でんぱ組.incエンディングに寄せて① ~あなたのでんぱ組はどこから~

でんぱ組.incがいよいよエンディングのときを迎えようとしている。
実際にエンディングを迎えるのは2025年に入ってからなのだが、とはいえもう年越しまで2か月を切っているし、エンディングツアーもいよいよ始まってしまった。

曲がりなりにも中学、高校時代から応援していたでんぱ組.incについて、noteを書こうと思って早数か月。せっかくなので、Twitterで見かけた「あなたのでんぱ組はどこから」というテーマにあやかって自分語りでも書こうと思う。

あなたのでんぱ組はどこから?私は最上もがから。

最上もがとの出会い

でんぱ組.incの存在が気になりだしたのはおそらく2014年頃のことだったと思う。

中学時代SEKAI NO OWARIに熱狂していた私は、Saoriさんのアメーバブログを遡って読むのが至福のひとときだった。文章を書くことに憧れたきっかけのひとつでもある。
そこで紹介されていたのが、最上もがだった。

初見から最上もがに惹かれたわけではなかった。はじめこそ、チームメイトを紹介している記事よりもSaoriさんの文才の光る記事の方が面白いとスルーしたものだ。しかし以降も何度かSaoriさんのブログでは最上もがが登場し、Fukaseさんの女装企画(?)の際にはピンキーもスペシャルサンクスとして名を連ね、金髪少女とコスプレイヤーのいるグループ、一体何者なんだ…というようなことを思った気がする。

当時の私のアイドルのイメージと言えば、小学生時代に黄金期だったAKB48。超余談だが、小学生時代の我々からするとAKB48は好きとか嫌い以前に、とにかくよく見かける、そこにいるのが当然の存在だった。みんな知っていて、選抜総選挙をとりあえず見ていて、シングル曲を口ずさめるのは当たり前、クラスの三分の一か半数くらいの女子生徒は踊ることすらできる、といったような感じ。今とは違ったニュアンスの「推し」という言葉が気軽に飛び交っていて、誰かしら好きなメンバーがいる前提で「誰推し?」「まゆゆ推し!」「私はあっちゃん」みたいな会話をよく聞いた。当然、その大半はワンマンライブや握手会に足を運んだことはないし、そうしたいとも思っていない。近所のTSUTAYAでCDを借り、お年玉で買ったり兄弟からおさがりとして貰ったiPodやWalkmanに取り込み、校内放送のリクエストをし、音楽番組に出れば視聴する。そのくらいのことだったが、立派に推していた。今や近所のTSUTAYAは閉店し、Walkmanもスマートフォンが壊れない限り使わなくなり、CDを聴くことも格段に減り、音楽番組も数を減らしてしまった。その間10年と少しである。

かなり話が逸れてしまったが、とにかくでんぱ組.incは当時の自分が知っているアイドルとはかけ離れたものであった。

楽曲との出会い

なんの番組だったか失念したが、「バリ3共和国」をテレビで披露しているのを偶然見かけ、初めてでんぱ組.incのパフォーマンスを目にした。
(Mステだと記憶していたが、Mステでバリ3を披露したことはないそうだ)

キャッチーで一回見ただけで覚えられそう…だが絶妙に難しい振り、一度聴いたら耳から離れないAメロからBメロにかけてのメロディとサビ。何度も聴きたくなるBメロのエモーショナルな展開とサビに向けての高揚感。歌詞は聴き取れない部分も多々あるが、それぞれの声色の違いが楽しい。メンバーごとに色が違う衣装も、当時AKB48しか知らない私にとっては新鮮だった。

楽しい、もっと聴きたい。気に入った曲は飽きるまでリピートするタイプの私は、すぐにTSUTAYAでCDを借り、MVを観、少しするとライブ映像を観るようになった。当時BS朝日で放送していた「でんぱの神々」ものちに録画して観るようになった。
こうしてでんぱ組.incは当時の私の中で強烈な存在感を放つ存在になったものの、ライブに行くようになるのはずいぶんあとの話だ。

最上もがの幻影を追って

後悔先に立たず

私は幼い頃から、よくライブに行っていた方だと思う。

ライブ好きの母親に連れられて初めて行ったライブはピンクレディーの復活ライブだったと聞いている。幼稚園児だった頃のことだ。その後小学生に上がると、毎年a-nationやら浜崎あゆみのワンマンライブやら、年2、3回は音楽ライブに行っていたような記憶がある。
そのように育つと、好きになったアーティストがいれば「じゃあライブに行こう」となるもので、小学生時代に好きになったMAXのライブに連れて行ってもらったり、中学生に上がると度々SEKAI NO OWARIのライブに足を運ぶようになるのだが、でんぱ組.incに対してはなかなかそうはならなかった。

理由は2つ、親に言い出しにくかったのと、オタクという存在が未知数すぎたからである。
小学生時代のお茶の間にAKB48というアイドルが身近にいたのは事実だが、それを経た中学、高校時代、反動で冷笑するような空気があったのもまた事実だった。そんなときに、よりディープな存在に見えるアイドルグループのライブに行きたいとはなかなか言い出しにくかった。
客層も、おそらく成人男性が多いのだろうと予想していたため、「行ったところで身長差がありすぎて見えないかもしれない」「成人男性に気圧されるのは怖い」みたいなことを思っていた。案の定、でんぱ組.incのライブに足を運ぶようになったあと、ほとんど見えず諦めることは度々あったのだが。

