テクニック別、ミュージックビデオ紹介!(3)プロジェクション/シンクロ
このシリーズも3回目ですが、いったんこの記事で紹介は終わりです。プロジェクションはともかく、シンクロが映像手法として、「テクニック」と呼べるのかはわかりませんが、個人的にはとても好きな考え方です。では、見ていきましょう!
プロジェクション
映像を投影することを「プロジェクション」と言いますが、ここでは投影された様子をさらに撮影して映像にした作品を紹介します。紹介するのは、全く高度な技術を使わなくとも企画のユニークさで勝負しているものや、王道のプロジェクションマッピング、そして照射する側をロボットアームでコントロールすることで新たな世界観をみせているもの…など、様々。数年前に「プロジェクションマッピング(投影する対象物の形状を計算してその形状にぴったりと合う形状で映像を投影する技術)」という手法が流行ったけど、それ以外にもネタはいろいろ!
簡単なアイデアなのに、見たことのない映像になっている好例。高度なマッピングを駆使せずとも新鮮な映像がつくれることがわかる。映像…とより、影絵という感覚。単に、息に投影するわけじゃなく、メンバー通しが吐く息を通じてやりとりをしていたり、カメラアングルを効果的に変化させて盛り上がりを作っていたり、演出技術の高さを感じずにはいられない…!
ロボットアームがプロジェクションをしている。ロボットアーム側に撮影カメラとプロジェクターが積まれており、映像を照射しながら同時にそれを撮影している。プログラミングされたロボットアームなので、休むことなく延々とミュージックビデオを実演し続けている。
ICCにてロボットアームと映像が展示されていた
実は自分は、この撮影装置がそのまま展示されているのをみたことがある。それをじっとみているうちに、人類が滅亡した後にも孤独に永遠に美しい映像を映し続けるロボットというようなストーリーが脳裏に浮かび、なんともノスタルジックな気分になったのであった。
ものすごい高度な技術のプロジェクションマッピング事例。高速で演技する人物の顔をトラッキングして、ドンピシャで映像を追従させる技術。じぶんでは真似できないどころか、ほんとどうなってんのかわからない…。世界最速レベルのセンシング技術と、映像を1000fps・3ms遅延で投影することができるプロジェクターで実現されていると、こちらで説明されております。
「プロジェクション」再生リスト
シンクロ
なにげに一番好きなジャンルかもしれない。「シンクロ」という映像手法があるわけではないが、個人的には一番好きな映像のつくり方。音とリズムと、映像をシンクロさせることは、なぜこんなにも脳内に快楽物質を出してくれるのであろうか…!
ミシェル・ゴンドリー作品の中で自分が一番好きな作品。まずは、最初から最後までボーッと見てみてください。ただの車窓じゃん。自分は最初そう思って見てました。うーん、何がすごいんだ?二週目見る…うーん…なんか同じ建物とか同じ橋がなんども出てくるよな……え!ああ!?そういうこと!?すげーーーーーー!…なんと、車窓に映る景色が音楽と完全にシンクロしているではないですか!すごいアイデアだ…。20年近く前にこんなアイデアを思いついて、しかも実現するなんて…。ちなみに私は楽曲のほうでボーカルが入るときに、ちゃんと地味にその部分で人がでてくるところが好き。
身近な日用品で実験している
ゴンドリーが撮影に入る前に簡易的に実験をしているのだが、オレンジやらビデオテープやら缶詰やらを並べて撮影をしている様子がなんだかかわいらしい。こんなかわいらしい実験から、こんなクールなビデオができるなんて…。
これ…思いつきたかった〜…!最初から最後まで自販機とおっさんしか出てこない企画なのに、おもしろい。ミニマルで硬派な楽曲なのに、こういうチープな状況は笑えます…。電気グルーヴのミュージックビデオに近いクールさを感じつつ…。カメラワークも役者さんの視線を再現しているような動きでとてもイケてる。数字だけじゃなくて、タテに並ぶ3つの丸がチカチカ動くのも自販機あるあるで、それが音楽にまたよく合ってます。
辻川幸一郎 × コーネリアス の名作ミュージックビデオ。このおふたりのコラボレーションは名作だらけです。自分はやはりこの作品が一番好きです。映像のアナログっぽい質感と、カメラワークが手持ちっぽい感じが、不思議なできごとが実際に起きている感覚を呼び起こします。
最後に、シンクロするミュージックビデオが大好きすぎて、自分でもつくりたくてしかたなくなり、つくってしまいました。ばねが出てくる速さは、実際と大きく変わりません。ばね製造はめちゃくちゃ気持ちいい動きなんです。
「シンクロ」再生リスト
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