早口【12/4】
私はグレムリンを加速させる。グレムリンの推進力は無限に等しいエネルギーから無尽蔵に出力される。呼び方はいろいろだが、私の勢力では「パルス・ブースト・ドライブ」というやつで……ああ、また悪い癖だ。要するに、休み休みなら永久に加速できるというわけだ
推進力は主にブースターから得られるが、車輪というジャイロから、あるいは反重力めいた飛行装置から得られることもある。単に、グレムリンの脚というものは海面を蹴って推進できる。いま私がやっているように
私は海面を蹴る。グレムリンの身体はばねのように躍動し、前へ、前へと進む。ところが、これはまだ加速ではない。加速というのは……パルス・ブースト・ドライブというのは単なる推進力ではないからだ
私は硬質ダガーを起動させる。これが、私をどこまでも加速させる。不思議に思うかもしれない。ブースターでも、車輪でも、飛行機でも、脚でもない。ただの短剣。これが、敵を捉えたとき。その瞬間が、私を奮い立たせる
ゼロ・ハイフリークエンシー・パルス・サーチレーダーが敵の姿を捉える。これがまた最高なんだ。ゼロ・パルス・ギミックと呼ばれる零力差の観測を利用したレーダーで……ああ、また私の悪い癖だ。要するに、グレムリンは敵を見つけたわけだ
私は硬質ダガーを起動させる。次の瞬間、機体が””加速””する。ああ、この瞬間だよ。パルス・ブーストが機体の隅々まで行きわたるのを感じる!
グレムリンの機体が””活性化””する! ご存じの通り、グレムリンのエネルギー系である電力線に添えられたパルス線というワイヤーにパルス・ブーストがかかり、上質で高圧なパルスがグレムリンの末端まで行きわたる!
見たまえ……グレムリンがまるで喜びを得たかのように跳躍し、敵に肉薄。硬質ダガーが敵を切り裂く! ごらんよ。未識別機動体が、その性能を発揮する間もなく海に沈むのを……圧巻だよ
私は、どこまでもグレムリンを加速させる。それこそが私の見つけた喜びだ。パルス・ブースト・タイミング・エクストラギミック……PBTEGと言えばわかるだろうか。パルス線に行きわたったパルス・ブーストが連鎖的にグレムリンの各種兵装を目覚めさせる。左手のパルス砲が目覚め、システムを起動させる! ああ! 聞こえるだろう、この大型ボイラーの高鳴りが! この大型ボイラーが傑作なんだ! パルス・ブースト・ボイル・ストレングス……パルス・ブーストによって還元されたパルス・パワーがボイラーの内圧を上げることで、上質なストレングス・ギフトを実現するんだ! ははは! 見たか! ストレングス・ギフトによって全兵装に喜びが満ち溢れている! これは殺意か? 狂気か? いや違う、この破壊こそが、私の――