Podcast News ー インドのポッドキャスト事情
こんにちは。アライ@翻訳です。
(音声版でも配信しています。リンクはこちら)
さて、週前半でお伝えしたPodcast Newsでは、ポッドキャスト大国アメリカのコロナ禍初期の視聴率動向をお伝えしました。
今回は、ところ変わってインドです。
今回も、普段購読しているQuartzの記事から、一部要約して紹介していきたいと思います。
1.記事タイトル
今回は次の2つの記事からインドのポッドキャスト事情を取り上げていきます。
1本目の記事タイトルは「India’s podcast buzz is now getting loud and clear」インドのポッドキャスト流行の波が、今はっきりとやってきている
2本目は「Indians stopped commuting to offices during the pandemic, but podcasts didn’t suffer」通勤しなくなったパンデミック中のインドおいても、ポッドキャストは被害を受けなかった
1本目はインドで流行り始めているポッドキャストの全貌を取り上げた昨年末の記事、2本目はコロナ禍であまり被害を受けなかったポッドキャスト事情についてのインタビュー記事になっています。
(それでは、私が記事の中で注目した内容にうつっていきましょう)
2.そもそも、インドでポッドキャスト?
現在インドでは動画のストリーミングがブームになっている真っ最中。それを追いかけるように来ている次の波が、ポッドキャストだそう。
インドでは若い世代の人口が圧倒的に多く、とてつもなく遅いネット環境の上に、死ぬほど長い通勤時間が後押しして、音楽のストリーミング視聴と共にポッドキャストの人気が高まりつつあるようです。
現在5億人のインターネット利用者のうちたった8%(4千万人)がポッドキャストのリスナーとあって、全体から見た率はまだまだですが、2018年には、伸び率が年間60%と非常に速いスピードで広まっている事が分かります。
驚きなのが、実は音楽ストリーミングサービスのSpotifyやYoutube Musicなどのローンチが2019年と結構最近である事。その後もインド国内で競合が多く出てきた中、ポッドキャストを含む音声メディアのプラットフォームがやっと出そろった、と言ったところでこの流行り用です。
3.言論の自由を手にしたポッドキャスト
では、そもそもインドにおけるラジオ(FM)はどうだったのかと言うと、実はトーク系のラジオ番組は今までなかったそう。と言うのも、インドではFMラジオの中で時事問題や政治など、放送できないトピックが多いと記事では説明しています。
そこで、トピックのスキマ市場に入り込んだのが、ポッドキャストと言うわけです。大手ニュース番組などもポッドキャスト制作に参入し、通常のFMラジオでは話せない幅広いコンテンツを扱える、要は言論の自由を手にしているポッドキャストがリスナーには響いているんだそうです。
そんなポッドキャストのトピックも多岐にわたり、インド国内では性教育の機会に乏しい事から、性に関するざっくばらんな内容を取り上げたり、LGBTQIについてや一夫多妻制についてなど、多彩性に富んでいます。
4.多言語国家の持つ課題
そんな、幅広いトピックが聴けるポッドキャストの土台が出来てきた一方で、様々な課題も存在します。
記事の中で個人的に注目したのが多言語国家であるからこその課題。インドでは少なくとも30種類の言語が存在し、2000前後の方言も確認されている多言語国家です。連邦政府の公用語はヒンディー語と英語ですが、各州ごとにも公用語が設定されており、その数18種類。
現在インドにおける多くのポッドキャストは英語で作られており、ターゲットは都市に住んでいる人や海外在住のインド人向け。ただ、一方でヒンディーやその他の言語での配信はまだ少なく、非常にポテンシャルがある分野でもあり、今後限定地区のリスナーに向けたコンテンツが出てくる可能性を記事では示唆しています。
5.コロナ禍でのポッドキャスト事情は?
そんな、どんどん伸びていきそうなインドのポッドキャスト業界にも、コロナの波はやってきます。
そこで、コロナ禍のインドにおけるリスナー数の浮き沈みと言うのはどうだったのかというと・・・実はいまだ月に10―15%ずつ堅調な伸びを示しているそうです。
以前は、1日の中でもポッドキャストのダウンロードのピークは朝と夕方、まさに通勤・帰宅ラッシュの時間だったようなんですが、今ではピークはなく丸一日平均的にダウンロード数をキープしているとのこと。
この事象の真相に至るまで、まだリサーチ結果は出ていないそうですが、今まで密接に関係していた通勤時間が無くなっても、多くの人にとってポッドキャストを聴くことが習慣化してきていると見れます。
コロナ禍におけるポッドキャストクリエイターの苦労として、制作スケジュールの変更や、音声や編集の質が100%とはいかない問題もあるようですが、それでもコロナに合わせた番組内容をタイムリーにリリースする等、リスナーの期待に応えている様子も記事から伺えます。
6.最後に
人口の規模も属性も全く異なる国インドのポッドキャスト事情、アメリカと比べても伸び率がものすごく高く、物事が流行るスピードが桁外れだと驚いた内容でした。
以前、Netflixの「Comedian of the world」という世界各地のいろんなスタンドアップコメディーを見たことがあるんですが、その中のインド人コメディアンの喋りもものすごく速く、ついて行くのに一苦労したのをなぜか思い出しました。
エンターテイメントも、ところ変わればターゲットや作り方も変わり、流行り方も違うとあって、なかなかポッドキャスト作りも課題が多いと思う一方、私が始めたポッドキャスト翻訳プロジェクトで国境や言語を超えるコンテンツ作りが、広がる余地もあるとも感じた記事でもありました。
これからも、海外の記事を始めとする国内外幅広い情報をまとめて、ポッドキャスト業界や流行が掴めるPodcast Newsを取り上げていきたいと思います。
それでは、次回のnoteで。