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カナダで就活 ー福祉専門職の就活記録:応募から採用までー

前回のnoteで、就職が決まったことを書いたのだが、少しずつ、就活を始めてからのことをさかのぼっていこうとおもう。

就活期間だけでも多くの気づきがあったし、じぶんと向き合う時間だった。カナダの就活事情や、それを通して得た新しい発見を、おそらく何編かに分けて。


とりいそぎ今回は、応募してから採用、その後の流れをざっとまとめる。

応募(アプライ)

この入口部分がすでに難関。
履歴書の書き方ひとつで簡単にはじかれる。どうやら、場合によっては目も通してもらえないらしい。

カナダは「経験重視」の国である。
経歴欄にはその職でどういった仕事をこなし、どのような貢献をしたのかを求人毎に書き換える必要がある。

かなりの戦略戦だ。

また、専門職などへの応募には、履歴書に加えてカバーレターの提出が必要になる。カバーレターとは、自分にどのような経験やスキル、知識があって、いかにその職種に適した人材なのかを自信満々にまとめた、いわゆるアピールレターだ。

資格や条件さえ満たしていれば面接の機会が与えられるというものではなく、この書類段階でいかに面接にこぎつけるかが、もはや一番の勝負かもしれない。

特にいまカナダは就職氷河期。ざっと数百と応募している人はざらにいる。

応募後~面接

求人の締め切りから2週間後に面接の連絡があった。

ちなみに、履歴書を送っても一切のレスポンスがないのがデフォルト。面接に進める場合のみ連絡がくる。

お祈りメールすらこない。無反応を貫く、それがカナダ流。

面接当日

連絡があった翌週に面接が設定されるも、面接当日3時間前に電話がはいる。

「面接日を変更しなければならなくなった。別日で再設定させてもらえると大変有難いんだが。」

ほう・・・?
というわけで数日後にずれた。

突如うまれた余分時間に戸惑うも、じゃあ面接の服装を再考しようでないか、とユニクロへむかうわたし。

もちろん職種にもよるだろうが、基本的にスーツでなくてよい。

就活中の相棒(就職支援担当者)からは、ビジネスカジュアルでよいとアドバイスをもらうが、はて、ビジネスカジュアルとは。

とりあえず、きれいめパンツとジャケットを購入。きれいめパンツはオリーブ色にした。無難に黒やネイビーにしようかと迷ったが、職種柄アプローチしやすい雰囲気が必要。

柔らかい印象になるようにした。

面接当日(2回目)

面接は1時間ほど続いた。

面接官は2人、クリニックのディレクターとソーシャルワーカー。まずはジェネラルクエスチョンから始まり、最後は事務的な事実確認も含め、20以上の質問がされた。

面接の質問項目にはざっと以下のようなものが含まれた。

General Questions:志望動機、志望した職種の責任・タスクの理解、地域密着型クリニックに対する理解、法人全体への理解、支援対象となる人々が直面しやすい困難はなにか、自身の学歴や職歴がどのようにこの職種と繋がりがあるのか、などを問うもの。

Behavioral Questions:能力やスキル、経験を問うもの。チームメンバーとの対立があった際にどう対処するか、必要とされる特定のアプローチ手法(ここではトラウマ・インフォームド・ケア、クライエント中心アプローチなど)の経験を問う質問、患者のトラウマなど繊細な部分を尋ねる際の面談スキルなどを確認する質問。

Scenario Questions:シナリオが与えられ、その場面設定においてどのようにクライエント(支援対象者)を支援するかを問う質問。


正直、面接がおわった時はかなり落ち込んだ。
前半はスムーズに答えられたが、進むにつれて、この国ならではの文化的・歴史的文脈により踏み込んだ質問になっていった。

限られた知識と経験をフル活用するしかない。基本的な支援姿勢はぶれずに話せるが、先方が求めるキーワードを十分に盛り込めたという自信はなかった。

特にシナリオクエスチョンはなかなかだった。
数秒で頭をフル回転。とにかくフリーズしないことに必死。

「やりたい!」と強く希望して臨んだポジション。
面接に進めたのは大きなチャンスだった。何とか掴み取りたい一心だった。だが、手応えがあったのかなかったのかもわからなかった。

食事も喉が通らず、その晩は、とにかく寝ることに専念した。

面接後のフォローアップ

面接翌日の朝、フォローアップメールが届く。

「次に進めたいので、リファレンス(推薦)の確認をします」

一度、画面を閉じた。
見間違いではないかと思いながら、朝ごはんを済ませた。

もういちど、メールを読んだ。
次に進むと書いているではないか。

推薦人の候補者を3人指定するように、と。

北米では、採用プロセスで採用担当者が候補者の前職や現職の上司などに直接連絡を取り、本人の人柄や仕事ぶりを尋ねるのが一般的である。

思いつく人たちにすぐさま連絡をとり、推薦人になってもらうよう依頼。
先方へ彼らの連絡先を提供し、リファレンスの確認がおわるのを待った。

ここからはそわそわと、落ち着かない日々を過ごす。相棒からは、“Sit back, and relax!”と言われるも、そんなわけにはいかない。

これでもう結果がでるのだろうか。それとも最終面接があったりするのだろうか。そんな考えがふとよぎる。

よほど、再度の面接がいやだったわたしは、気づいたらひたすらAIと会話をしていた。

「レファレンスの確認待ちだがこのあとの流れはどうなりますか」
「面接でこれとかこれとか、こんな質問をされたんだけど、二次面接や最終面接がされる可能性はありますか」

AIも困っただろうに、丁寧に返答してくれた。一般的な内容を。

ジョブオファー

そんなこんなで先方から連絡がはいる。
「コミュニティヘルスワーカーの仕事をオファーしたいとおもいます!」

そこからは、契約書、就業時間、法人内の規則や福利厚生の詳細などが記載された資料などを確認。契約書にサインをし、正式に採用が決定した。

出勤日はどうやら多少の融通がきくものらしい。
いつから働けるか、とこちらの都合を確認してくれた。現職場との調整を踏まえて希望日を伝え、開始日がきまった。

開始日までの手続き

初日までに必要な書類手続き関係にあたり、書類集めに奔走。

犯罪経歴証明書の発行にあたっては、システム上の障害に手こずった。ここに関しては、言いたいことが山ほどというか、あまりにもつっこみどころが多いので、別日記を書くとする。

とまあ、一連の流れはこんなかんじ。


カナダで就職するには、コネクションと経験が必須だということは、いやというほど聞かされる。これはどうにも、よそからきた人間には厳しい現実だ。

わたしは幸運にも、パズルのピースがカチッとはまっていくかのように、いろいろな要素がいい方向へと連れて行ってくれたようにおもう。

いま同じようにがんばっている人たちにも、いい兆しが訪れますように。





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