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はじまりの景色〜「はじまりはいつも雨」を語ろう〜
ASKAさんの「はじまりはいつも雨」が発売30周年を迎えましたね。
言わずと知れた代表作・オブ・代表作であり、わたしがASKAさんの音楽を好きになるきっかけとなった曲です。
そして、わたしはこの曲にたくさんの「はじまり」をもらいました。
今回初めてその思い出をご紹介させていただきます、どうぞお付き合いください。
テレビの中の王子様
わたしは両親の影響で80年代・90年代の日本の音楽を数多く聴いてきました。
童謡の代わりにヒット曲を、教育番組の代わりにトレンディドラマを流す家庭で育ちました。
今でも「幼いころの思い出の音楽は?」と聞かれると、年齢不詳な答えをして人を戸惑わせることがあります。
CHAGE and ASKAもそのひとつで、とりわけASKAさんはテレビの中に住む王子様のような存在でした。
大人で、かっこよくて、優雅でまぶしい。
それが、ASKAさんへの最初のイメージです。
物心ついた時にはすでに大ヒット曲だった「はじまりはいつも雨」。
この曲が大好きで、かなりおませな子供だったわたし。
歌詞の意味もよく理解できない年齢でしたが、「あぁ、大人は好きな人をデートに誘うのに天気を気にしないといけないんだ。大変だなぁ。」とぼんやり考えていたのを覚えています。
そしておませが暴走した少女は、いつからか「大きくなったらあすかと一緒にお仕事をして結婚するからね。」と言っていたそうです。
今思えば、夢の「はじまり」をもらっていたのですね。
何とも単純・不純な動機でしたが、この夢は今でもわたしの原動力となっています。
そして、願えばきっと叶うという根拠のない自信に満ちていました。
夢のその後
時は流れ、わたしは幼いころに夢見ていた仕事をすることができています。
両親のサポート、自分の努力、持ち前の運の良さで、人に恵まれながら。
いわゆる「生き馬の目を抜く世界」で、どうにか今日まで長い間続けることができました。
念願の「あすかと一緒にお仕事ができる(可能性のある)人」になれたのです。
そんなわたしとこの曲の再会は2008年6月。
人生の中でもランキング上位に入る大きな挑戦をはじめたころでした。
わたしは当時、初めてラジオで自分のレギュラー番組を持つことになり、喜びとプレッシャーで毎日必死でした。
企画を考え、取材に出かけ、ネタ集めをしながら流す曲を考え、練習して本番・・・毎週その繰り返し。
まだ20歳そこそこの幼かったわたしが、今思うとよくここまで頑張れたなぁと思います。
6月はタイトルに「雨」が入った曲を特集しよう!と思った時、最初に「はじまりはいつも雨」が浮かんだのです。
久しぶりに「はじまりはいつも雨」を聴いたわたしは、再びASKAさんと曲に恋をしてしまっていたのです。
それも、もうどうしようもないくらいに。
今思うと、当時の自分を重ねていたのでしょう。
夢は叶ったけれど、その先の不安でいっぱいだったわたしと、この曲の「僕」。
キラキラしたメロディーの中に不安や切なさを感じる歌詞、なんとか希望を見出したい苦しさのような気持ち。
シンプルな言葉でつづられていても、たくさんの複雑な心情が見えてくる。
僕は上手に君を 愛してるかい 愛せてるかい
誰よりも 誰よりも
「誰よりも」と、見えそうで見えない誰かと比較しているところも、恋愛と仕事でジャンルは異なるものの、強く心に響きました。
わたしの夢のその先、新たなステージの「はじまり」も「はじまりはいつも雨」と一緒でした。
あのころ頑張ったから今がある、わたしにとって心に残る大切な曲になりました。
衝撃の極大「テレ東音楽祭」
ここまでわたしの「はじまり」ストーリーをご覧いただきましたが、そこで終わらないのがASKAさん。
まさか、昨年さらなる衝撃を受けることになるとは、全くの予想外でした。
2020年9月。まだ記憶に新しい、あの史上最強クラスの台風が日本を襲ったあと。
ASKAさんがテレビ地上波の生放送「テレ東音楽祭」で歌声を披露するというお知らせがありました。
CHAGE and ASKAがテレビの音楽番組に出演していたことは、幼かったためぼんやりとしか覚えていません。
そのため、ASKAさんがテレビで歌うのを見るのは実質初めてとなりました。
わたしの地域では放送を見ることができなかったので、家族全員で放送エリアまで遠征です。
きっとキャーキャー奇声を発して大興奮するだろうな。
または感動して号泣するかもしれない。
自分のリアクションすら予想できないワクワクは、まさに祭りでした。
「はじまりはいつも雨」の世界観を表現したセットにASKAさんがお出まし。
イントロが始まり、歌い始めた瞬間。
わたしは固まってしまいました。
完全な「無」でした。
感情を失ったように、何も言えなかった・・・。
というより、その時の気持ちを表現できる言葉を知らなかったのです。
ASKAさんは実在の人物だった。
そして変わらず、わたしにとってテレビの中の王子様だった。
放送が終わって帰宅したのは深夜でしたが、わたしのふわふわした気持ちは落ち着かず。
そのまま明け方までTwitterでいろいろな人の感想を読み続けました。
これが、わたしが多くのファンの方たちと交流する「はじまり」となりました。
ASKAさんと「はじまりはいつも雨」は何度もわたしに「はじまり」をもたらしてくれました。
この先も、わたしにはいくつもの「はじまり」があるでしょう。
それは成功への一本道かもしれない。
美しく舗装されたように見えて、地獄への道かもしれない。
テレビの中の王子様に恋をしてから、ずいぶん長い時間が経ちました。
子供だったわたしは大人になり、ASKAさんも歳を重ねた。
今でもわたしを支えているのは、幼いころ王子様にもらった夢。
どんな困難に直面しても、いつも心に寄り添って勇気をくれるのはASKAさんの音楽でした。
きっと、これからもずっと。
だから、わたしはいつでも胸を張って言えます。
「わたしの現在も、未来も、希望と幸せで溢れています。」と。