ツキイチライブVol.3感想、赤フン姿で踊る推したちが最高にかっこいい

赤フン。
そう、赤い褌(フンドシ)である。

現代では下着と認識されているが本来は仕事着として着用されてきた、日本の伝統的な着衣である。昔の人は褌姿でお出かけもしたし仕事もしていた、ごく普通のファッションだった。いわばユニクロである。(そうか?)
今でもお祭りなどで着用される立派なトラディショナル・スタイルだが、洋服に慣れた現代人がするには少し恥ずかしさが勝るファッションかもしれない。
その赤フン姿できらっきらに歌って踊る……
そんな子たちがいるんですか? そう、いるんです。

この記事は赤フン姿で踊る推したちがあまりにもかっこよくて衝撃を受けたいちオタクによる 
学生コラボプロジェクト”NORDツキイチライブvol.3~ライブは授業で学ぶだけじゃない!ステージで炸裂してるんだ!” 
の配信を見た感想です。



北海道のボーイズ・グループNORD

https://nord-official.jp/より)

メンバー紹介(左から)
安保卓城(あんぼ たくしろ)1997/04/08 25歳
瀧原光 (たきはら ひかる)1997/06/12 24歳
島太星 (しま たいせい) 1998/01/29 24歳
舟木健 (ふなき たける) 2001/08/10 20歳

NORDはノールと読みます。
北海道在住の男子限定オーディション番組『アオタガイ学園』(STV)を経て、2016年に誕生したボーイズグループ。TEAM NACSを有するクリエイティブオフィスキューに所属しています。TEAM NACSを知らなくても、「『水曜どうでしょう』の大泉さんと鈴井さんの事務所」と聞けば分かる人も多いでしょう。
2016年から活動し始めて今年で6年目。8人からスタートしたメンバーのうち4人が卒業し、現在は上記の4人でオフィスキューの社訓である「マルチであれ」を体現するように、テレビやラジオ、舞台にバラエティなどで活躍しています。
特に、最近は島太星くんが全国のバラエティ番組に出演するようになり、北海道以外の地域でも目にする機会が増えてきたのではないでしょうか。自分も道外在住のファンなので、全国番組に島くんが出演するたびにありがてぇありがてぇと思いながら拝見しています。

さて、そんなNORDくんたちは(私が普段「ノールくん」と呼んでいるのでくん付けで呼称していきます)2022年3月よりツキイチライブという、文字通り月に一回ライブを行っています。

本公演は、未来のエンターテインメント業界を担う学生たちとNORDが一緒に作り上げる「ツキイチライブ」です。
新型コロナウイルスの影響により多くの学生が休校やオンライン授業を経験し、友だちが作れない・実践の場を得られないなど多くの悩みを抱えています。
本公演では学生たちが、音響・照明・映像・企画・歌・ダンス・芝居・ヘアメイク・配信など、ライブに関わる全てのセクションを担当します。
プロデューサーは毎月NORDメンバー1人が担当!
今後の北海道エンターテインメントをさらに盛り上げるべく、
“学生の夢を応援”し“北海道のエンタメのチカラ”を届けます!

NORDオフィシャルサイト ツキイチライブ紹介文より


ツキイチライブ Vol.3

2022年5月15日。
配信終わりの画面を見ながら私は完全に放心状態だった。
「なんかすごいやばいもの見た」という感情はあるのだが、それをうまく整理できなかったのだ。とりあえず手元のマグカップに口をつけると、ライブを見ながら飲もうと思っていたコーヒーは手つかずのまますっかり冷めていた。人間、感情のジェットコースターに乗ると飲み物を飲むことも忘れるらしい。
とりあえずその日は大泉さんご出演の鎌倉殿を見て、『呼び出し先生タナカ』での島くんの活躍を喜び、『今夜はNORDナイト』(HBC)を聴いて冒頭の下ネタトークに笑ってから日曜日終わってほしくないな~と思って就寝したのだが、翌朝になってノル友(NORDファンの総称)ではない友人にこんなLINEを送っていた。

必死か。
いや必死だよ。それくらい誰かに見てほしかったんだよ!!!!
友人はすでに布教済みだったこともあり、LINEする前にチケットを購入してくれていました。ありがとう!! ちなみにこの画像のためにアプリを開いたらメッセージの送信時間が朝の6時57分で笑った。早朝じゃん。必死か。(必死だよ!!!!!!!!!)

