2018/1/16 東日本大震災復興プロジェクト: Cafeteria Sakufu×太田ゼミ×学友会「陸前高田の味力」
文学部太田ゼミと現地のコラボ期間限定メニュー、今年も1/23(火)~26(金)学食で再登場!
文学部 太田美帆准教授のゼミでは東日本大震災のあった2011年から岩手県陸前高田市を訪れ、ボランティア活動や地域の人々との交流を行っています。「玉川の学生にも陸前高田のことを知ってもらいたい」という気持ちから、昨年に引き続き、現地の新鮮な食材を生かした期間限定メニューをCafeteria Sakufu(学生食堂)で提供することになりました。学生と現地の人々の思いがこもった美味しいオリジナルメニューです。
左から、石塚香桜さん、柴田義仁さん、岡田美有さん、寺島朱音さん、根本優さん、太田美帆准教授
今年は「鉄板生姜焼き」「スタミナ丼」が登場
昨年は連日大好評で、早々に完売していた「陸前高田の味力」と題したコラボレーション・メニュー。今回は昨年に引き続き大好評だった「わかめラーメン」も再登場します。ゼミ生が浜作業を手伝ったマルテン水産の肉厚なわかめがたっぷり入っています。
「鉄板生姜焼き」「スタミナ丼」は合宿の民泊でお世話になったお宅のご縁で熊谷精肉店 日益屋から取り寄せた地元産の豚肉を使いました。日益屋の豚肉は地元では祝い事に使われる上質なものです。スタミナ丼にはその切り落とし肉がたっぷり入っています。お米は、津波の被害を受けながらもいち早く復活した広田半島営農組合のものを使っています。
試食会の様子
小鉢のりんごも昨年に引き続き民泊でお世話になった菊池司さん・東代子さんから送っていただきました。
「ただ美味しいだけではなく、震災を乗り越えた方々が強い思いを込めて作っているので、作る人の強さ、優しさ、温かさが伝わってきます」と太田ゼミの石塚香桜さん。
「つらい思いや大変な覚悟を乗り越えて作っている肉や米には、生産者のこだわりや思いがたくさん詰まっています。私たちはその思いを伝え、実際に皆さんに食べてもらいたいです」という根本優さんの言葉からも味への自信とメニューへの意気込みが感じられます。
学友会の協力で、限定メニューを利用した学生には陸前高田特産の海産物や精肉の詰め合わせ、りんごやおやき、お米などの食材などが抽選であたるイベントも行われます。また、Cafeteria Sakufu売店では昨年に引き続き「工房めぐ海」の「おやき」を販売します。このおやきの餡には茎帆立とわかめ、りんごを使うなど、三陸ならではの味が楽しめます。
限定メニュー販売期間
2018年1月23日(火)~26日(金)(日替わり)
限定メニュー販売時間:11:00~16:00
※なくなり次第終了
開催場所:玉川大学Cafeteria Sakufu (2階)
メニュー
• 1/23(火)
わかめラーメン(30食)410円
• 1/24(水)
鉄板生姜焼き、りんご小鉢つき(50食)550円 *陸前高田の特産品が当たる抽選を実施
• 1/25(木)
わかめラーメン(30食)410円
• 1/26(金)スタミナ丼(70食)500円 *陸前高田の特産品が当たる抽選を実施
• 1/23~26(4日間)
工房めぐ海のおやき(200円)をSnack Bar Green House(売店)で販売
鉄板生姜焼き
わかめラーメン
スタミナ丼
使用するお米とおやき
今年のテーマは「陸前高田からの贈り物」
「国際協力」や「国際交流」などをテーマに、多様な事例から現状を学び、多角的な文献から分析し、自分なりの考え方の構築に取り組む太田ゼミ。グループワークの機会を通して、学生が相互に教えあい、また、社会人の方々との繋がりからも学んでいます。そして6年間にわたって続いている陸前高田での合宿は学生のスイッチが刺激され、何らかのアクションを起こす場となっています。震災の記憶を今後の防災に生かせるように現地の人々の話の「聞き書き」をはじめ、震災からの復興に自分たちに何ができるかを考え、取り組んでいます。「陸前高田の味力」もその一つです。
浜作業
昨年9月22日~26日の合宿では新たに浜作業を2日間にわたって行いました。4年間海に沈めて育てるホヤ貝の種づくり、海からあげられた牡蠣や養殖用の網の洗浄、牡蠣の配送用資材に賞味期限などの情報記載シートを貼り梱包する作業も行いました。食材を育てるだけではなく、最後の安全を届ける作業にも携わって、生産者の方たちの責任感を感じるとともに、陸前高田の海を盛り上げる思いは一つという気持ちを聞いて、その土地に対する誇りを学びました。
