[小説]デブでブスの令嬢は英雄に求愛される 第13話
三日月が雲の隙間からわずかにのぞいていた。ベネノの森はおおい茂る葉に更にそのただでさえか細い光を遮られて闇に包まれている。
その中に一人、蠢く影があった。
「後もう少し……」
わずかに差し込む光に照らされた瞳は翡翠色をしていた。彼は傍らの木の枝を手折る。それを検分しながら、呟いた。
「後もう少しで俺の望みが……」
囁きながら、その足はまるで光から遠ざかるように闇の濃い方へと進んでいた。その仕草は酷く手慣れていて、明かりも持っていないのに何かにつまずくこともなく足音もなく前へと進む。
突如突風が吹いて、一瞬月にかかった雲が晴れた。
そのまぶしさに手をかざした男は、ルディ・レナードだった。
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