Champions Tour 2023: LOCK//IN São Paulo からFNATICの分析
はじめに
この記事では、Champions Tour 2023: LOCK//IN São Paulo で活躍した「FNATIC」 の各MAPごとの分析していきます。
今回は個人的に完成度が高いと感じた、HavenのMAPを選びました。
(選手名は敬称略させていただきます。)
大会全体のデータ
まず、振り返りも兼ねて大会全体のデータを見てみましょう。
データ1は、今大会のACSが高い上位20人のラウンドごとのファーストキル発生率(FKPR)である。
右側に行くほどACSが高く、上のプレイヤーは下のプレイヤーに比べてファーストキルを取ることが多い。
ここでは、各選手のロールを考えながら見てほしい。
ここに並んでいる20人には、FNATIC、LOUD、DRXの3チームに所属している選手のみである。
特徴的なのは、上記の3チームのエース的な役割を担っている選手たちが右上に固まっていることである。そして、サポートで活躍している選手たちが左下に固まっている。
FNC Leo、DRX Mako はサポートプレイヤーであるがACSに関しては他チームのエース級である。
さらに、この2人はRatingが1.29 と 1.23であり今大会1,2位のRatingを叩き出している。また、LeoはFDしている回数が268ラウンド中7ラウンドしかなくこのStatsがFNCの躍進の1つにもなっているだろう。
FNATICの大会データ
上のデータ2、3はFNATICの各Mapのプレイ回数と勝率である。
FNATICは常に、Map banではPearlを選択し一度もプレイしていない。
逆に、Map pickではHavenを多く選択している。
vs FURIAで18-16 と接戦になった後日の vs100T と Map ban でLOUDがHavenをbanした時以外はすべてHavenをpickしている。
Second Map banにはfracture をbanする機会がなく、Ascentをbanすることがあった。
そのため、FNATICは、Haven、Fracture、Ascentの順に自信があったのではないかと考えられます。
このことから、Haven について分析を行っていこうと思う。
データは、vs Sentinels vs NAVI のHaven、から取っていく。
Haven
vs Sentinels
構成
この試合は、13-6でFNATICが勝利を収めている。
FNATICの構成は、Asiaではお馴染みであり世界的にメタになってきている構成である。
Boasterはomenではなく、Astraの採用でありどこにポジショニングしていてもスキルでのカバーができるというような構成になっています。
また、攻めではサイトから離れていてもsmokeを出せることから、ラークの動きを行っています。
データ
攻撃時と守備時のRatingがどれくらい違うのか、それがこのデータで分かる。特徴的なのはAlfajerとChronicleである。他にも、Choronicleは攻撃時と守備時のRatingの差が非常に異なるのが気になる。
データ4はファーストキル(FK)とファーストデス(FD)のデータである。両チームともに、jettを使うDerkeとTenZがはじめに打ち合う機会が多いことがわかる。
Chronicleは防衛時に、Bサイトを守ることが多いことからDerkeの次に打ち合う回数が多いことがわかる。
vs Sentinels戦で見せたFNATICの戦術
FNATICの戦術として特徴なものは、Aサイトの防衛、アンチエコでの戦術、防衛時のsovaのskill、breachのstanの使い方、Boasterの寄りの速さこの4つである。
まず、Aサイトの防衛方法を説明する。
FNCは基本的にどのサイトでも、リテイクの形、サイト内の耐える形を持っていた。
特に特徴な形が、画像2、3のようなAサイト内の耐え方である。
相手のセットアップに対して、breachは常にサイト内のカバー、リテイクのために引くことができる位置にいた。また、この位置からskillのカバーも行っていた。
この配置を持っているFNATICは、A側のエリアの取り返しに使うスキルがなくとも防衛はうまくいっていた。
おそらく義務化された射線の組み方であり、ロング側の進行をbreachのskillで止めショート側と勝負するような射線を組んでいる。
最近では、Aサイトのセットアップに対して、サイトに耐える用smokeを設置する、リテイクの配置にすることが多い。そのため、SentinelsはAショート前目の画像3にあるsovaの位置に常に苦しめられていた。
次に、対エコラウンドでの対策方法である。
このMapの対エコラウンド、対ハーフバイラウンドの取得率は、攻守共に100%であった。
防衛時には2つの秘訣がある。
1つはラウンド開始時のエリア取りskillを使わないことである。
FNATICは対エコラウンドでは、breachのstan、sovaのrecon bolt、は常に相手のエントリーに対してのカウンターとして使用していた。
また、相手のアクションに対しても寄りの速さを早め相手のエントリーに対して、常にサイト内に3人で対応できる形にしていた。
次に攻めの時の戦い方でも2つの秘訣がある。
対ハーフバイには、早めのCラッシュを多様していた。
対エコには、エリア取りに5人をかけてスキルも渋らずに、常に1つの射線に対して2,3人かけて戦う動きをしていた。
攻めであれば、1:4の配置を行うチームもあるが、この試合のFNATICはこの形を使用しなかった。
次にsovaのskill、breachのstanの使い方である。
FNATICの防衛時には、breachのstanをラウンド開始直後の1:40~1:30に使用することが3回のみであった。
そのうち2回は、画像4のようなA側をロビーまでにコントロールする際に使用し、1回はボーナスラウンドにB前にstanを入れてピークしていた。
