あたしは汚れるのがだいきらい
沖縄は冬じゃないみたいに晴れていて、暖かかった。
ゆっきーが呼んでくれて、ゆっきーと時間と空間を共にしたくて、沖縄に行った。ゆっきーはあんなに素敵なのに、みんなと仲良くやりたすぎて、ちょっとだけ自分を隠す。本当のゆっきーがどんな人かなんてゆっきーにしかわからないんだけど、私からみると「もっと本当は強引なくせに」みたいに見えてた。
私はお茶目なだけじゃなくて、強引なあなたが好きなんだけど。一緒にバスケした時、信じられないくらいしつこいディフェンスしてきたあなたかっこよかったよ。ぶつかられた時、軽トラに当たられたかと思うあの力強さに私はグッときたんだけど。それ出したらいいのに。
そしたらゆっきーは恥ずかしそうにして、「うちあたいしてる」といった。うちあたいってなんだ?思い当たるところがある、みたいな意味の沖縄の言葉らしい。バスケ部時代のゆっきーのディフェンスはあまりのしつこい粘り強さに定評があったことを思い出したって。
うちあたい!!
あなたのことが大好きだから、あなたのどこかが隠れてしまうと私は寂しい。誰かに嫌われたとしても、全部のあなたがちゃんと出ていてほしいな。みんなに嫌われても私は一緒にいるし、ずっとみてるから。しつこくて重たいゆっきーでゴー!
ゆっきーは頑張った。たくさんの人にイベントのメッセージを送ってくれた。最後の方は特に、あなたと一緒に過ごしたいって気持ちをまっすぐまっすぐゆっきーらしく放った。そして、出会うべき人たちと出逢わせてくれた。ゆっきーのスピリットからいつも放たれてる願いは、ゆっきーがそれをちゃんと知っているとそれだけでより遠くまではっきり届くのだと思う。本当に来るべき人たちが応答してくれた。
ワークショップ当日、午前中は子どもたちとの時間。
外でやろう。気持ちいから。ちょっと暑い?大丈夫?
始まる前に、たくさんの人との初めましてがいやだと女の子が言う。私も緊張するよ。何にも言わなくてもいいから、一緒にいてくれる?私あなたにいてほしい。そういうと、下を向いたままゆっくりついてきてくれる。
ゲームが大好きな男の子、ゲームって楽しいよね。スマブラをやってた。スマブラ私の子どもたちもやってるけど、私全然上手になれないやつ。ワークショップの時間が終わったらまたゲームやれるよ、ワークショップは始まったらちゃんと終わるよ。だから一緒にやろう?一緒に来てくれる。
みんなでサークルを飾って、さあ始めよっか。今日はお話をみんなで聞いて、それから絵を描くんだよ。私は一度名古屋でやった創作だから、どうなるかなあ。同じことを二度やるって初体験。
全く同じ道具を渡してみたのに、やっぱり違うことになった。紙粘土の部分は白いままにしておこうとしていたんだけど、ねえこれ、混ぜていい?って、みんな絵の具を紙粘土に混ぜて色を作り始めた。これは、時間が遅れるなあと思ったけど、みんな楽しそうだからやってみよう。きっとどうにかなるでしょう。
絶対手が汚れるのは嫌だ、という女の子。2色の絵の具を紙の上でダンスさせてね、手で。と言うと、信じられない!!て顔をしてこっちをみた。え?やだった?と言うと、「**ちゃん、手が汚れたりするの大っ嫌いなんだよ」と隣でお姉ちゃんがいう。そりゃあ私はとんでもない指示を出しましたね。
そばに行って聞いてみる。調子はどう?おお、イヤそうだ。とにかくイヤそうだ。さて、彼女はどうしたら楽しくこれをできるだろう?ねえねえ、私いいこと思いついた!って、画用紙が入ってたビニールを指に巻いて絵の具を触ることを提案したら、目を見開いて「信じられない!!」って顔してた。え、ダメだった?あ、じゃあこうするとやりやすいよ!と思ってマスキングテープで固定して「これでどう?」っていうと、「そういうことじゃない!」って顔してた。そういうことじゃなさすぎたのか、笑ってた。葉っぱを使ったら?とかそういうアイディアも、「この人は本当にわからずやなんじゃないか」みたいな顔でみてくる。
りなは万策つきました。
万策が尽きたので、自分の席に戻る。席に戻ると、彼女は私の方にやってきた。うえー、汚れるー、とか言いながらみんなの汚れた手を見てる。ねえ、汚れてるねえ!って私が言うと、ちょっと黙った後、「**ちゃんもやってみよっかな」って言う。思わず、「え!やってみるん?よごれるのに?」と言ってしまったわたしの口はゆるすぎる。彼女は私の言葉にニヤっと笑って、タタタと自分の席に戻っていった。そして、汚れ始めた。
その手を持ってきて、「うえー汚れたー手洗ってくる」って報告をくれる。何回も汚れては手を洗ってた。またどうせよごれるのに。粘土にも絵の具を混ぜて、絵の具を平気で触るようになって、最後の手はもう、汚れるのが嫌いな人の手じゃなかった。
