ルナルナもイルミネートもペアケアも続かなかった私が、Appleの「周期記録」を毎日使うようになったのはなぜか?分析してみた
女性に頻繁に訪れる生理。その記録や管理ってどうしてますか?めんどくさくないですか?
私は数年前、ルナルナというサービスを知ってから記録をつけようと試みたものの、気づいたら忘れ、思い出した時に記録、といったことが頻発して数ヶ月おきに飛び飛びで記録していました。
そしてお知らせか何かで「生理周期が乱れてます」と言われ、「記録するの忘れただけなんじゃ!!!」と心のなかでツッコミ、意味ないから使うのやーめた、という経緯があります。
そして数年後、イルミネート、ペアケアという類似サービスが出てきた際にも記録チャレンジしてみたんですが、全く同じことを繰り返し「周期乱れてるから病院行ったほうがいいですよ」みたいな感じの通知に対して「親切なことを言ってくれるなぁ、でも記録忘れただけなんじゃ…」と思い(キレないだけ成長しましたね)、やっぱ私には必要ねーなーと感じて気づいたら使わなくなってました。
そして今。Appleの周期記録ツールを使い、毎月漏れなく記録し、変化や症状がある時は毎日記録、たまにアプリを開いて数カ月間の違いを振り返ったりもしています。そして、もう1年以上継続しています。このツールのおかげで体調の変化が掴みやすくなってセルフケアしやすくなったし、周期に合わせて予定も立てやすくなったし、周期記録の必要性を強く感じるようになりました。
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あまりにも当たり前に生活になじみすぎて自分にこんな変化が起こってたことすら気づかなかったんですが、昨日何気ない雑談をしてる時に「そういえば自分の中でガラッと価値観も行動も変わったな…」と気づいたので、デザイナーの自分としてはちょっとこのあたり言語化しといたらなんかデザインのヒントが得られちゃうんじゃない〜!??と思ったので、これは自分のために言語化を試みる記事です。
前提:私はこんな価値観を持っている人間🙋♂️
フェムテック周辺に興味はあって、話題になってるサービスはとりあえず触ってみるタイプなので、先にあげた3サービスは知った後にすぐ使い始めてみた。が、気づいたら使わなくなっていた。
使わなくなっていることに気づいた時も、新たに使う機会もなかったのでいつの間にか記憶から消えていた、という感じですね。
前の自分→今の自分への、心理的変化
3サービスを使って途中でやめてしまった「前の自分」と、Appleの周期記録を定期的に使うようになった「今の自分」。具体的にどう変わったのでしょうか?
前の自分😕
今の自分🙂
「自分には必要ない」と認識していた状態から、「気づいたら当たり前に記録してる」状態になってました。これって理想的なAsis→Tobeの変化じゃないですか??!?自分でも気づいた時にびっくりしました。こんなプロダクト作りたいいい🤦♂️
他サービスと、Apple「周期記録」との決定的な違い
じゃあどうしてそんな違いが生まれたんでしょう?その要因や、具体的に何が変わったのか、自分にインタビューして分析する気持ちで整理してみました。
「記録が完了する」行為までのステップが、圧倒的に短い
他サービスの場合は、若干の違いはあれど、共通点として アプリ開く→今日の日付を探す→日付を選択→状態や症状を選ぶ→入力を保存 という導線をたどっていました。
一方「周期記録」の場合は、アプリ開く→1タップ で終了する、という圧倒的短さだったのです。3秒で終わります。この圧倒的短さが要因として「めんどくさい」という感覚が生じたことはありません。
また、しれっと書いていますが周期記録のデバイスはApple Watchを使っています。Apple WatchはiPhoneよりも操作性に制限があり、その分操作がシンプルなので「そもそもデバイスが違うから簡単なのでは?」というツッコミも考えられます。ただ、デバイスの違いはあれどiPhone側でも実現可能な導線です。(とはいえデバイスが違うことに起因する体験・インタラクションの差も事実存在するので、この辺はまた別途考察しがいがありそうな部分ですね💭)
それではサービス別の導線の違いについて、実際のUIも見てみましょう👀
UIの違い
流れとして見ると、周期を入力する際には「カレンダー」が現れます。1ヶ月単位の、紙カレンダーなんかでもよく見るような見慣れたフォーマットのカレンダーですね。紙カレンダーに記録するとしたら、こんなふうに記録するだろうな、というイメージは湧きやすいです。カレンダーが現れるのは、他のルナルナ・ペアケアでも共通している点です。