セットリスト
わすれもの
Dream On
誰よりも君と
(MC)
企画VTR
Sexy 舟木・瀧原
ドライフラワー 島
安保卓城の一分間耐久一発ギャグゲーム 安保
企画VTR
Give Me Your…
超ド級POWER
(MC)
Level Up!
ノル友の唄

学生コラボプロジェクト”NORDツキイチライブvol.3~ライブは授業で学ぶだけじゃない!ステージで炸裂してるんだ!"より

Vol.3のプロデューサーは島太星くん。
テーマは「天と地、見せてやる」。
島くんといえばド天然なキャラクターと斜め上の発想で知られており、テーマの時点でもう既になにが起きるのかわからない不穏さがあるものの、島くんの単独ラジオ番組(『島太星のぽっぷんアイランド』STV)を聴いていると天然なだけなくとてもクレバーな一面がある子だなあと思っていたのでワクワクしながら待機していた。
アカペラと専門学生さんたちのコーラスから始まった冒頭3曲はしっとりとした「聴かせる」歌声で、思わず聴き惚れてしまうほど。個人的に、NORDくんたちは四人とも歌声のタイプが違うと思っているので、四人の声をしっかり聴くことのできるアカペラがすごく良かった。要所で光くんが上ハモでハモっているのがまた良い。歌うことに対して真摯で真剣な島くんらしい構成だなあと感じました。

MCはテーマの紹介と舞台の装飾について。
「天と地」は「天国と地獄」ということらしく、天国をモチーフにした装飾の翼をつけて「見て~! エンジェルだよ!」とひとボケする島くん。ボケではあるのですがめちゃくちゃ可愛かったので紛れもなくエンジェルだよ! と思っていると、「お前らは人間のクズだ^^」と突然地獄側に。なんで??
その後の「リンゴくれ、リンゴ」から「デ〇ノートですか?」と当てた光くんに付き合いの長さを感じつつ(羽→デ〇ノートのリューク→リンゴなんだろうけどよく咄嗟に思いついたな……)、一曲目の『わすれもの』を「悲しい曲」と言った健くんをいじって「まあ人それぞれってことですよね。人によってなにが天国なのか地獄なのか。今回のライブも人によっては地獄じゃなくて天国かもしれませんしね」とまとめる卓城くんがさすがでした。

曲フリを兼ねた企画VTR。
舟木・瀧原ペアは健くんがウェストサイド物語のような謎のアメリカン・コントの最中にマウスピースを外すという自由っぷりと、その隣で我慢できずに笑っている光くん、入り込む島くんの「カッカッカッ」という引き笑いという、どこからツッコんんだらいいのかわからない状況なのですが、ファンとしては「君たちはそのままでいてくれ……」と温かく見守りたくなってしまうのが不思議。
個人的には「フェラーリみたいに」「ブンブンブンブン」「蜂が飛ぶって感じで」がツボでした。
もっとも、笑っていられたのはここまで。
こんな面白VTRから、あんなセクシーなSexyがお出しされるとは思わないじゃないですか……!!!!!!

もともとは健くんと卒業したメンバーの方との楽曲、2018年のZeppライブが初披露だったそうです。
若干チープなキラキラの金色衣装で登場した舟木・瀧原ペアによるキレッキレの絡み合うようなペアダンス、最初からご本人の楽曲なのでは? と思ってしまうほどテクノ調の曲にマッチする光くんの安定した歌声。そしてなにより、2018年のライブではまだ十代だった健くんが、成長して身に着けた色気と魅せ方。ハーフアップの髪型だけでもビジュアルが良いな~と思ってたのに、曲の途中で衣装の前ボタン全部開けるとかそんなテクニックをどこで覚えたのか。照明の落ちた舞台に浮かび上がるシルエットがね、もう絵画なのよ。もしくは彫刻。オルセー美術館に飾られていてもおかしくない。

この記事を読んでくれているあなた、本当に頼むから舟木健くんのSexyを見てくれ!!!!!!!!!!!!!チケット代払うから!!!!!!アーカイブがあるうちに頼む!!!!!!!!!!!本当に最年少なの!?!!?二十歳!?!!二十歳が末恐ろし過ぎる!!!!!!!!!!!!!!!!