お母さんと最初黙って2人でやってきた女の子は、どんどんどんどんたくさんのことを教えてくれるようになった。おしゃべりがすきなんだ。こうやってできるよ、これ変になっちゃったかな、もっとこうしたいな。座って作っているだけだけど、くるくる回って踊ってるみたい。彼女はきっと楽しいのだ。ちょうちょが飛んでるみたいだった。最後の最後までニコニコおしゃべりしながら、作り続けた。
私の隣のお姉ちゃんは、妹を見たり見なかったりしながら、黙々と自分のペースでやる。黙々としてるんだけど、彼女はお日様みたいな人だから、静かにしてるんだけど燃えてるみたいな元気なエネルギーが横から聞こえてくる。こうしたらどうなるかな。こうしたい。私は、こうしたい。お日様みたいな人だ。出来上がった時、彼女は、トトロに出てくるめいちゃんみたいに嬉しそうににっこりしていた。
俺はさー、学校では一番優しくない男だ、とゲーム大好きな彼がいう。えー嘘でしょ。あなたが優しくなかったら、この世界はとんでもないことになる。だって彼は、私に道具を借りるたびに、ちゃんと私を見てくれて、ペコリと頭を下げながら、「ありがとうございます」って言うんだ。こんな丁寧な人が一番優しくないのなら、君の学校はとんでもなく優しい人たちの集まりなんだね。いつの間にか、彼はゲームの話はしなくなっていた。
あのさあ、あのさあ。僕は小さい時に沖縄に来たんだ。そしてね、初めてできた大事な友達がさ・・・って、始まるまえに教えてくれた男の子。あの子は、今日一緒に過ごせる友達のことを言っていた。「初めてできた大事な友達」って、なんてすてきな言葉だろう。なんて素敵な言葉だろう。
子どもたちとの場を終えて、夜は大人たちとの場。
素敵な一戸建ての中でキャンドルの火を灯す。見えるもの、見えないもの、感じてること、思ってること、考えてること、全部を分かち合い続ける。特別なことをしたような、特別なことは何もしていないような。
何周も何周もトーキングスティックを回した。色んなきっかけに助けてもらいながら、初めは恐る恐る、最後は自分の内側のわからなさを乗りこなすように、自分の内側の声と周りの声に耳を傾け続け、手を動かし、聴き合い続けた。
終わった後、みんなが自然に、「あなたに会えてよかった」と挨拶を交わしていた。「みんなに会わせてくれてありがとうゆっきー」って声が何度も聞こえてくる。みんなの声は、What a wonderful worldの歌詞みたいだなと思った。
The colors of the rainbow so pretty in the sky
Are also on the faces of people going by
I see friends shaking hands saying how do you do
They're really saying I love you
愛してるよって言ったからって、結婚したり付き合ったりセックスしたりしなきゃいけないわけじゃない。結婚してないから、付き合ってないから、そんなに親しくないから、愛してるよって言っちゃいけないってわけじゃない。書いてて馬鹿みたいだ。そんなのわかってるし当たり前。だけど毎日の中では愛してるよって言いにくい。ゆっきーと空港でお別れする時も私は愛してるよって言うのが恥ずかしくて、ありがとうの言葉に愛してるをいっぱい込めて、分厚いゆっきーのからだをぎゅっーーと抱きしめた。
おはようっていうみたいに、みんなで愛してるよって言い合いたい。言いたいし言われたい。欲張りなんだ私は。言いたいし、言われたい。沖縄での子どもたちの場、大人たちとの時間みたいに、みんなが「感じる」空間を十分に携えている時、愛しているよが空気みたいにそこらじゅうに漂う。人間の声は、空気に溶けて栄養になる歌のよう。風と波と同じみたいに。鳥の声とも同じように。毎日がこうなればいいのに。それは私の感度次第か。
沖縄の人たちはあったかくて、ちょっと用心深かった。それがとっても好きだった。そのくせ、感じ合う空間を共有したら結構すぐに愛してるよを放つ。そこがさらに大好き。土地も人も、一緒にいると似てくるんだ。
2021.2がつ。次の沖縄は、4がつ。
平田里菜
あなたの絵本、描いてます。
https://lightbook.base.shop/
*今後の予定*
3/7(日)@名古屋 午前子ども、午後おとな
・・・参加希望の方は私まで。主催者のれいちゃんにおつなぎします。
4月 沖縄・・・参加希望の方は私まで。主催者のゆっきーにつなぎます。
5月〜 First Peace Circle Learning Journey
・・・三重県のあたりで場所を探しています。自然と一緒にセレモニーざんまいの、ネイティブアメリカンの叡智を実践して体現する10ヶ月の学びの旅です。詳細決まったら教えて欲しい方は私まで。
ご連絡は、facebookのmessengerまで。
一番頻繁にチェックしてます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?