ではAppleの「周期記録」はどうなってるんでしょう。
左がアプリを開いた後の画面、右が記録完了した時点の画面です。左を見てください。「この白い卵みたいな丸、なんじゃこりゃ?」と思いませんか?私は思いました。最初見た時は意味わかりませんでした。見慣れないUI、やっぱApple Watchいみわかんね〜〜🤦♂️と、Apple Watch購入したての私は一瞬抵抗感が生まれたくらいでした。
ただ、この白丸をタップして見ると、そこに現れた赤ぽち。(赤い丸のこと)ぽん、と押したところに現れたその感覚が、なんか気持ちよかったんですよね。そして横にすっとスクロールすると、ぱらぱらぱらと移動する白丸たち。(動画で見てほしいけどApple Watchで動画スクリーンショットできなかった)これがまた気持ちよくてついつい何度もスクロールしちゃうんですよね…。
で、下の方に見えている「月経 +」が気になって下の方にスクロールしてみると、詳細に状態や変化、症状を入力できる欄が。基本的な「周期の記録」は1タップで終わるけれど、もっと詳細に入力しておきたい場合は下の欄から入力できる。メイン目的とオプショナル目的とで切り分けられており、使いやすさに繋がる導線のヒントになるなあと感心した部分です。
使い始めた理由と、続けている(続かなかった)理由
前に読んだ「はじめる理由とつづける理由は違う」という記事の指摘が印象に残っていたので、今回のケースはどう分かれるのかな、と整理してみました。
振り返ると、最初の段階でルナルナ・イルミネート・ペアケアはサービスに対して好印象を抱いていて、「使いやすそう・便利だな・いいサービスだな・応援したいな!」と、口コミやLPを見て感じていました。
ただ、使い続けようと試みると「記録めんどくさ… 忘れてた…」とつまずき、結局離脱してしまったのです🌀
一方、Appleの「周期記録」は最初「なんこれ?よく分からん…けど、押すの気持ちいい。赤ぽちつけるの楽しい。この白丸埋めていきたいな」という感覚が湧いていました。
そして、使い続けているうちに記録がたまり、記録を見たり振り返ったりしているうちに「体調変化を掴みやすくなった!体調に合わせて予定を立てやすくなったし、異変が生じた時はそれに応じたケアできるようになった🙆♂️」と、具体的なメリットを認識していってるなあ、という気づきがあったのです。
図にするとこんな感じ👇
離脱したものは「具体的にメリット理解」して使い始め→「感覚的な要因」のつまずきがあった。
継続しているものは「感覚的な要因」でよく分からないまま使い始め→使ってるうちに「具体的なメリットを理解」していった。
はじめる理由とつづける理由とが、逆になっているんですね〜〜🏂 これは非常に面白いなと思いました。
私は頭でっかちの真面目人間デザイナー職なので「ユーザーが喜ぶものを作ろう!ユーザーのメリットを的確に訴求しよう!」って思考が働きがちなんですが、「よくわからんまま使い始めた。けど続けてたら良さが分かってきた」状態でもええんじゃ?むしろそっちの方が刺さること多いのでは???という気づきがありました。
で、たまたまこの前買った本をぱらぱらとめくってみたら、それを再現できそうなヒントが書かれてました。
…私に言ってんのか?ってくらいグサっと刺さりました。まだざっとしか目を通せていないので、このあと丁寧に読んで再現できるレベルで落とし込んでみようと思います💃
最後に🙋♀️ 周期記録の体験が良い=プロダクトの正解、というわけではない
今回は「周期を記録する」という行動にしぼってのみ着目しました。例としてあげたルナルナ、イルミネート、ペアケアのサービスは周期記録に限らず、他機能展開や商品購入などにもつながっており、それぞれプロダクトとしての立ち位置やねらいが違うこと、周期記録をメインにしていないこと、そもそも私みたいな人間はターゲットとされていない可能性(だから離脱しても問題ない)も考えられます。
そのため「周期記録をしやすくする」ことだけがプロダクトの正解ではない、ということは頭に置いておく必要があります。
ただ、私自身の体験として「周期記録」の行動一つをとって振り返ってみた際に、こんなに価値観と行動が変容することがあるのか、という自分の中での大きな気づきがあったため記録に残しておきたく、ついでにnoteという形で外部に向けてもアウトプットしてみました。
これこう思うよ!こんな観点もあるよ!などなど、コメント・フィードバックがあればTwitterのリプライなどでいただけるととっても嬉しいです🕺
お読みいただきありがとうございました〜!
もしサポートいただけたら、リサーチまたはデザインの本の購入にあてて、アウトプットしていきます✍️