ラファエルという男。
彼と出会ったのは数ヶ月前の事だった。
共通の友人を通して、タイミングが合えば、いつかお会いできたらなんて話があってからお会いするまでにそんなに時間はかからなかった。
お互いお酒も入っていたが、ラファエルさんは動画のようなサバサバした印象とは少し違って、すごく腰の低い感じのいい人だった。
お酒の力も借りてダメ元でお願いしてみた。
「ラファさん、今度僕らとコラボしてくれませんか。」
「あー面白そうですね。やりましょうか。企画考えるので待っててください」
なんて優しい方なんだろう。YouTube界でいえばまたまだ、駆け出し。登録者数も再生回数も、ラファさんに比べたらベビたんチャンネルwどう考えても、メリットはないし、ストイックで、仕事にシビアなラファさんのイメージからしたら答えはもちろんNoだろう。ただ、社交辞令だったとしてもそぉゆう対応してくださる優しい方なんだなぁという印象を受けた。
それから数日後、ラファさんから一通のLINEが届いた。
「りんたろーさん企画考えました。日程調整しましょう。」
えぇぇー!!?コラボしてくれんの??社交辞令とちゃうんかい!!(´;Д;`)
驚いている場合ではない。一刻も早くと思った矢先、世はコロナショック。
よしもとのYouTube部門から、コラボ禁止令の通達が来たことをお伝えすると共に、企画ごと立ち消えになってしまうかもしれないと肩を落としたが、これまたラファさんの計らいでこの度コラボが実現する事と相成った。
ラファさんの方のチャンネルの企画はまさにYouTuber的なとんでもないもので
この撮影が終わった頃には、兼近は魂を抜かれたようなそんな表情になっていたw
僕等の企画は「マネーのチャラ」若い子は知らないと思うが、数年前に一大ブームをもたらした「マネーの虎」というモンスター番組のパロディーだ。
基本ルールは、志願者による自分がやりたい事業や、願望を抱く夢に関するプレゼンテーションに対して、「マネーの虎」と呼ばれる大物起業家達が自腹で現金を出資するか否かの判断を下す。企業家達はノーギャラ。さらに交通費を含む諸経費も番組側から支払われる事もない。虎達の出資予定額の合計が、志願者の希望金額に到達すれば「マネー成立」となり、志願者は虎達からの出資金を獲得できる。
ただし、虎達の出資予定額の合計が志願者の希望金額に到達しなければ「マネー不成立」となり、志願者は虎達からの出資金を一切受け取れない。またマネー成立後でも、後日プレゼンの中に嘘や偽りが発覚したり、予定していたノルマに達しなかったりすると「ノーマネー」となる。
マネー成立の場合、新規起業者は出資者との相談で開業当日の利益目標に応じたノルマを設定する。なお、利益がノルマに到達しなかった場合、出資者から厳しい叱咤を浴びせられるのが恒例である。これもなかなか面白かったのだが、
志願者登場前に虎達は自身の机上に持参した現金をアタッシェケースから出して並べる。この生々しさが、ムーブメントをよんだ。この一部始終を地上波で流していたんだから驚きだw
トランスジェンダーの方を対象とした出会い系サイト開設の志願者は株式会社設立費用1,000万円を含めて1,100万円を希望したのに対し上野健一が1,000万円と加藤が100万円投資したが、上野は現金ではなく保有している休眠会社を志願者に名義貸しさせるという形で対応したりと、どこまで台本があったかはわからないが、ベンチャービジネスのやりとりを見てるようで興味をそそられる。
志願者のプレゼンテーションに関して、虚偽が一つでもあったり、態度が悪かったり、起業計画に甘さがあったりすると、虎達は激烈な非難を浴びせ、最悪の場合、激怒した虎が途中で席を立ったり、罵声を浴びせる事すらあり視聴者からするとファイトクラブみたいで楽しかったw
(昔の番組を昔の番組で例えて申し訳ないw)
時には、司会である吉田栄作さんも、志願者の認識の甘さを批判して一時退室なんてシーンもありw
あの温厚そうな栄作パイセンが!?なんて思わされ、ドキドキした。放送が続くにつれて、番組はエスカレートw志願者に対する人格否定とも取れるほどに屈辱的な虎による非難や、虎同士の怒号が、飛び交う対立など、より一般常識からかけ離れた過激なやり取りが展開されていったい、どこまでいくのこれ状態にw
すみません。昔の話をすると、話が長くなる。おじさんの悪い癖が出ましたw
とにかくそんな番組のパロディーで、借金を抱える若手芸人を迎え、借金を抱えるに至った経緯や、これからのビジョン、夢などをプレゼンしてもらい、虎であるラファさんが若手芸人の借金を「チャラ」にしてあげたいと思えば、チャラ成立。
チャラ男のチャラと、借金のチャラをかけた、我ながら天才的なネーミングだとは思いませぬか??
(`・∀・´)帰れー!!
(。-∀-)スベッてるぞー!!
そんなこんなで、撮影がスタート。ここだけの話、若手芸人達はラファさんとのコラボ回での、露出で顔を売れるだけで、プラスだと思うので、チャラにするとかは大丈夫ですという事で、なんとなく全員納得してくれていました。いくらチャラになるとはいえ、結構な金額を払ってもらうのは芸人的にも気が引ける。どんなにお金があっても、その日出会った芸人に大金を払ってもらうわけにはいかないだろう。と考えていました。
撮影も終盤に差し掛かり、ノーマネーで撮影を締めようとしたその時だった。
一同はラファさんの一言に驚かされる。
「いいですよ!マネー成立です。」
「なるほどー残念でしたぁ えっ!!成立??いやあのラファさん!マジで大丈夫ですよ!」
慌てふためく、若手芸人。そりゃそうだ。ノーマネーになると思うけど、ごめんねと伝えてある。
「大丈夫です!!そうしましょう!これどうぞ」
これぞ、YouTube界をトップで走り続けてきた男の手腕。
スタッフ含め生で一部始終を目の当たりにした一同は、度肝を抜かれた。
若手芸人を応援したいと思ったのか、動画が盛り上がると思ったのか、その言動の真意はわからない。
しかし、ラファエルという男の中で、なにかしらの心境の変化、なにかのセンサーに触れたことは明らかであろう。
後輩芸人はどこかでこのエピソードを話せるかもしれない。
ラファさんからしたら、50万円という額は大した金額ではないかもしれない。しかし額ではない。それを、知らない若手芸人に託す事。その瞬時の判断、機転にYouTuberとしてトップを走り続けてきた所以のようなものを見た気がした。
あの頃のテレビのワクワクが目の前で焼き増しされたようなそんな感覚にさせてもらった今日この頃の僕でした。
お後がヒュイゴー
EXIT りんたろー