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【講演会】一般社団法人 ソウレッジの事業について ~尼崎市議会議員 池田りな

こんにちは。尼崎市議会議員 池田りなです。先日、参加した講演会について書きます。

 テーマ:世界の性教育とSRHR (セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツSexual Reproductive Health and Rights:SRHR)
登壇者:認定NPO法人ピッコラーレ代表理事 中島 かおり氏
    ビリギャル 小林 さやか氏
    日本産婦人科専門医・医学博士・美ら海ユースクリニック
    代表 深津 真弓氏

 登壇者からそれぞれの立場で、世界の性教育とSRHRについて話がありました。セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(Sexual Reproductive Health and Rights: SRHR)は、「性と生殖に関する健康と権利」のことです。

 認定NPO法人ピッコラーレは、妊娠にまつわる「困った」「どうしよう」に医療と福祉の専門家が寄り添う相談支援事業「にんしんSOS東京」で、孤立する母たちとつながり、必要な機関へと繋げています。2020年6月からは、妊婦を孤立させない、漂流させないために始めた若年妊婦の居場所「ぴさら」を運営しています。何らかの理由を抱え、安心して過ごせる居場所を失い、行政や福祉、医療機関にも繋がれないまま漂流している妊婦たちを受け入れています。

 同法人代表の中島 かおり氏は、児童虐待死で一番多いのが「0歳0カ月0日児」と呼ばれる、生まれてその日のうちに亡くなる子どもで、妊娠をきっかけに孤立するお母さんを支援したい」とおっしゃっていました。

 家庭庁の専門委員会で報告書によると、2021年度に虐待で死亡した18歳未満の子どもは全国で74人でした。0歳児が最多で、誰にも知られずに出産した実母が死亡させるケースが多いです。

20230905_councils_shingikai_gyakutai_boushihogojirei_19-houkoku_12.pdf (cfa.go.jp) p.1 こども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第19次報告)の概要 こども家庭審議会児童虐待防止対策部会児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会【令和5年9月】

 アメリカに留学されていた書籍・映画「ビリギャル」のモデルになった小林さやか氏からは、「アメリカは州によって中絶ができるかが異なる。自分が住んでいる州で中絶ができない場合は他の州に行く人がいる」とおっしゃっていました。

 アメリカでは2024年5月1日時点で全米の半数近い21の州で規制が強化されるなど、意見の対立が激しくなっています。人工妊娠中絶は、2022年の中間選挙に続き、2024年の大統領選挙でも重要な争点の1つとなっています。

 日本産婦人科専門医・医学博士・美ら海ユースクリニック代表 深津真弓氏は「意図しない妊娠をきっかけに高校中退など教育の機会を奪われてしまうことは、貧困の問題も含めて沖縄県の課題と感じた」とおっしゃっていました。深津氏の勤務先のひとつである美ら海ハシイ産婦人科協力の下、2023年4月より沖縄県初のユースクリニックを開設しました。同事業は、令和6年度こども未来応援助成事業に採択されています。

 講演会で特筆すべき点を2点挙げます。1点目は性教育の重要性です。現在、日本の義務教育で性交渉や避妊について教えられていません。中学の保健体育の学習指導要領では「受精・妊娠までを取り扱うものとし、妊娠の経過は取り扱わないもの」と規定されています。

 このような「歯止め規定」について、文科省は「(性交について)状況に応じて、個別指導を行うことは可能」としていますが現場では「教えてはいけない」と理解されていることが多いです。学校現場で正しい性の知識が伝わらない原因となっていると考えます。

 性に関する間違った知識はインターネット上に溢れています。ゲームやSNSで知らない人と容易に繋がる時代にもなりました。知識がない子供達を狙った性被害に関する報道も増えています。子供たちが必要な知識を教わっていなければ自分の身を守ることもできないのではないのでしょうか。

 公立小中学全校ですぐに性教育をすることは難しいので、家庭や地域で子どもや保護者向けに伝えていく必要があります。尼崎市のユース交流センターや生涯学習プラザを利用した性教育のイベントなどの実施を引き続き市に提案してまいります。

 2点目は、小学生から20代まで対象で、無料で心と体の相談ができるユースクリニックの設置についてです。現在「尼崎ユース保健室」がユース交流センターに開設されています。その他にも、子育て応援基金に採択された女将ラボが運営する「ヌック」や一般社団法人えんぐらぶが提供する「尼崎ユースクリニック」などがあります。

 私も今後も、尼崎市では、若年層が心や体の悩みを相談できる場所の普及と数を増やせるよう努めます。また、東京都で実施される都立高校における産婦人科医の校医配置についても、尼崎市での導入を模索したいと考えています。顔の見える産婦人科医が校医になることで生徒も心や体の悩みを相談するハードルが下がります。


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