Feb.05.2025
以上の動画は、Travis Barker(トラヴィス・バーカー)のアルバム『Give the Drummer Some(ギヴ・ザ・ドラマー・サム)』の収録曲、Pharrell Williams(ファレル・ウィリアムス)・Lupe Fiasco(ルーペ・フィアスコ)フィーチャリングは『If You Want To(イフ・ユー・ウォント・トゥー)』の一節を、南インドのクラシック音楽「Carnatic music(カルナータカ音楽)」で用いられる打楽器「Kanjira(カンジーラ)」によりカヴァーさせて頂いたものです。
自分がこのカンジーラ・カヴァーの見所だと思う部分は、ラップのパッセージにユニゾンしていた流れから、Chatusram(チャトゥシュラム)*の3分割になったところでドラムセットのようなポジションに一度行き、――今度はそのドラムセット的観点から――ラップへユニゾンし、一緒にメトリック・モジュレーションして、フィルで解決するという構成ないし、その解釈です。
*チャトゥシュラム:カルナータカ音楽において8分音符・16分音符・32分音符などを指す用語。より一般的に説明するなれば、1拍において2つ・4つ・8つのノートが存在するという意味の音楽用語。本動画ないし記事においては16分音符、すなわち1拍において4つのノートが存在するという意味になる。
昨年は2024年4月、南インドにおいてカルナータカ音楽の巨匠、Vidwan TH Vikku Vinayakram(ヴィドワン・TH・ヴィックー・ヴィナヤクラム)氏*、Vidwan V Selvaganesh(V・セルヴァガネーシュ)氏*、Vidwan S Swaminathan(S・スワミナータン)氏*のもとで、半年間のグルクラム*を終え、母国である日本に帰国し、カルナータカ音楽のヴァリサイ*に引き続き取り組みながらも、「ネイティヴ・カルナータカ音楽アーティストとは異なる自己統合の形を見つけなければならない」と強く考えていた中で、最初に思いつき、試みた、カンジーラ・カヴァーです。
*Vidwan TH Vikku Vinayakram:南インド初のグラミー賞受賞者・インド人間国宝、巨匠Ghatam(ガタム)奏者。「Vidwan」は「Maestro(マエストロ)」に該当する南インドで言われる敬称。
*Vidwan V Selvaganesh:Vikku Vinayakram氏の息子さんで、カンジーラ奏者・ワールドクラスのパーカッショニスト。ちょうど筆者が弟子入りさせて頂いていた頃に、お父様が70年代にグラミー賞を受賞されたときに在籍していた、John McLaughlin(ジョン・マクラフリン)氏・Ustad Zakir Hussain(ウスタード・ザキール・フセイン)氏率いるフュージョン・バンド、Shakti(シャクティ)でグラミー賞を受賞されました。余談ですが、――直接お目にかかることは大変残念ながら、いよいよ出来ませんでしたが、――生前のザキール・フセイン氏が私のコンナッコールにコメントを下さったことがありました。ヴィックー氏らの下に弟子入りさせて頂いて一番最初に彼らのツアーに同行させて頂き、ラジャスタンに滞在していた際、セルヴァガネーシュ氏が私のコンナッコールの動画を撮影し、Shaktiのグループ・チャットに送って下さり、その際にザキール・フセイン氏にお褒めの言葉を頂きました。(セルヴァガネーシュ氏から口頭で「褒めてたよ」とお聞きしただけなので、もしかすると毎日緊張してガチガチだった筆者を励ますための優しい嘘だった可能性はあるなと思っていますが⋯⋯(笑))
*Vidwan S Swaminathan:セルヴァガネーシュ氏の息子さん。カルナータカ音楽に留まらず、ワールドワイドに様々なアーティストとのコラボを展開しているスーパー・カンジーラ奏者。ちなみに南インドでは父親の名前が子どもの苗字となるシステムで、S SwaminathanのSはSelvaganeshの略。英語圏向けに「ファーストネーム・ラストネーム」という順列で表記したり名乗ったりしている南インドの方々もおられますが、本来は日本同様「苗字・名前」という順列。
*グルクラム:Gurukulam. インドの伝統的な師弟文化のこと。大まかに言うと、グル(師匠)の家に住み込ませて頂き、四六時中、グルと生活を共にし、グルの気が向いたときに教えを賜るというもの。
*ヴァリサイ:Varisai. 英語に直訳するとSequence. カルナータカ音楽における伝統的な数々の「型」のようなもの。
⋯⋯10ヶ月前の自分のプレイ、今と比較すると全然――主にフィジカルに――稚拙だなと感じますが、この整理の仕方のアイディアは今でも我ながら面白いと思います。
楽しんで頂ければ幸いです。
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ポピュラー・ミュージックのドラマーをはじめ、どんな音楽・どんな楽器においても応用可能な、「南インドのリズム・カルチュアを基盤にした、よりコアなリズム構造理解・思考方法レッスン」 / お子様からご年配の方々まで気軽にご参加いただける「リズムを楽しく深く学習するレクリエーション・プログラム」等を用意しております。また、楽曲のリズミック・アレンジや、カンジーラあるいはドラムセットによる伴奏なども承っております。条件さえ一致すれば国内外どこでも行かせて頂きますし、オンラインでの対応が可能な場合も御座いますので、ご興味のある方は「クリエイターへのお問い合わせ」より、又はEメールは rikuoshimizumusic@gmail.com まで、お気軽にご連絡下さい!(English available.)