と、この時点で私の感情はかなりしっちゃかめっちゃかになりつつ、続いての島くんと学生さんのギターによる、優里の『ドライフラワー』。

島くんの個人YouTubeチャンネル『たいせいはぼく』でも披露されており、今回のライブでも圧巻の歌声でした。

ラジオなどを聴いていると、島くんは歌うことに対して本当に真剣に向き合ってるんだなと思うことが多々あります。多忙なスケジュールの中、披露する歌を何曲も頭に入れたり、人より歌詞を覚えるのに時間がかかるからと何度も繰り返し歌いこんだり。歌うことに対しての努力を惜しまない。
技術的なことはもちろんですが、歌に対する島くんのその姿勢が人の心に届く歌声になるのかなあ、などと思いながらオタクはじんわりと聴き惚れていました。

ここまで、ダンス・歌とそれぞれの得意分野でカッコイイ姿を見せてくれたNORDくんたちですが、最後のメンバー卓城くんによるパフォーマンスはまさかの一分間耐久一発ギャグゲーム。 言い忘れていたが、私はNORDくん箱推しの中でも卓城くんが最推しなので「君もかっこいいパフォーマンスしてくれてもいいんだよ……」と若干思いつつ、笛を咥えて座る島くん・健くん・光くんという、この時点でもうちょっと面白いシュールな図に笑いを堪え、卓城くんがスベりまくったらどうしよう……とドキドキしていた。けれど、そんな心配は杞憂だった。
しれっとした雰囲気で再登場するギター担当の学生さん、笑いを我慢しなきゃいけないゲームなのに卓城くん登場前に笑いだす3人、長渕剛のモノマネで登場して菅田将暉の『虹』を歌う卓城くん(改めて情報量が多いな……)、しかもギターは持ってるけど君は弾かんのかい! 学生さんが弾くんかい! 気持ちよさそうに立ち上がる学生さん! 膝から笑い崩れる健くん! ピーピー笛で会話する3人! 途中ちょっと歌詞がわやわやになりながらサビまで歌う長渕卓城!! 
……もはやどこからツッコんだらいいのかわからないパフォーマンスタイムを終え捌けていく4人を眺めながら、お腹を抱えて笑い崩れていた。誰だ、スベったらどうしようとか思ってた奴。私か。今すぐ卓城くんに謝ったほうがいい。めちゃくちゃ面白かった。それにしたって、かっこいいからの落差がすごい。 すごい、が、これがいいんだよなあと改めて思った。
正直、かっこいいパフォーマンスであれば、NORDくんより実力も技術もある魅力的なグループはたくさんいる。いるけれど、それだけじゃない。この絶妙な笑いの緩急がNORDくんの魅力だし、今回その笑いの中核を担っていた卓城くんは最高に輝いていた。
そしてなにより、ダンス・歌・笑い、とメンバーの得意分野を最大限に活かしながら、観客を飽きさせず、魅せる構成にしている島プロデューサーの手腕が素晴らしかった。


赤フンで踊る潔さ

一発ギャグ耐久ゲームで笑いを我慢できなかった3人に用意された罰ゲーム。それが冒頭で語った、赤フン一丁でのパフォーマンスである。

想像してみてほしい。さっきまでバッチバチにかっこよくて面白かった推したちが赤フン姿で再登場するのを。
しかもご本人たちに一切の照れも躊躇もない。これが最高にカッコイイと信じて疑わない顔で歌い踊るのである。こうなると、むしろ服を着ている方がおかしいのでは? という気になってくるから不思議だ。唯一、罰ゲームを逃れて本来の衣装であるセットアップ姿で登場した卓城くんが逆に面白く、チラチラと赤フン姿の他3人を気にしているのがまた笑いを誘う。
赤フン姿の3人も「赤フン」という衣装(衣装?)を最大限に活かしたパフォーマンスを見せてくれる。二の腕の筋肉を見せつけてくる光くん、決め顔で赤フンを上下する健くん、細見なのにムキムキポーズをきめる島くんと、赤フン姿で登場した衝撃から回復する暇もなく、なんだかもう面白くてしょうがない。
赤フン姿での一曲目『Give Me Your…』のラップ前、とうとう卓城くんが舞台袖へと走って捌けていく。その後ろ姿はさながら昭和のギャグ漫画である。赤塚不二夫漫画の登場人物かと思った。ちなみに私はここのシーンが今回のライブの個人的ハイライトだ。めちゃくちゃ好き。
そういう構成であることは察せられるが、ここで3人が「え?」みたいな表情をしているのがまた素晴らしい。その後、健くんのラップパートの入りに合わせて、同じく赤フン姿になった卓城くんが軽快なステップを踏みながら飛び出してくる。見ている方もテンションは最高潮だ。歌いながらちょっと笑ってしまっている健くんも、お腹を抱えて笑ってしまい踊れなくなっている島くんも最高に面白い。見事、四人揃った赤フン姿で二曲歌って踊り切った。その姿は最高にかっこよかった。

どうして赤フン姿をかっこいいと思ったのか。
見た目は正直かなり愉快だ。お笑い芸人の古典芸さながらである。それでも私はかっこいいと思った。彼らのエンターテイメントに対する潔い姿勢が、とても輝いて見えたのだ。
プロデューサーの島くんはライブ前のラジオでこんな風に語っている。

