ハーヴェステラクリア感想
博士論文がひと段落付き、2年ぶりくらいにゲームをクリアしました。
ポケモンSV以来です。
なかなかに良いゲームだったので感想を書こうと思います。
発売してだいぶ経ちますが、ストーリーのネタバレはあまりせずに書きます。(最後の見出し以外)
購入経緯
私がポケモン以外で好きなゲームとして、ルーンファクトリーとゼノブレイドがあります。
ただルーンファクトリーの最新作はお世辞にも出来が良いといえず、次回作も様子見したいと思うくらいでした。
そんな中2年ほど前のニンダイで、スクエニからルンファクっぽい作品が発表され、楽しみにしていました。
ただ、博士課程で忙しく、また体験版の評判もよろしくなかったので買わずじまいでした。
しかし、博士論文が終わって時間ができたので、なんか久しぶりにゲームやりたいなと探していたところ、意外とハーヴェステラは発売後に評価を上げているようだったので、プレイしてみました。
ゲーム性
ルーンファクトリーとゼノブレイドを足して3で割ったようなゲームでした。
戦闘システムや農業のシステムはほぼルーンファクトリーです。ただし農業は非常に簡素です。
フィールド関連はほぼゼノブレイドです。ただフィールドはゼノブレイドと比べると格段に狭くほぼ一本道です。
つまり、いろんな要素を盛り込んで、それぞれを薄くしたようなゲームです。
そのため、両作品のファンとしては物足りなく感じることもありましたが、ルンファクとゼノブレを足したゲームを作ったらボリュームが大きすぎてストーリーが一切進みそうにないのでこれはこれで良いと思いました。
この記事では良かった点、悪かった点を書いていきますが、上述の背景からルンファクやゼノブレとの比較が多々あります。ご了承ください。
良かった点①:壮大かつ練られたストーリー
プレイ前調べた時、このゲームを評価している人のほとんどがストーリーでしたが、確かによくできていました。
ただ、好きなストーリーだったかと言われると微妙です。私は割と等身大の人生の物語が好きなので、本作はあまりに壮大すぎました。
また、私は主人公が喋らず、何選んでも一緒の選択肢が出てくるゲームはあまり好きではありません。本作も多くの選択肢はストーリーの進行には無関係で、無感情にポチポチ押していました。
「良かった点」なのに、ここまで否定的なことばかり言っていますが、裏を返せばテーマやシステムは好みでないのに「ストーリーが良かった」と感じるくらい出来が良かったということです。
本作の裏テーマは「答えのない問いを考え続ける」ことだったように思います。
メインストーリーもキャラストリーも、皆答えのない問いに対して悩み続けています。
どのストーリーも万事解決!とはなっていません。結局、暗い過去やわだかまり、先送りにした問題が数多く残っています。失って戻ってこなかったものも多いです。
ただ、それでも前に進み続けること、その尊さを語る物語となっています。
個人的にボロボロ泣くことや感動する場面はそんなに無かったのですが、勇気づけられるようなストーリーであったと思います。みんなかっこよかった。
良かった点➁:シンプルな戦闘・農業
賛否両論点だと思いますが、個人的には評価点です。
もちろん、これでストーリーまでルーンファクトリーくらいシンプルだったら味気ないですが、ストーリーがこのくらい重厚ならこのくらいの簡素さが妥当かと思います。
戦闘は戦略面では多少属性を気にするくらいですし、アクション面では相手の強い攻撃は攻撃範囲が表示されるので余裕でよけれます。
この手のゲームは日々のタスクが多いのでストーリー進行が滞りがちですが、農業と戦闘がサクサク進むのであまり邪魔されずにストーリーに没頭できました。
良かった点③:時間経過システム
これも賛否両論…というより否定よりの意見も見かけますが、時間経過が良い感じでした。
ルンファクと比較して革命的だと思ったのは、調理やクラフト、フィールドマップ移動に時間がかかることです。
牧場物語やルンファクをプレイしていると、とにかく効率よくプレイしたくなります。限られた1日の時間で住民に話しかけ、農業をして、鉱石や材料を集めて…。毎日が同じ繰り返し。
本作は調理やクラフトに時間がかかるので、料理をたくさん作ると一気に日が暮れます。また、一番遠い町に行くとそれだけで結構かかります。
一方で、住人に毎日話しかけて好感度を上げる必要がないので、それほど一日でやらなきゃいけない仕事はありません。農業も中盤にはある程度自動化されます。
「料理作ってたら今日は昼過ぎてしまった。じゃあ近場の町のクエストでも進めるか」
