#9 世界一幸せな洗濯
私のわりと好きな家事の一つに洗濯がある。
ほっと心ほどける日差しの中で
整然とゆらめいている洗濯物を見るのが気持ち良い。
私はタンザニアに少し移住していたことがある。
大家族で住んでる家がどこにでもあった。
彼らが干す洗濯物の量は計り知れない。
大木の枝から枝に一本のロープ。
ザァーと家族の洗濯物が干されているのを見ると圧巻。
顔が自然と綻ぶ。
晴れている日も曇りの日でも
綺麗になると思うと気持ちが良い。
娘が生まれる前、
初めて買った服で初めての水通し。
カラッとした秋空の下、
たくさん並ぶ小さい服たち。
それを『世界一幸せな洗濯』と呼ぶのだそう。
妊婦になって初めて知った。
こんなに小さい服を着る赤ちゃんが
私たちの生活に現れるんだろうかと
不思議にさえ思った。
今思う。
晴れの日でも雨の日であっても
娘の小さな服と私たちの服が混じり合う洗濯物を見る時
あぁ本当に世界一幸せな洗濯物があるんだと。