結構、これ(ツキイチライブ)やるにいたって、天国の方はメンバーいいねってなったんだけど、地獄の方はもしかしたらメンバー嫌なんじゃないかなと思って。考えてるときに「大丈夫かな」と思ってメンバーに相談したところ「いやいやNORDはなんでもやるよ」ということで。ああ、ありがたいなということでね。

島太星のぽっぷんアイランド 2022/05/14放送回より

「赤フンで歌って踊ろう」と持ち掛けた島プロデューサーもすごいが、それを「なんでもやるよ」と受け止めたメンバーもすごい。
王道アイドル路線からは外れているし、黄色い声でキャーキャー言われるようなパフォーマンスでもない(違う意味ではキャーキャー言われそうだが)。それでも彼らは面白いと思って赤フンになったし、実際めちゃくちゃ面白かった。
彼らのエンタメに対する姿勢は、先輩たちから受け継がれたものでもあるのかなと思う。大先輩であるTEAM NACSの皆さんも、俳優という本職でありながら活躍の場は幅広く、それでいて、北海道では毎週深夜番組(『ハナタレナックス』HTB)でバカバカしい姿を見せてくれている。
面白いと思ったらやっちゃう、とよく大泉さんが語るように、NORDくんたちも「面白いと思ったからやっちゃった」のだろう。その「やっちゃう」は軽いノリであっても、物凄く難しいのだが。
アカペラの歌唱やバリバリに歌って踊る「決めるところは決める」という、努力に裏打ちされた姿があるからこそ、舞台上で赤フンで踊るという「外し」がすごく効いてくる。しかも赤フンで踊るキレもまた良いのである。そんなの面白くないわけがない。

この「決めるところは決めて、外すところは外す」という緩急がNORDくんの魅力なのだと、個人的には思っている。前述した通り、かっこいいグループは他にもたくさんいる。ジャニーズであったり、海外アーティストであったり、他のボーイズ・グループであったり。彼らがわちゃわちゃしてる姿だって面白いし可愛いと思う。けれどその中で、赤フンで踊るという選択をするグループがいくつあるだろう。もちろん、王道のカッコイイ姿がいいという人もいるだろうが、「次はなにを見せてくれるのだろう」と思えるNORDくんのワクワク感にハマる人間だって絶対にいるのだ。


と、同時にちょっと気を付けたいと思ったこと

赤フン姿で踊る推したちはめちゃくちゃかっこいいと感じた。と、同時に考えたことがある。「ほぼ全裸に近い状態の男の子たちが歌い踊る姿を笑うのは性的搾取ではないか?」と。今回の場合に限って言えば、「本人たちの提案によるもの」「かっこよく歌って踊ったあとに赤フン姿になるという”落差”による笑い」というライブ演出のコンテクストの中でのことなので性的搾取には当たらないのかな……という結論を出した。ただ、ファン側がちょっと暴走したらセクハラめいた事態になるので、それは受け手が気を付けないといけないことだよなあと考えている。日本の映画界でもようやく性的搾取の問題が取り沙汰されるようになり(『ハザード・ランプ』が公開中止になってしまった苦さを、この記事を読んでいる方なら覚えていると思う。公開中止で然るべきだとは思っているが)、エンタメが好きだからこそ、自分が加害側に加担していないか問いかける気持ちは、頭の片隅に置いておきたい。


次回、ツキイチライブVol.4

そんなワクワク楽しいツキイチライブVol.3のアーカイブは5/22に終わってしまうのである。ツラい……頼むから円盤にしてほしい……配信はまだ購入できます……!

だが安心してほしい! 次回、ツキイチライブVol.4は2022/06/04、現地チケットは完売済みですが、配信チケットがあります!!

しかも次回の演目は舟木健プロデューサーによるお芝居!!
以前、ラジオで光くんが「NORDでお芝居するなら健が書くのかな」と言っておりとても楽しみにしていただけに、こんなに早く実現してくれるとはとそわそわしています……
そして延期となっていたツキイチライブVol.2安保卓城プロデューサーによる「タクシロパラダイス」(テーマから内容がまったく想像できない)は2022/06/26開催予定。こちらも配信チケットがございます。

とにかくエンタメに対して潔いNORDがかっこいい、NORDのライブはワクワクして楽しい、という気持ちを消化したくて思っていたことを書き連ねたのでなんだかまとまりがない文章になってしまったけれど、まあいちオタクによる日記なので許してほしい。
最後に、ツキイチライブ後のめちゃくちゃ良い写真を。

良い写真だな~~。

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