スイス2 美術、音楽、平和を感じる町 (コンチキツア-1-11)
ずっと参加したかった、英語を使った国際ツアー「コンチキツアー」での思い出です。
旅にまつわる音楽を聞きながら、記事をお楽しみ下さい♪
街全体が美術館
ショッピング、とりわけ時計などになって来ると、なかなかハードルが高いと分かったスイス。
リンツをはじめとした美味しいチョコレートを食べられた後は、ルツェルンの町を散歩することにした。
「こんな所に、フレスコ画がある!」
何気なく建っているかのような建物でも、美術館で見られるようなフレスコ画が見られる。
「この旧市街では、色んな所でフレスコ画と出会えるんだって。街全体が美術館みたい」
歩いていると、優美なルツェルン湖とカペル橋が、姿を現した。
ヨーロッパで最も古い屋根付き木造橋ということで有名な「カペル橋」は、どんよりした曇りの天気の中でも、光を放っていた。
「ここも、たくさんの絵でいっぱい。美術館、どこまで続くんだろうね」
「この絵では、スイスの歴史や守護聖人が描かれてるらしいよ」
歴史が好きなツアーメイトは特に、一つ一つの絵に見入っていた。
オーストラリアやアメリカは歴史が短い分、歴史が長いヨーロッパやアジアに対する憧れも強いという。
「美術の橋」散策
「この花も、橋に華やかさを添えてるね!何の花かな?」
「しかも、橋がここからも続いてるよ?」
カペル橋にとどまらず、続いてシュプロイヤー橋も私達を喜ばせてくれる。
チェコ・プラハで歩いたカペル橋は「芸術の橋」だったが、ここスイス・ルツェルンで歩くカペル橋とシュプロイヤー橋は「美術の橋」と呼びたくなる。
美術館と同じで、雨が降っても優美な景色や花、そして橋の端々まで描かれている絵を楽しめるのも嬉しい。
「永世中立国」のきっかけ
「歴史で習った“嘆きのライオン“も、見ようよ!」
アメリカやオーストラリアでは習うという、「嘆きのライオン」。
ツアーガイドのルーカスもお勧めしてくれたその場所へと、向かってみた。
モニュメントは思ったよりも大きく、「嘆きのライオン」は思ったよりも悲痛な表情をしていた。
高校は音楽科で世界史をあまり詳しく習わなかった私は、このライオンの表情がどこから来るのか分からなかった。
ツアーメイト達がライオンをじっと見つめ、沈黙していた間は聞けなかったが、会話が少しずつ始まって来た時に聞いた。
「ねえ、どうしてこのライオンは、“瀕死のライオン“や“嘆きのライオン“と言われてるの?」
「そっか、Rinaはこの話を知らないって言ってたね!このライオンモニュメントは、フランス革命の原因になった、ルイ16世や彼の家族を守るために犠牲になったスイス傭兵の追悼で建てられたんだ」
「何の罪もないたくさんのスイスの傭兵が、ルイ16世家族のためにフランス市民から殺されるなんて、嘆きそのものじゃない?こういう事件もあって、スイスは永世中立国になったって、言われてるよ」
歴史用語を英語で語り合うのは少し難しかったものの、何度もツアーメイト達に聞きながら、その歴史や単語を理解出来た。
どうしてこんなにライオンがここまで悲痛な表情をして、このモニュメントの辺りだけが異常にもの寂しい雰囲気なのかが、よく分かった。
「アンネ・フランクの家」に続き平和について、このスイスでも考えさせられた。
どの国も、まずはスイスのような国家を目指したら、戦争はついに世界から消えるのではないか。
私の「ルツェルン音楽祭」
モニュメントでは、沈黙になったり、平和について意見しあったりした。
だがルツェルン湖畔を散歩する頃は、相変わらず切り替えが素晴らしい彼ら。
再び、陽気さを取り戻していた。
湖畔では、今まで見た中でもとても美しい白鳥に出会うことが出来た。
チャイコスフキーの『白鳥の湖』は、こんな場所だったのでは、と思う。
観光のクライマックスは、スイスで5番目に大きな湖、ルツェルン湖のクルーズだった。すでにツアーに含まれていたから、物価の高さを気にすることもなく、私達はルンルン気分で船に乗船した。
曇り空は続いていた。
それでも、湖から見える景色は相変わらず優美で、泳いだり寛いだりしている白鳥の気分も理解できる。
「ルツェルン、音楽祭もやってるんだってね!」
「そうみたい。こんなに美しい所なら、ウィーンにいてる間にまた行きたいなぁ」
クルーズで美しい景色を眺めているといつの間にか、私のルツェルン音楽祭が、脳裏で始まった。
ベートーヴェンの「月光第一楽章」、ワーグナーの「トリスタンとイゾルテ」、チャイコフスキーの「白鳥の湖第二幕」。
曇りという天気と、「嘆きのライオン」を見た後だったからか、優美な短調の曲が次々と流れ、私は、時に霧に包まれる神秘的なルツェルンの景色に見入った。
そんな時、ツアーメイト達から
「Rina!Rina!」と呼ばれていることに気付く。
「Rina!今回は“大人のケーキ“、食べてないよね?」
「(笑)、もう食べないよ!景色を見てたらね、ルツェルン湖に合いそうな曲が流れて来たの」
「ええ、どういうこと?」
「ジョギングしてたら、いつの間にかヒット曲を口ずさんでる感じ!」
「自分BGMかぁ。どんな曲が流れたの?」
様々な魅力を持つ町、ルツェルン
コンチキツアーメイト達は結構クラシック音楽も知っていて、クルーズ中はクラシック音楽の話題でも盛り上がった。
美術も音楽も楽しめ、平和への想いを強く感じられる町、ルツェルン。
コンチキツアーが、スイスでこの町を選んでくれたことに感謝したい。
今度はコロナも紛争もない平和な世の中で、本物のルツェルン音楽祭にも行きたいと思う。