「今日は時間あるし、作り置きの料理もあるから朝からメインストーリー進めるか」
といったように日によって今日は○○するか、と選べます。
また、ルンファクや牧場物語が好きな人は結構作業が好きだと思うので、1日いっぱい使って効率よく作業しがちです。するとあっという間にお金も貯まってストーリーも進んでしまいます。
もし料理やクラフトに時間経過がなかったら、多分私は1年目の夏~秋にはストーリークリアしてそうです。さすがに季節1周はしたいです。
賛否あると思いますが、個人的にはルンファクシリーズも毎日やらなければならないタスクを減らし、その分料理や鍛冶に時間がかかるようにしてほしいです。
悪かった点①:キャラ間の会話の少なさ
最も勿体ないと思うところです。
主人公と仲間の1対1のキャラストーリーは充実していますが、仲間同士の交流が希薄です。
モノライト前で食事休憩することで仲間同士が交流するキャラストーリーが見れますが、普通見れないです。
料理はどれも食材コストがルンファクと比べて大きく、ちょっとしたフィールドで食べるのは勿体ないです。
仲間もレベルは勝手に上がりますが、武器強化の必要があるので固定メンツになりがちです。
そもそもモノライトに到着する時って、大抵は探索開始時か終了時なので食事を取るタイミングとしては微妙です。
その上食事は何でもいいわけではないので、攻略でも見ない限りどの料理でどの組み合わせの会話が起きるのか分からない…。
ストーリーが魅力なだけあって、このシステムは最悪でした。
クリアしたので攻略サイトを見てイベント回収したいなと思っていますが、できればメインストーリーの途中で見たかったです。
「この料理を誰と誰と食べると会話発生する」というヒントがあれば、料理を作るモチベになり、食材を育てるモチベにもなるので、そうしてほしかったです。「このトマトが育てばあの二人の絡みが見れるぞ…」みたいなの楽しくないですか。
あと同じスクエニ作品でいうならドラクエの仲間と会話するシステムみたいなのも欲しかったです。
悪かった点➁:余計な収集要素
最もいらないのは「アイテムの質」です。
本作では農作物や魚などそれぞれに1段階上のランクがあります。ちょっと売値や効果があがります。それだけです。
それだけなのに、バッグでは別アイテム。図鑑でも別アイテム。
収納箱も無駄にアイテム数が増えて取り出しにくくなるし、図鑑が穴ぼこだらけになりコンプリートする気も失せます。いわばポケモン図鑑が通常色と色違いで番号を2つ使っているようなものです。
ルンファクや牧場物語でも質はありますが、あれは土や農薬に気を付けて上手に育てると上がるもので、品評会もあります。
本作の高ランクはランダムで生まれるだけです。ほんとに何の意味があるんだ…。嵩増しでしかない。
またトロフィーも何の説明もなく、またほぼ上がらないロフトの上に並べられるので達成感が皆無です。要らない。
普通に妖精クエストの中に載せて、達成したときになんかごほうびください。
また、収集とは少しズレますが、ジョブも無駄に多すぎです。
しかもスキルツリー式で、同じ武器を使い続けてクリア時にようやく全部開放されるペースなので、他の武器を使う気になれません。私はずっと初期のファイターとメイジで闘っていました。
戦闘システムがもっと複雑で面白いなら、それでも武器種を使い分ける楽しさはあるでしょうが…。
農業や戦闘がシンプルなこと自体はむしろ評価点なのですが、それを誤魔化すような無駄な収集要素や武器種は私は余分に感じました。
悪かった点③:サブクエが微妙
ゼノブレでもルンファクでもあるサブクエですが、正直微妙です。
そもそもこのゲームは3Dのグラフィックが微妙です。
3Dにモーションが少なく、表情も変わらないので、緊迫したシーンでも違和感があります。その分2Dグラフィックでは表情豊かですが…。デフォルメなら気になりませんが、頭身は普通なので悪目立ちしています。
そしてサブクエは数パターンしかグラフィックが存在しないモブなので、人形を相手にしているようです。
ストーリーも長い割にそこまで面白くなく、主人公が助ける動機も分かりません。
メインストーリーやキャラストーリーがとても良いので、サブクエはもっとシンプルで良かったのではと思います。「○○のモンスターを退治して!」とか「○○をください!」みたいな。
ただ、一部のサブクエは町の根幹に関わる面白い話もあったので、それは残してほしいものです。その人たちくらいは他のモブと顔を差別化してほしいです。灯台守の話とか。
キャラについて(長文・ネタバレあり)
ここからは少しネタバレありで話します。
個人的にアリアがとても好きでした。
