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ドラマ所感「団地のふたり」

検査の結果が悪いと言うほどではないけど良いとも言い難く、何だか気が滅入ってしまうので、たまには目先を変えてドラマの話など。


NHK BSで11月まで放送されていた「団地のふたり」。
小泉今日子、小林聡美のコンビといえば往年の名作ドラマ「すいか」が真っ先に頭に浮かぶ訳なんだけど。



以前勤めていた職場で「すいか」の話が出た時、「あの手のドラマなんか好きになれないんだよね」という男の人が多いのにびっくりした。
多いというか、男性陣ほぼ全員だった記憶がある。
「かもめ食堂」とかも好きじゃないらしい。
何でだろう。
「なにその職業、本当にそれで食べていけるの?」みたいな詰めの甘さが気になってしまうんだろうか。
それを言うなら「孤独のグルメ」の井之頭さんだってどうかと思うけど。
所詮はドラマ、ファンタジーなんだから。
あとは男性を何となく締め出しているような女子校みたいなノリかなあ。
とまあそんな話は置いておいて。



団地で生まれた幼なじみのふたり、ノエチ(小泉今日子)となっちゃん(小林聡美)。
それぞれ一旦は実家を離れたものの、離婚や事実婚の相手との別れを経て、結局は団地に戻ってきた。
50を過ぎた今でも仲良し。
日本のどこかにありそうな団地暮らしの中で起こるちょっとした波風を、ユーモア溢れる描写で綴ってく。
見どころは何と言っても役者陣の素晴らしさ!
安定の小林聡美はもちろん、大学非常勤講師を演じる小泉今日子が時折みせるキレのある動きに「やっぱり違うよなあ」と感心させられる。
個人的には丘みつ子演じる、ちょっとだけ意地悪な80過ぎのノエチの母親役がツボで、解像度の高さに笑いながら繰り返し見たりしていた。



どの連続ドラマでも大体一回はある「もしかしたら癌かもしれない」回。
このドラマでは6話目。
役を割り振られたのは小泉今日子演じるノエチ。
ちょっとした思いつきで乳がん検診を受けたノエチは要精密検査となりショックを受ける。
癌への不安に怯えつつも誰にも打ち明けることが出来ない。
みんなに心配は掛けたくない、でも気付いても欲しい。
揺れ動く気持ちの中でどうみても挙動不審になるノエチは「千の風になって」を口ずさんだりしている。
すっかりネタ化した「千の風になって」の昨今の風潮はどうかと思うけどまあそれも置いておいて。
実は密かに事態を察して心配していたなっちゃん。
幼馴染ならではの距離感でちょっとぶっきらぼうにノエチに掛ける一言が泣ける。
「どっか悪いの?」


その後どうなったかは見てのお楽しみということで。


ドラマが始まる前に原作も買っていて、ドラマを見る前に読むか、見た後に読むか散々迷ったんだけど、結局ドラマが終わってから病院の待ち時間によんだ。
ドラマも原作も面白い。
原作はドラマよりももっと淡々としている感じ。
あの人もこの人もドラマオリジナルのキャラクターなのね、と驚きながらも、ちゃんと原作の雰囲気を壊さずに話を膨らませていて、やっぱりプロって凄いんだなと改めて感心したりする。
原作は続編が出ていてそれも購入した。
ドラマの続編も出来そうな感じではあったけど、どうなのかなあ。
団地の小さなベランダで、夜、ランタンを出してくつろぐノエチとなっちゃん。
あの二人にまた会いたい。
毎回見終わるたびに、明日友達にラインしようという気持ちになった。



見終わってから何か食べたくなるドラマはきっと良いドラマ。
「団地のふたり」はもちろん喫茶店まつのホットケーキ。

※写真はイメージです


ちなみに「孤独のグルメ」も好きです。