
心電図検定2級に合格するためには 〜医学部保健学科3年〜
初めまして。ポレポレと申します。
私は某大学の医学部保健学科に所属している3年生です。
2024年12月22日に行われた心電図検定2級の合格にあたり、今回ここに私が合格するまでの軌跡を書いていこうと思います。
これから心電図検定2級を受けようと考えている方の参考になれば幸いです。
1. 勉強を始める前の筆者のレベル
結論から申し上げますと、私は心電図の基本波形(P ,Q ,R ,S ,T波など)の意味する事はおろか、心臓の刺激伝導系についてもほぼ理解していない状態でした。
正直生理学は苦手で、2年生の時に受けた大学のテストもレジュメの波形と対応する疾患などを暗記して乗り越えていたので、その時の勉強で得られた知識は付け焼き刃に過ぎません。
つまり、私は心電図の知識はゼロの状態からスタートしたと言ってもいいでしょう。
2.2級を目指した経緯
2年生の頃、大学の講義の中で、教授が「心電図検定3級なら目指してみてもいいかもしれない」とおっしゃっていたことがきっかけとなり、心電図検定に少し興味を持ちました。
ただしこの時は少し興味を持った程度であり、その年の心電図検定を受けるところまではいきませんでした。
3年生の夏、ふと心電図検定のことを思い出して調べてみると、申し込みがもうすぐ始まるところだったので、軽い気持ちで受けてみようと思い申し込みました。2級にした理由については、3級が学生でも合格できるレベルという認識でしたので、どうせなら他の学生よりも上を目指そうという負けず嫌いな私の性格のためです(笑)。
3. 勉強に使用した教材
勉強に使用した教材は以下の通りです。
①心電図検定2級合格39ステップ
こちらは、そらち先生(https://00m.in/Mlhsr)によって作成された心電図検定2級の対策に特化した教材です。書店などで販売されている参考書のように高額ではないので気軽に購入できると思います。
PDFの資料ですので、スマホやタブレットなどでいつでもどこでも見ることができます。
内容については、心電図を読むための基礎知識から2級で押さえておくべき波形について詳細にわかりやすくまとめられているので、私のようにほぼゼロからのスタートの方には必須の教材です。
2級に合格するための知識はこの教材で十分に賄うことができます。
1級に特化した教材もあるのですが、深く勉強したい方はそちらも購入すると良いと思います。ただし2級でしたらここまでやる必要は無いです。
私は、たこつぼ型心筋症(急性期、亜急性期)や心筋梗塞の責任血管について理解したかったので1級の方も参考にしました。(2級ではここまで問われません)
②心電図の読み方パーフェクトマニュアル―理論と波形パターンで徹底トレーニング!
こちらは心電図を読むための基本事項や、実際の症例の波形を使って判読する際に注目する点や解説が載っています。各症例ごとに、不整脈が起こる原理が図で説明されているのがわかりやすかったです。
波形と疾患を1対1で暗記するのもいいですが、私はどのような原理で不整脈が起こり、波形のどの部分に反映されるのかを理解した上で判読をした方が応用力がつくと考えたので、そこまで深く理解したい方にはおすすめです。
しかし、例えばWPW症候群の分類(A型、B型、C型)やケント束の位置については記載がなかったので、物足りなさを感じるところはありました。
こちらは必須とまでは言わないですが、あると辞書として使うことができますので便利な1冊です。
③心電図マイスターチャンネル
こちらは必ず用いてください。神チャンネルです。
心電図の基礎〜応用まで幅広く学ぶことができ、現役の循環器専門医の方のとてもとてもわかりやすい講義を全て無料で閲覧することができます。
講義だけでなく、問題演習(解説付き)の動画もあり、アウトプットにも用いることができます。
私は、勉強開始から検定直前までこのチャンネルにお世話になりました。
以下、私が勉強に用いた動画を紹介します。
【10日で心電図がよめる⓪〜⑩】
心電図の読み方の手順や症例の解説など、とりあえずこれを見れば大体わかります。インプットには最適です。絶対に観てください。
【心電図10問ドリル day1~10】
心電図検定2級で出題されそうな範囲を本番に近い形式の問題として解くことができます。もちろん解説付きです。
実際の2級レベルに比べると少しオーバーワークな気もしますが、全て観る価値はあります。繰り返し問題演習ができるので心電図の速読力、思考力を養うことができます。
この動画では冒頭に問題が10問出されて、その後に解説という流れなのですが、私は動画の冒頭に出てくる心電図の問題をスクリーンショットで撮影し、iPadで書き込みながら何回も演習しました。
演習する際には、心電図を読む手順通りに見て書き込みをし、口で呟きながら考えていました。こうすることで論理的に考える力が身につきます。根拠を持って論理的に考えられるようになると新規の問題でも応用が効きますし、自信を持って選択肢を選ぶことができるようになりました。
【SVT総論】
【SVTとVTの鑑別方法!実践編!】
SVT(上室性頻脈)とVT(心室頻拍)の原理から鑑別方法まで、この動画でマスターすることができます。昨今の心電図検定では頻脈が重要との話も聞きましたのでおすすめです。
2級ではここまで細かく知らなくても選択肢を選ぶことはできますが、この動画で得られる知識を自分のものにできれば、圧倒的に問題を解くスピードが速くなりますし、2級レベルなら迷うこともなくなります。
この他にもたくさんの動画があり、全て見る価値があります。
私は時間がなかったので観ていないのですが、心筋梗塞や脚ブロックなどの動画も見ておくとさらにレベルアップできると思います。
④心電図検定公式問題集&ガイド
心電図検定を受けるなら必須の問題集です。
心電図検定の問題を作成している日本不整脈心電図学会が出版している書籍で、本番に近い出題形式となっています。
111問と問題数も多く、一つ一つの問題に各級のレベル帯が記載されているので、2級の難易度をある程度把握することができます。問題には解説もついていますが、正直雀の涙程度ですので、これを使ってインプットというよりはアウトプットとして用いるのがいいかもしれません。
私は、ある程度インプットが終わった後(11月上旬))と検定1週間前に演習を行い、合計で2周しました。1周目は89/111、2周目は105/111でした。
⑤1〜2級想定QUEST
心電図検定対策 1〜2級想定QUEST IIがDL期限切れになっていたようなのでUPし直しました!