「『工房めぐ海』では発起人の村上さんから、オープンした矢先に震災に遭ったが、多くの周囲の励ましや自身の努力で工房を復活させたという話を聞きました。また、広田半島の営農組合長の臼井剛さんからは、震災も含め苦しい時を乗り越えられたのは、戦後の苦しい時代を知っていたからと聞きました。自分たちが築き上げてきた街が数秒で流されてしまい、『もう今までの生活には戻れないと思った』と言われた時には胸が熱くなり、テレビや新聞でしか知らなかったこととの違いを感じました」と、ゼミ生の根本優さんは振り返ります。
今年度の太田ゼミの学生は比較文化学科最後の学年となり、その後英語教育学科が引き継ぎます。そのため、今年の合宿はこれまでのように3・4年生合同ではなく4年生9人で行われました。
「先輩に頼ることなくゼロから準備しなければなりませんでしたが、私たちが、見たいこと、やりたいこと、学びたいことが全部詰まった充実した時間でした」と寺島朱音さん。
「被災地に行くのは初めてで、太田ゼミに入っていなかったら被災地でボランティアをする機会はなかったかもしれません。震災の恐ろしさや経験した方の話を現地で聞けたのは非常に大きくボランティアに対する考え方が変わりました」と語るのは岡田美有さん。現地での滞在は昨年から民泊になり、今年は4軒のお宅にお世話になりました。
そして、合宿を経験した学生たちが今回のプロジェクトで見出したのは、一人ではなく多くの人たちと協力して、街の特産品を盛り上げることでした。陸前高田の海や山の美しい食材は誰かのことを思う心から生まれたものばかり。‟陸前高田の贈り物”と題し、「陸前高田の味力」のテーマとして掲げました。
「メニューにも昨年同様、民泊や交流などで生まれたご縁がたくさん詰まっています。皆さんにも私たちがいただいたこのご縁を還元したいと考えています」とゼミ長の柴田義仁さんはメニューの意味を語ります。
Cafeteria Sakufuと学友会の支援を糧に
陸前高田の味力期間限定メニューは学生だけでなく、Cafeteria Sakufuや玉川大学・玉川学園学友会 の全面協力のもと実現しました。提供される食材から、素材の味を生かすことはもちろん、栄養価や価格まで深く吟味されたメニューは、学生の好みを知っているCafeteria Sakufuが企画。
学友会との打ち合わせ。中央が石塚さん、左が室井さん
また、このプロジェクトを盛り上げ、より多くの学生に陸前高田のエネルギーを感じてもらうための抽選会の企画や合宿経費の補助などは学友会がサポートしています。
「かねてから学友会でも被災地支援の方法を模索していましたが、太田ゼミの活動を知り、被災地支援とともに在学生の支援にもなる東日本大震災復興支援プロジェクトとして携わっています。太田ゼミの学生たちは企画力・行動力があり、先輩後輩受け継ぎながら続いています。学園の理念とも合う、素晴らしいプロジェクトだと思います」と学友会の石塚靖雄課長も評価します。Cafeteria Sakufu2階の横断幕(冒頭の写真)も学友会から贈られたものです。
現地の人々の本音を聞く
「昨年の合宿では、震災を乗り越えた方々と一緒に浜作業をして、こんなに素晴らしい海があるからここに残りたいと思ったのだと感じました。美味しいものも人々の思いももちろんですが、“人”と“モノ”の相互作用の中に絆があることを学ばせていただきました」と、石塚香桜さん。
「個人的に被災した陸前高田に行っても、観光者の視点でしか見られませんが、合宿ではそこに暮らす人々の本音や思い、考えを聞くことができました。本音を聞かなければ、ここに来た意味がないと思っていました。防潮堤にしても、本当にこの支援が正しいか、この復興が正しいか、いろいろな視点から考えることができるようになりました」と根本優さん。
柴田義仁さんは「復興に向けて頑張っている人もいれば、まだそういう気持ちになれない人もいます。直面した人々には言葉にできないことがあるのだと、少しですがその思いに触れることができました」と合宿の成果を語ります。
東日本大震災は今年の3月で7年がたとうとしています。この震災が風化されることなく、変化していく被災地の現状をゼミ生が受け止めて胸に刻み、一人でも多くの人に伝えていく、それが「陸前高田の味力」プロジェクト。ゼミ生の学び、陸前高田の方々の温かい思いのつまった宝物、そして贈り物となっています。
東日本大震災復興支援プロジェクト「陸前高田の味力~陸前高田からの贈り物」
◆文学部太田ゼミ
• 比較文化学科4年:
石塚香桜 伊藤夏美 岡田美有 柴田義仁 高山玲奈 田中茉友佳 寺島朱音 根本優 由里夏鈴
• 英語教育学科3年:
芦澤輝彦 草野桃子 田村花梨 藤本珠海 正木孝宗 壬生郁実
◆協力
Cafeteria Sakufu 玉川大学・玉川学園学友会
後列左から、壬生郁実さん 正木孝宗さん 芦澤輝彦さん 田村花梨さん 太田美帆准教授
前列左から、藤本珠海さん 草野桃子さん 寺島朱音さん 田中茉友佳さん
出典:玉川大学webサイト