見出し画像

30歳、修行の身。

「私広報の『こ』の字も分かんないですけど」
「うん、俺も分かんないです」

という会話をCHROとしてジョブチェンジが決まったのが今年の1月。
本格的に広報の仕事を始めたのが2月。
ツレの部屋から出禁宣言されたけど「別の場所で会えばいいだけの話か」と解釈して、さらにツレを呆れさせたのが3月。
大学のレポート期日を勘違いして提出が遅れ、単位を落としかけたのが4月頭。

「無理です私期待されるとモチベ下がるんです」と言い訳じみたことを周りに振り撒きながら、なんとか色んな人に助けていただいて広報の仕事を掴み始めたのが今である。

齢30年、公私共にまだまだ落ち着くことはないらしい。

広報の仕事のひとつにメディアリレーションというものがある。

文字通り自社をメディアに取り上げてもらうための関係性作りのことであるが、他社の広報担当者は私の想像以上に血眼になって各メディアへの露出を狙っていたし、そこかしこに広報コミュニティが存在していて、「ひとり広報」という存在はそこでうまいこと情報収集しているらしかった。

そういった現代の正攻法を聞くとつい「すごいなあ」と思う自分と、「気持ちわりいな」と思う自分が半分ずつ発生するもんだから、私は他の手法を考えざるを得なかった。
(ちなみに「気持ち悪い」はコミニュティに対してではなく、そこに参加するだけで満足してしまいそうな自分に対してである。)

実は広報になってから一番最初に私がやったことは、某テレビ局の深夜アルバイトの求人に応募したことなのだけど、それくらい私の広報に対しての知識は安直で浅かった。

ただ、結果的に今関係性を築けているメディアの方や今後も関わっていたいと思える他社の人たちは、私が何かしらの仕事を一緒に推進した人たちである。

最近もまたイベントで素敵な出会いをもらえたし、私なりの関係性の築き方はそれが一番合っていた。

広報としてのプロ意識を持てと言われればそれまでだけど、自分はまめに連絡ができる訳でもなく、無理な形で関わる人を増やせば増やすほど、家に引きこもりたくなる人間なのである。

今となっては私が最初に起こした行動は、あながち間違えではなかったのかもしれないとも思う。

広報になってから一緒に仕事をするようになったひとりにCMO(Chief Media Officer)がいる。この人がまたべらぼうに面白かった。

私が思う彼の一番すごいところは、その観察眼とストーリー構成力である。

彼は社員の約半数をマネジメント対象に持っている。普通なら無論1人1人との接点やコミュニケーション量は少なくなってしまうし、その点については彼も例外ではない。
それにも関わらず、彼に聞くといつでもメンバーの調子や状況が的確に返ってくる。

私に対しても、発言内容、目の動き、息の飲み方、声の張り。そういったことを多分無意識で見てコミュニケーションを変えてくれる。
その気遣い、立場目線。はっきり言って意味が分からない。

広報業務についても、私が情報の出し方を相談しようものなら速攻「こういうストーリーがいいんじゃない?」と、こっちがわくわくする構成を考えてしまう。(詳しい内容がここで触れられないのが悔しい)

この点は絶対私も習得したいと思う箇所であるし、彼についてはまた別で文章に残しておきたいと思う。

習得したい、といえば、実は社内でお試しコーチングを運用し始めてくれている人がいて、特別に私も実施してもらっていた。その方とは最初3ヶ月だけという約束だったけど、どうしてもまだ吸収したいことがあって「広報戦略を学ぶティーチング」に変更して今も継続してもらっている。

「1年以内に『この会社の広報は海ちゃんに任せとけば大丈夫よ』ってあなたが言える状態にしてください」
という、なんとも偉そうな私のオーダーに対して、彼女は快く引き受けてくれた。

グローバル企業で事業推進していた人である。
余すことなく学ばせてもらおうと思うし、この方もまたびっくりするくらい優しくて、自分の知識や情報をあらゆる観点で私にインプットしてくれる。

CHROや人事を一緒に推進してくださった採用担当の方もそうだけど、こんなにも周りに学ばせてもらいたいと思える人がいて、その人たちがどうぞ学んでくれと言わんばかりに教えてくれる。

こんなに恵まれたことがあっていいものだろうか。


「三十にして立つ」だから、そろそろ自立していいころだろうけど、私は世の中の仕組みに向き合い始めたのが遅かったこともあるし、大して実績を出している訳でもない。

修行はまだまだ始まったばかりである。



いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集