ストアブランドという存在
寒すぎて膝が痛いです。
こんばんは。栗山です。
改めまして、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
今年は、"さらに"みなさまに楽しんでいただけるようなお店になれるように、
核となる古着のクオリティアップを中心に、色々と頑張っていきたいと思います。
2025年初回のnoteは、僕の大好きな"ストアブランド"についての魅力をお届けしたいと思います。
詳しい方はご存知かと思いますが、
古着の世界で語られるストアブランドとは、アメリカの大手小売りチェーンがオリジナルで展開していたブランドの事。
有名なのは、「J.C.Penney」、「Sears, Roebuck」、「Montgomery Ward」の3社が展開していたもので、「3大ストアブランド」などと呼ばれています。
この辺りのブランドは、古着店さんでも見たことのある方は多いと思います。
今の日本でいうと、小売店の「セブン&アイ」が展開している「セブンプレミアム」などがイメージしやすいかと。
流通業界では、"ナショナルブランド"に対抗するオリジナルブランド(商品)としての"ストアブランド"というのが一般認識のようでして、
「明治乳業」というナショナルブランドの「明治おいしい牛乳」の対抗として、
「ファミリーマート」という小売店の「ファミマの牛乳」があるみたいな感じです。
(ファミリーマートの方、間違っていたらスミマセン)
そんな"ストアブランド古着"の何が魅力かと言いますと、
”面白いアイテムが多い”
これに尽きると思います。
当時のアメリカに置き換えると、
ジーンズであれば「Levi's」
ダウンジャケットであれば「Eddie Bauer」
スウェットシャツであれば「 Champion」
といったナショナルブランドに対抗して、
J.C.Penneyであれば「TOWN CRAFT」
Sears, Roebuckであれば「HERCULES」
Montgomery Wardであれば「PIONEER」
などを中心とした小売店独自のブランドを作り展開していたんですね。
実際には各小売店もっともっと多くのブランドを作っていて、
60年代以降になると企業名をそのままブランド名にしたものが増えてきます。
アメリカ中でLevi’sのジーンズが売れていたら、「それに似たものを作って自分たちで売っていこう!」となるのも想像できますし、ごく自然な流れだと思います。
ただ、Levi’sのような圧倒的なシェアがあり、専業メーカーとしての技術力を持ったブランドに対抗するのは難しく、
アイコンであるバックポケットの「アーキュエイトステッチ」や「レッドタブ」は商標の問題でもちろん使えません。
そんな中、各小売店の対抗策として、
コストを落としてより安い値段で販売してみたり、
欠点を補ってみたり、無い色を作ったりと、様々な方向でオリジナリティを出していきました。
そんなこんなで生まれたのがストアブランド独自のアイテム。
そのチープさが愛くるしかったり、上手に真似しているな~と思ったり、
時に完全にオリジナルなものが生まれたり、その多様で面白いアイテムがあるところが、個人的にとても魅力的だと感じています。
先ほど挙げた「HERCULES」や「PIONEER」はその中でも古く、
コレクターの間でも人気で非常に高価な物もあります。
Rillにはそこまでの"スペシャル"はありませんが、
ここからは、お店に並べているものを例に出して、
その魅力を伝えていきたいと思います。
さっそく行ってみます↓↓↓
【Sears Roebucks】 60's 5P JEANS size--(実寸W32×L28)
Searsが展開していたウエスタンウェアのブランドRoebucksのブルージーンズ。
乗馬中に物が落ちないようにしたと言われる特徴的なフロントポケットや、独特の切り替えが施されたバックポケット、ウェスタンウェアらしいスナップボタンなど、独自の意匠がストアブランドならではで最高です。
ヴィンテージならではのセルビッチデニムの色落ちや、ファスナー使いも◎
【TOWN CRAFT】60-70's DOUBLE-BREASTED NAVY BLAZER size--(実寸L-XL程度)
こちらはJ.C.Penneyが展開していたTOWN CRAFTのダブルブレストブレザー。
この総柄の裏地がTOWN CRAFTらしさ全開で最高です。
カジュアルウェアに比べて数は少ないですが、ジャケット類も展開していました。
1ブランドでここまでの幅の広さがあるのはストアブランドならでは。
Brooks Brothersのようなハイクオリティではありませんが、
少し気の抜けた雰囲気とめずらしさに120点をつけたい1着。
【MONTGOMERY WARD】70's CHECK CPO JACKET sizeM
社名そのままで展開していたMontgomery WardのCPOジャケット。
他ブランドも含め、この年代はCPOジャケットが人気だったようで、
Montgomery Wardでも抜かりなく展開していました。
素敵な柄ですが、配色に若干のストアブランドらしさを感じますね。
生地はウール×リネンに、50%は"その他"と表記のあるネル。色々混ぜてあるところに、コストカットの痕跡が伺えます。
【TOWN CRAFT】90's PATTERNED KNIT MADE IN U.S.A. sizeL
続いては、90'sのTOWN CRAFT。
”これぞ”な独特のジャカードパターンと配色が抜群。
ペイズリーの一部を拡大したようなモチーフがインパクトのある1着です。
好きな人、嫌いな人がハッキリと分かれると思いますが、僕は大好きです。
このルックスでしっかりMADE IN U.S.A. というのも面白味がありますね。
この年代のニットは比較的見かけますが、同じ柄をほとんど見たことが無いほど種類が豊富。その中でも抜群の柄だと思っています。
【Sears】60-70's BALMACAAN COAT with LINER size38(実寸M-L程度)
ラストはコチラ。Searsブランドのバルマカーンコートです。
一見すると普通のコートですが、最大の特徴は裏地。
色気のあるメランジのワインボアが抜群。ライナーを取り外すと淡色の裏地が出てきます。
おそらくLONDON FOGなどの当時シェアの高かったコートをモチーフに作ったものだと思いますが、生地やディテール面のクオリティが非常に高いです。
ストアブランドが”上手に真似”した好例ですね。痺れる1着です。
ここまでストアブランドの魅力をアイテムを交えてお伝えしましたが、
いかがでしたでしょうか?
お伝えしたのはほんの一部で、調べていくと3大ブランドだけでもさらに多くのブランドやアイテムが存在します。
古着の世界は奥深いですが、ストアブランドという1ジャンルだけでもかなりの深さがありますよね。
気になった方は、せひ色々と調べてみて下さい。
ハイクオリティなアイテムはもちろんですが、チープなアイテムまで含めてその"魅力"を感じていただければ幸いです。
今回は「ストアブランドという存在」でした。
最後までありがとうございました。
栗山