とはいえ、2017年のはじめに行われた『幕神アリーナツアー2017 電波良好Wi-fi完備!の幕張公演は、本当に参加する一歩手前だった。本当に後悔したので覚えている。

そう、本当に後悔した。『幕神アリーナツアー2017 電波良好Wi-fi完備!を終え、次のツアーは絶対に行こうとぬるいことを考えていた2017年8月、最上もががグループを脱退したからである。

幻影を追いかけて

ライブに行ったことがないなりにでんぱ組.incが好きで、ライブに行ったことがないなりに最上もがを推していた自負があった私は、突然の脱退の知らせに大層驚いた。
残念ながら、私はあの6人時代のでんぱ組.incをこの目で直接見ることはなくなってしまった。そのままでんぱ組.incへの熱量をフェードアウトさせても良かったものだが、なにせ曲が好きなのである。後悔を払拭するように、翌年2018年からはでんぱ組.incのライブに足を運ぶようになった。

2017年12月30日にメンバーが増え、7人体制となったでんぱ組.incをはじめてこの目で見たのは、実はツーマンライブである。KEYTALKとともにステージを飾った「MTV LIVE MATCH」だ。

それから、夢眠ねむ卒業公演の前日『でんぱ組.inc コスモツアー 2019 in 日本武道館 ワレワレハ デンパグミ インクダ 〜宇宙からの帰還〜、『でんぱ組.inc 全国ホールツアー UHHA! YAAA!! TOUR!!! 2019』、古川未鈴の結婚が発表された『UHHA! YAAA!! TOUR!!! 2019 SPECIAL ~One for all, All for fans~』、『でんぱ組.inc 幕張ジャンボリーコンサート DEMPARTY 幕張式フルコース ~ア・ラ・でんぱ~』、CDJでの年越しを経て数々の配信ライブ、『箱庭の掟』、『電電電電電電電電電!!!!!!!!!+でんでん!! in 日比谷野外音楽堂』などに足を運んだ。

根本凪が在籍していた時期は緑やミントグリーンを、それ以降は青やパウダーピンクのサイリウムを振ってそれはそれは無邪気に楽しんだものだが、直接見たことのない最上もがのいた6人体制の幻影を追っているような感覚が消えることはなかった。

ただそれは、私にとって一番印象深く刻み込まれた6人時代に、私個人が未練があるからというだけである。

最上もが脱退以降の7人、夢眠が去ってからの新6人体制はどのライブを見ても楽しかったし、一番楽しんだ記憶がある。夢眠から根本に色が継承される瞬間は映像で見て鳥肌が立ったし、コロナ禍での配信ライブは当時かなり刺激的で心から感激したものだ。成瀬瑛美が去り、5人が加入してからの10人体制になったときは本当に驚いたものだが、大人数だからこそできる演出が盛り込まれた『箱庭の掟』は新しいでんぱ組.incを感じさせて頼もしかった。メンバーが入れ替わり、それぞれがそれぞれのライフステージを歩み、楽曲の歌詞と共鳴し、毎回目を見張る成長を見せていたでんぱ組.incのメンバーの、そしてそれらを受け入れる懐の深いでんぱ組.incそのものの物語が、何よりも好きだった。それが、最上もがのいなくなったでんぱ組.incから目が離せなかった理由だった。

これも余談になるが、2022年に行われた『明けんこお愛でとんころリッチパーティー♪ 眉村ちあき VS でんぱ組.inc』、『お前らDEMPARKまで行くんだろ?乗りな!』、Wienners主催の『TREASURE TOUR 2022』のでんぱ組対バン回では、仕事としてライブ会場に足を運ぶことが叶った。でんぱ組.incのライブでは毎回席運に恵まれず、唯一近くで見れたのはCDJの年越しライブくらいだったが、レポートを書きながら視界が遮られない場所で見る彼女たちは、あまりにも眩しかった。本当に可愛かった。仕事として見る機会がなければ、あまりにもまばゆいことに気づかなかったかもしれない。

さて、エンディングの知らせには驚きはしたものの、どこか冷静に受け止めている。でんぱ組.incはこれまでたくさんの思い出をくれた。思い出は消えなければ、楽曲も消えない。それだけで十分だなあと思ってしまう。もちろん終わらないでこれからも宇宙を席巻してほしいものだが、ひとまず今は、最後の最後まで楽しませてくれるだろうという予感がするからか、あまりネガティブな気持ちでいたくないという気持ちが強いのが正直なところだ。

とはいえ、10月8日に行われたエンディングツアーのダイジェスト映像を見ていると、この賑やかで楽しいステージがもう見れなくなってしまうのか…という気持ちも湧き出てくる。最上もがのいた時代のライブ映像を見ても、根本凪や小鳩りあの歌声を思い返しても、ライブのときの感情的な歌声が彼女たちのライブの醍醐味だったと感じる。それをもう聴けなくなるのは、やっぱり少し寂しいかもしれない。


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