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今が夢だと思って

限りある人生だから、可能な限り最善な道を歩みたいと思う。それは自然な感情だと思う。
けれど、ずっと上向きな感覚で居られる訳じゃない。アップダウンは大なり小なりあって、時にはもうどうにでもなれと投げてしまいたくなる時もある。

けれど、たまにふと思う。
私という人間がいて、今いる世界が目に見えて、風を感じることができて、私とは何もかも違う他の生き物と今同じ時間を生きている。

生まれたときには既に世界があった。
誰かが作った何か、長い年月をかけて育ったであろう大自然も、この世で暮らしていくための物質もあらかた用意されていた。

その中で、何かの価値観が創造され、取り込まれるところは取り込まれながら、何となく出来上がった人間が今ここにいる。

この世界は色々なモノで溢れかえっていて、
残酷さを感じることも、自分が人として生まれてきたことに悲しさを感じることもあるけれど

この、今見ている全てが夢なのではないかと
思う瞬間がある。

私の脳が見せている全て。
他の人も同じ景色を見ていたら、確証もないのに
これは現実なんだと思ったりもする。

現実って、時に酷だ。
迫ってくる感覚。その言葉だけで感じるじわっとした重み。

けれど、私がこの世界から消えたとき、
今生きているこの瞬間も、脳で繋ぎ止めてきた歴史も、夢のように実体は消える。

そもそもが、見せられている世界だ。

夢ならば、もう少し力を抜いて生きてみたい。

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