#11 縁をつなぐヒッチハイク
「ヒッチハイクで危なかったことなかった?」とよく聞かれる。
出会った方は優しい人ばかりだった。初めて乗せてくれた人は、高校生の息子さんがヒッチハイクをしていて、恩返しだと言っていた。
一台一台にドラマがある。その人の人生を聴いたり、旅の話をしたり、悩みを打ち明けたり、知らない世界を開くミラクルワールド。
偶然なのか、運命なのか、不思議なことがよく起こる。
北海道で、行先を掲げた瞬間に一台目で女性が乗せてくれた。宮城の気仙沼に帰ると聞いて驚いた。わたしも次の目的地が気仙沼だったからだ。数日後、気仙沼に着いて再会し、案内してくれた。
大津SAから富山へ向かう時に乗せてくれた男性の方。
「お金があったら何が欲しいの?」と言われ、「パーマかけたいですね~」というと、ちょうど美容室の予約をしてたんだよ、と言われ一緒に美容室に連れて行ってくれた。前日に会社をリストラされていて、車の中で色々話を聞いた。大変な時なのに「これも何かの縁やから」と笑顔を見せる。人情溢れる方で胸が熱くなった。
出雲大社まで連れて行ってくれた方が偶然ドラマーの方で、ギターを持っていた私に「ライブハウスで歌わないの?」と言われ、「歌ったことないです」というと、その場で知り合いのライブハウスに電話をしてくれ、とんとん拍子に話は進み、出雲最後の夜にライブをした。
ねぶた祭りを目指し、滋賀から青森へ向かった時に、最後に乗せてくれた正雄さん。なんだか、じいちゃんを思い出した。温泉に入りに来たところ、私を見かけ心配で乗せてくれたそう。スーパーで好きな食べ物なんでも買っていいから、とご馳走してくれて、ねぶた祭りを一緒に見た。
「お礼はいらんから、帰ったら一報くれ」と、住所と電話番号を書いた紙を受け取った。
実家に帰り、4か月ぶりに約束を果たすことが出来た。
「ねぶた祭のとき乗せてもらったものです。正雄さんの携帯ですか?」
元気そうな声が聞こえて安心した。正雄さんもあれから私の電話をずっと待っていたそうだ。旅行先でギターを抱えた女の子がいないか探してたという。4か月の話に花を咲かせ、再会を願う。
初めて、乗せてくた人の想いを知った。
ヒッチハイクを始める時、毎回どきどきする。乗せる方も、きっと勇気を出して乗せてくれている。お金がなくて始めたヒッチハイクだけど、ただ場所に連れて行ってもらう行為ではないのだと。
人との出会いというのは、生きる希望です。
写真をとってないけど乗せてくれた方もたくさんいます。
本当にありがとうございました。
無事に帰宅することが出来ました。
1冊の本(Zine)にするために旅の記憶をまとめています。
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