どのくらい好きかというと、今までプレイしたゲームのヒロインで一番好きなレベル。
第一印象はあまりよくありませんでした。
勝手に出ていったのに秋のシーズライトまで助けに行くときはストーリーの進行のためしびしび行くかという感じでした。ディアンサスの方が仲間感ある。
皮肉屋でサバサバしていて、あまり主人公と関わりたがらないタイプ。正直テンプレですよね。こういうキャラが徐々に心を開いて弱さをさらけ出して…というのがお決まりです。
ただ、アリアは最後まで強かったです。
謝るし反省はしますが、へこたれません。終盤アリアの心を助ける場面がありましたが、重すぎる責任や使命から心を閉ざしたのであって、アリアの心が弱って闇に落ちたわけではありません。
ヒロインとして見るとしおらしさがなくて、好きじゃない人もいるかもしれません。エモやクレスの方が人気かも。
ただ、アリアは平和な時代のヒロインではなく、滅びゆく時代の希望であり旗振り役なのです。そのキャラクター描写としては非常に説得力があったと思います。十二国記の珠晶を思い起こさせました。
アリアが好きだったのでストーリー終盤の大きな選択もしんどかったです。
過去の人類か、今の人類かなんて、普通に考えれば過去の人類なんて赤の他人なので躊躇なく過去の人類を滅ぼせます。
しかし私はかなりアリアの気持ちを考えるとなかなか選べませんでした。かといって今の人類滅ぼすのも、説得に応じてくれたアリアの覚悟を踏みにじることになるわけで…。
実際このゲームは選ばないことが正解のように進行しましたが、仮に選ばないと進まないとしたらゲームを投げ出してしまったかもしれません。
あと私はちょろいので、序盤にストーリーが進むと「いってらっしゃい」と「おかえり」を言ってくれるのが良すぎた。あれだけでルーンファクトリーのすべての恋愛要素を超越しています。
ですのでクリア後にパートナーを選ぶイベントも、私にとっては選択肢はあって無いようなものでした。こういう時は割と直前にセーブ&ロードして他キャラを選んだパターンを見るのですが、今回はそういう気になれませんでした。(後述のアジール君だけ気になりますが…)
パートナーを選んだ時の反応も好きでした。
こういう時普通の恋愛ゲームのヒロインなら告白に驚いて、私にその資格はないと逃げ出して、主人公が探しに行くイベントがありそうなものです。(ルンファクであった気がします)
アリアは手紙が来た時点で主人公の想いを察していて、困惑はあったでしょうが逃げませんでした。
特に好きなセリフが告白の返答の最初に
「どう伝えたらいいかな…」と言うところです。この人に逃げる選択肢はなくて、主人公の真剣な申し出に、誠実に応えようとしてくれています。
「主人公に好意を持っている」ことを伝えたうえで、「違う人類である」「重い責任や決断に巻き込むことになる」ことへの葛藤も正直に伝えています。
このアリアの言葉への返答に「それでもいい」ではなく「だからこそ君を支えたい」という選択肢があったのは素晴らしかったと思います。
一応言っておきますが、私が博士課程出てるから研究者キャラに惹かれるというわけではありません。逆に研究者としては、私はアリアほど探求するものとしての矜持を持っていないので、共感するには少し眩しすぎるといいますか…。
あとアジール君好きでした。
この人も強すぎる。ハーヴェステラの仲間皆強すぎるんですが。
特に印象に残ったのはティエラを殺すシーン。
彼女の意志を汲んで迷いなく殺しました。強すぎる。
普通の物語を描くなら「他に方法はないのか!?」とか「俺にはできない!」と迷いが生じそうです。
ですがアジールは自分の葛藤や未練よりも、ティエラの意志を汲むことを優先しました。ティエラが人間ではなく兵器だと知らされたのもついさっきのことです。心の整理なんてついてないでしょうに。
そしてキャラストーリーでオルテラからティエラのメモリーを渡されるシーン。拒否できるの強すぎる。もう前に進んでるんだこの人は。
あどけない顔と言動と、心の強さのギャップが大きすぎる。
私は恋愛対象女性の成人男性ですが、最後アリアが選べないとしたらアジール君でした。アジールとシュリカと世界守りながら暮らそう。
他のキャラも皆好きでした。まだディアンサスとユニコーンのキャラクエ完了していませんが…。
あと、この作品の2Dの絵柄すごく好みです。スクエニの他のゲームでも見たことあるような…?
総評
久しぶりにゲームやりましたが、ぶっつづけでやって生活に支障きたすくらいにはハマりました。
ゲームとしての出来でいえば上述した通り不満点も多く、万人にお勧めできるゲームではないですが、おそらく私の心にはずっと残るであろう作品した。