— T.Hayakawa@EP大学深読み学部 (@tempest_no3) December 12, 2024
パスワードは0903です!
さぁさぁ心電図検定1級の力試しに解いてみてください!
マイスター狙いの方も楽しめる内容になっていますよ。。。笑https://t.co/sHVN8SJB8E pic.twitter.com/qRnflqClvO
Hayakawa先生(https://00m.in/JcZlk)が提供してくださっている、無料でダウンロードできる演習教材です。
正直めちゃくちゃ難しいので、全然解けなくても落ち込む必要は無いです。
ただし、復習がとても勉強になるので余裕のある方はやってみるといいかもしれません。
私は、検定1週間前に解いてみたところ39/50でした。
⑥みんなde心電図
こちらは亀井先生(https://x.com/ryoma0613)が開発された心電図の問題演習ができるアプリです。
心電図の波形から読み取れる疾患を5択から選ぶ方式です。それぞれの問題に詳細な解説が載っており、このアプリでインプット、アウトプットを行うことができます。問題は、各級のレベル別、あるいは分野別に解くことができるようになっています。
私は、机に向かう気力がない時などにひたすらやりまくっていました。
検定直前までには、2級レベルの問題は正答率100%、1級レベルも正答率90%以上を毎回取れるくらいまでにはやり込みました。問題の正誤に関わらず、解説を読みまくるのが大切だと思います。
4. どのように勉強したか
私は8月に申し込みをしてからすぐに勉強を開始したわけではなく、実際には10月中旬から勉強を開始しました。
10月からは病院実習が始まったため、十分な勉強時間を確保するのが難しい日もありました。
以下に私の約2ヶ月間のスケジュール例をまとめてみます。
【平日】
6:00 起床
8:20-17:00 病院実習
18:00 帰宅
-19:00 夕食、お風呂
19:00-23:00 心電図検定の勉強
ざっくりこんな感じですが、毎日この通りにできていたわけではありません。疲れて寝てしまう日がかなりありました。
病院までの移動は自転車でしたので、通学時間に勉強はできなかったです。
夜に4時間勉強していることになっていますが、ずっと集中していたわけではなく、休憩を挟みながらです。
休日は、日曜のみ一日中バイトを入れていましたので、土日合わせて6時間いけばいい方でした。
以上からわかるように、私の勉強開始時点では、知識はほぼゼロ、勉強時間が十分に取れない、検定まで2ヶ月程度しかない、という悲惨な状態でした。
ここから11月に入るまでに
・心電図検定2級合格39ステップ
・心電図の読み方パーフェクトマニュアル
・心電図マイスターチャンネル
・みんなde心電図
を用いてひたすら知識をインプットしました。
11月からは演習用の教材を用いてとにかく数をこなし、できるだけ毎日心電図の問題に触れるようにしました。わからないことがあれば必ず立ち止まって、わかるまでじっくり時間をかけていました。
X(旧Twitter)で、心電図関連のポストをしている方をフォローし、その方達の中には1日1問心電図の問題を挙げてくれる方もいらっしゃったので、そこでも有益な情報を得ることができました。
以上のように勉強を続けた結果、検定当日は迷った問題は数問しかなく、迷ったとしても一応根拠を持って選択肢を選ぶことができました。50問の問題がありましたが、20分程度時間が余り、見直しも十分にできました。
上記の教材の中にオーバーワークだと述べたものがありますが、そこまで手をつけて深く理解したからこそ、思考力・速読力が身につき、それが結果として現れたのだと感じています。
5. おわりに
日本不整脈心電図学会のWebサイトには、各級の説明が書いてあります。
2級は「心電図の中等度〜高度な判読力を有するもの(一般循環器医、循環器勤務ベテランプロフェッショナル)」と説明されており、学生が挑戦するには難易度が高いように感じてしまいます。だって一般循環器医、ベテランプロフェッショナルですよ(笑)。こう書かれると挑戦する側としては、ましてや学生という立場なら躊躇ってしまいますよね。
3級でも「心電図の基礎〜中等度の判読力を有するもの(一般循環器医、循環器勤務メディカルプロフェッショナル)」と説明されており、こちらもハードルが高いように感じてしまいます。ですが、3級は学生でも合格している人が多くいるという話も聞きます。
私が伝えたいことは、ここで定められているレベルというのはあくまで指標であり、このレベル帯に属する職業の人、経験を積んだ人しか合格できないというわけではないのです。学生でも、基礎からしっかり勉強すれば十分合格できる可能性はあります。さらに、最近ではSNSでの心電図検定界隈の盛り上がりも見られ、多くの知識や情報を得ることができますし、心電図の勉強のための参考書も多く出版されていますので、学習するための環境や材料は豊富です。
そして、学生のうちから1級や2級に合格できれば、就活の際に十分に自分の力を証明できる武器となると思います。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。
この記事を読んで、1人でも多くの方が心電図検定に挑戦する後押しとなれば私も嬉しい限りです。