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作品:オニタイジ・システムのご紹介

タイトル:オニタイジ・システム

著者:レッド・ジン様

作品情報

短編(36,499文字)・完結済
ジャンル:ローファンタジー
タグ:R15 ・残酷な描写あり ・天災 ・パワードスーツ ・超人 ・異形 ・特殊能力・ 超能力 ・バトル アクション ・人外 ・女主人公 ・空想科学・ SF ・SFファンタジー

あらすじ

異形の姿に変身し、特殊な力を使うことの出来る人間を「鬼」と呼ぶ。
鬼は様々な犯罪を犯すが不思議なことにただ一ヶ所、花蘇芳市内にだけ続発していた。
鬼に対抗する為、警視庁が取った対策は科学力。パワードスーツを身に纏い事件解決を目的とした対鬼特化の部署を設置した。
そこに配属された主人公とそれをとりまく「人」と「鬼」。
はたして「鬼」の発生の秘密、そして事件の真相とは────

人の心の在り方を近未来的に描いた濃密なストーリー

最終話まで読んだレビューとなります。

この作品は現代日本を舞台にした、それでいて平行世界のような我々の知っている現代日本ではない世界の物語です。
まず私が興味を持ちましたのは、タイトルにあります「オニタイジ」という言葉でした。
日本人には馴染みの深い「鬼退治」という言葉。
そして、それに対する「システム」という言葉。
単純に考えますと「鬼退治をする為のシステム」ということですが、こちらの作品はそんな単純なものではありません。
タイトルからは「鬼」というものに目が行きがちですが、人間の心の弱さや強さ、人情と法律、慈愛と悲哀など相反するものが込められた作品です。

プロローグでは、ある研究所での事件が書かれています。
このプロローグの物語への引き込みと伏線の張り方が大変上手く、本編へと読者を誘う書き方は、作者様のセンスの良さが読み取れます。
世界観の作り込みもしっかりとしており、「鬼」というものは「普段は人と同じであるが異形の姿を持ち、犯罪を犯す者」という位置づけとして描かれています。
その為、「鬼」に対抗する組織として登場する「警視庁の対鬼特化部署」が存在し、そこに配属された一人の女性を主人公として物語は進んで行きます。
「鬼退治」と聞きますと一般的には「人間でない者」というイメージですが、作中に書かれている「鬼」は、人間であることが大変興味深い。
ある者は己の欲望の為に、ある者は自分の意志とは無関係に、そしてまたある者は「鬼」に対抗する為に「鬼の力」を手に入れる。
そして、その「鬼」を生み出している存在の謎が解明されるまでの物語の構成がしっかりとしていて、短編という短い文章の中で少しずつ明らかにされていく「事実」。
物語の流れを構成する力のある作家様なのでしょう。
他作品も読んでみたいと思ってしまう程でした。

パワードスーツ等の近未来的なアイテムが登場する一方、鬼という古来から馴染みのあるキーワード。
超人的な力を持つ「鬼」という存在は、はたしてすべてが悪なのか。

この作品は、「鬼」という存在を通して「人の在り方」というものを考えさせてくれます。

あなたの前に「鬼の力」があった時、あなたならどうしますか?
もし、あなたの隣でいつも笑っていてくれる大切な人が「鬼の力」を持っていたらどうしますか?

是非、皆様もお読みになってみて下さい。
とても考えさせられる作品です。

※「オニタイジ・システム」シリーズと書かれていましたので、続編もあるようです。気になりますね。
※設定や用語資料集もございますので、そちらも併せて読まれると分かりやすいかと思われます。


オニタイジ・システム


設定・用語資料集

作家様情報


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