
視察報告 認定NPO法人D×P 尼崎市議会議員 池田りな
こんにちは。尼崎市議会議員 池田りなです。視察の報告をいたします。
日時:11月7日(木)16時〜17時
内容:不登校経験・経済的困窮・発達障害などの生きづらさを抱えた10代を孤立させないセーフティネットについて
視察先:認定NPO法人D×P(ディーピー)
【概要】
認定NPO法人D×Pは、不登校や中退など、様々な困難を抱える10代の孤立を解決するために活動しています。親から奨学金を借りて使ってしまったり、親の介護をしたり、親に稼いだお金を渡さなければいけないなど、様々な理由で親に頼ることができない若者もいます。
若者支援をしている方から、「尼崎市の子どもたちも同団体の居場所を利用している」と聞きましたので、支援内容について知りたいと思い視察を行いました。視察では、特に同団体の事業について2点お聞きしました。
1点目はオンライン相談「ユキサキチャット」についてです。13歳から24歳までの1万3千人以上が登録する、オンライン相談サービスです。物価上昇により親に頼れずに一人暮らしをする高校生、親を亡くした大学生、ヤングケアラーなど、様々な悩みを抱える若者たちが利用しています。無料で平日10時〜19時まで相談ができます。2022年11月9日時点、全体の登録数は9,347人相談者3,453人(2021年度までの累計)にのぼります。
相談を受けた中で、特に経済的に困窮している若者に対しては、食糧支援や現金給付支援も行われています。2022年11月7日時点、全国の若者に84,420食の食糧支援を実施・全国の若者に4,539万円の現金給付を実施しています。これらの支援により、若者たちは学業を継続し、安心して生活を送ることができています。
2点目は、大阪ミナミのグリコ看板下のたもとにある「グリ下」近くで運営する「ナイトユースセンター」についてです。グリ下に、家庭や学校で悩みを抱える少年少女の姿が目立つようになったのは2021年頃。コロナ禍で飲食店などが休業する中、行き場を失った若者らの間で、SNSを通して「仲間と出会える場」などと話題になり、連日、未成年らが多く集まった。飲酒やけんかが絶えず、性犯罪に巻き込まれる事案も起きました。また虐待やDVなどから逃れ、あてもなく繁華街で過ごす若者もいます。
ナイトユースセンターは、週に一度開所し、若者たちの相談に乗っています。それ以外の日は、病院や福祉の相談窓口に同行し、若者たちをサポートしています。同法人が支援を開始した当時は、グリ下周辺で若者たちを支援する団体はほとんどなく、警察による取り締まりが中心でした。そのため、若者たちは大人を不信に思い、相談できる相手がいなかったことから、夜の仕事や犯罪に巻き込まれるケースが多発していました。
視察で特筆すべきことを2点述べます。
1点目は、困難を抱える若者が支援する大人と対面・オンラインで繋がる重要性です。近年、「闇バイト」など若年層による犯罪が増加しています。これは、経済的に困窮している場合や福祉制度へのアクセスが困難な場合、相談機関の存在を知らないことが一因と考えられます。
日本には保険医療や生活保護などの制度がありますが、行政や支援機関への電話相談や窓口への相談は、若者にとってハードルが高いです。いじめ相談はオンラインでできるケースが増えていますが、福祉的な相談についてはオンラインでの相談窓口が少ないです。オンラインによる相談体制が必要です。
2点目は、同法人の寄付の集め方です。D×Pは、月額の寄付によって運営されています。寄付が何にどのように使われているかが分かりやすくホームページ上で発信されています。寄付をした場合、いくら戻ってくるかも書いてあり、寄付者も寄付をしやすいと感じました。
今回の視察を通じて、D×Pの活動が、孤立した若者たちの生活を大きく支えていることを実感しました。特に、オンライン相談「ユキサキチャット」は、若者にとって身近で、気軽に相談できる貴重な存在となっています。
尼崎市では、公設公営の尼崎市立ユース交流センター・民設民営のHyuggeという2つのユースセンターがあります。ユース向け事業に力を入れています。しかし、子どもたちにとっては市内・市外という概念はないため、市外のユースセンター同士の連携がさらに重要になってきます。
2024年11月からは、一般社団法人 ひと房の葡萄では、よるの居場所 「ナイトぐれいぷ」週1回金曜日が始まりました。対象は中学生以上20代前半の方開室時間は18時から22時半です。このような若者の居場所作りを民間団体も始められるよう、市にも提案をしてまいります。
https://www.youtube.com/live/S1DI5VkumEM?si=LegDS9e7YlurrP9R