りません。
地域では、生涯学習プラザなどで尼崎市が後援する民間団体による特色あ る教育を受ける機会が毎週のようにあります。 例えば、2024年夏には、小学生 対象にキッズマネーステーション親子講座「日本のお金・世界のお金」や高校生 を対象に日本政策金融公庫と尼崎信用金庫の方が講師のビジネススクールも 開催されました。既に尼崎市では、地域の力を活かした特色ある教育が行われていますが市内外のファミリー世帯に十分伝わっていないのが現状です。
<池田 質問>
私が述べたように、学力が平均以上であることに加えて、既にある尼崎市の魅 力的な子育て環境を市内外に発信すべきだと考えますが本市の見解を教えてください。
<こども政策監 答弁>
尼崎市の魅力的な子育て環境を市内外に発することについての市の見解は。 答弁要旨 これまでにも、AMANISM(アマニスム)サイトでは、小学校でのICTを活用した授業風景や最新の授業体験記事などを紹介してきましたが、先ほども答弁いたしましたとおり、現在、ファミリー世帯向けの情報を集めた特設サイトの準備を進めております。
今後、議員のおっしゃる学力に関することだけでなく、学校内外での特色ある授業や地域の子どもの見守りの取り組みなど本市の魅力的な子育て環境について、機をとらえて、AMANISMサイトや市報など様々なメディアで発信していきたいと考えております。
ここからは改めて要望になります。ここにいる皆さんも感じていらっしゃるように、学力以外の力や、大人になって生きる力を子どもに身につけさせたいと考える保護者が多くいらっしゃいます。
尼崎市には、自分の子どもだけでなく、地域全体で大人たちが温かく見守りながら子どもを育てていく環境があります。私たちにとっては当たり前のことですが、これこそが尼崎市で子育てをする最大の魅力だと思いますので、もっと市内外に発信していきたいと考えています。
今、本市がアピールしている学力平均テストや子育て政策の比較だけでなく、数値化が難しい部分ではありますが、既に行われている取り組みを積極的に発信していただきたいです。これで私の総括質疑を終わらせていただきます。