主なの使い方では、常にjettのサイトエントリーに対してstanを返していた。
これは、相手がどのタイミングでエントリーしてきても対応できるようにするための対策である。
ダブルイニシエーターの構成であれば、ラッシュ、60s~50sの一般的なエントリータイミングだけでなく、1:10sなどのタイミングでエントリーも可能である。そのためFNATICは常にbreachのstanを防衛時には残していた。
これに伴い、sovaのskill回しも特徴的なものがあった。
防衛時、FNATICはsovaのdroneを55s~40sのタイミングで使うのである。
これは、今回の試合ではkill/joyのturretを壊される機会が少ないこともあるが、どのサイトでもリテイクやサイト内の耐える方法を持っているのでこのskill回しができている。
また、攻めではrecon boltの使い方がAsiaではあまり見ない方法である。
それは、セットアップでは使わずにrecon boltを先に打つという点である。
recon boltが壊されるとセットアップを使用し、壊されないとskillを最低限にサイトにエントリーするといった形である。
必要な時に必要なだけのskillを使う動きである。
Asiaでは、recon boltとflashを合わせるようなセットアップが多いですが、このような使い方はAsiaには少ない使い方かなと思います。
最後に、Boasterの寄りの速さである。
FNATICのアンカーはC側はkill/joyであり、A側はsovaに設定されている。
Boasterはラウンドの開始時ではCロングのジャンプピークを行っているが、相手の動きに合わせどんどCリンク、Aリンク、Aサイトと体の位置を変更する。そして、この試合ではBoasterは相手のA攻めに対してほとんどの場面でAサイト中での耐えに参加している。
これは、もちろん情報取りに勝っているからもあるが、サイトに入るまでの足止めが上手く機能している点が大きいように思える。
これによってFNATICが攻められる際には常にサイトに3.4人いる有利な状況が形成されていた。
vs NAVI
構成
この試合は、13-11でFNATICが勝利を収めている。
FNATICの構成は、vsSentinelsの時と同様の構成である。
対して、NAVIはbreachではなくkay/oを採用しbreachによる強力なセットアップに対して、カウンターできるような構成である。
データ
vsNAVI戦での攻撃時と守備時のRatingがどれくらい違うのかが分かる。
特徴的なのはLeoとZyppanである。この2人は攻守が変更しても常に高いパフォーマンスを維持し続けていた。
他にも、Derke Shaoは攻撃時と守備時のRatingの差が非常に異なるのが気になる。
データ7はファーストキル(FK)とファーストデス(FD)のデータである。今回の試合では、Derkeの敵とのエンカウントの回数が多いことがわかる。Derkeは今回FDの回数が多く、相手のスキルを使わせる動きやカバーの先頭に立つ動き、エリアの保持を行う動きを中心に動いてた。
この試合でもLeoはFD 0回ということで、常にカバーのポジショニング、死なないポジショニングを行っていた。
vsNAVI戦で見せたFNATICの戦術
この試合で、FNATICが見せた作戦はvsSentinelsと似たようなものがあるが多少違う点でいえば、Boasterの寄りのスピード、ゆっくりとした攻めを軸にした緩急のある攻め方、攻めでの修正力、である。
この試合でも、画像6のような vs Sentinels戦で見せたスキルの返しからのサイト中での耐える判断が良く目立った。この防衛の形からAサイト側ではラウンドを重ねる場面が多くあった。
この試合のBoasterの寄りのスピードは、vs Sentinels戦に比べてかなり遅い。
これには様々な要因があり、NAVIがラウンド中でFNATICの配置が平らになるように攻めていた点、試合全体のラウンド運びでもどこに攻めるか絞らせなかった点、同地域としての読み、などの要素があったと思われる。
寄りのスピードが遅くなってしまったため、A側はリテイクの配置である事が多く、Derkeがvs Sentinels戦で見せたハイリスクハイリターンの動きは少なかった。
攻め方では、vsSentinelsの時とは全く違う展開であった。
前試合ではかなりハイテンポなラッシュ気味の攻めが良く目立った。6/7の設置回数であり、設置までの平均タイムは42sであった。
しかし、今回の試合では10/12回の設置回数があり、設置までの平均タイムは59.4sというように15s程度増加するような形になった。30sでのエントリーや70sのエントリーなど、様々なテンポ間でのエントリーを行い相手にエントリーのタイミングを絞らせなかった。
攻めでの修正力も良く目立った。
FNATICはピストルラウンドを獲得後、3連続でラウンドを落としてTime Outを取りその後、3ラウンドを連取した。
おそらくだが、miniコーチからAメインを体で取るように指示されたのだろう。
FNATICは画像7のようにA側にアクションをかけていたが、実際にはショートからやメインからの射線で進行していないことがばれていた。それにより、相手の寄りが早く、設置音に対してのリテイクに苦しめられていた。
これに対して、画像8のようにアクションをしっかり起こすことでこの状況を改善し、相手の早いリテイクを阻止していた。
この修正前は実際にはFNATICの画面では理解できていない。
神視点である我々は容易に理解できるが、FNATICはA側のコントロールをしたつもりでいた。そこに対して短い時間で修正をピンポイントで行うFNATIC miniコーチの修正力によって勝利にも繋がっている。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?