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薔薇のような味の実
見た目は強いて言うなら枇杷だけれども
表面はつるりとしていて、振るとカラカラと音がする
切ってみると、びわのような硬い種が、実にくっ付いてはいない状態で入っている
この果実の名前はフート
沖縄に来てから知らない南国フルーツは見かけたら食べる事にしていて
売っているほとんどのものは食べたので
もう食べたことのないものはないと思っていたのに
先日、北部の雰囲気の素敵なところでランチを食べたら
この実は
さりげなくサラダに入っていたのです
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赤いハイビスカスの花びらをむしゃむしゃ食べて
小さく切られた何か分からない黄色っぽいかけらを口にした途端
脳が、今まで食べたことのある味と照合しようとしてフル回転!
噛んで噛んで、とうとう口の中からなくなってしまっても
答えは出ません
隣で食べていた夫に
「何これ?」と聞いてみても、もちろん分からず
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もう少し食べれば何かに辿り着けそうなのに
小さいかけらなので、すぐに噛み終わってしまい
答えの出ないまま、次々と食べ続けた何か分からないかけらは、なくなってしまいました
あまりにもじっくり黙々と食べていたからか
店員さんが通りすがりに
「ハイビスカスの花びらは食べられますよ〜」と声をかけてくださった
ハイビスカスに戸惑っていると思われたのかもしれません
すかさず、夫が
謎のかけらのことを聞くと
今の季節にしか食べられない、フートという珍しい実で
販売もしていますよ〜とのことだったので
もちろん買って帰ったのでした
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袋に10個ぐらい入っていて
袋越しにもいい香りがフワ〜っと漂っています
家に帰って
思う存分じっくり食べると
脳が知っている何かに辿り着きました
そう、それは薔薇
食べると口の中が薔薇の香りに包まれるのです
食感はややスポンジーでいてサクサク
果汁は滴るほどでもスカスカでもありません
いや〜面白い食べ物だね〜と
夫と二人で盛り上がり
食べたことのない味がまだあって、それを体験できることが
こんなに楽しい事なのかとか
でも、これは皆に食べてほしいけど、送ってまでして食べてもらうフルーツという感じではないとか
フルーツではなく野の実だ!とか
初めての実についての考察は尽きないのでした
たまたま出会うことがあれば
ぜひ食べてほしい実でした。