令和の総力戦研究所立ち上げを望む
今日はコートなしで出社。単にコートを羽織る時間を惜しんだだけです。玄関のコート掛けからコートを手に取って羽織ってから前を留め、鞄を持つと30秒程度掛かります。ギリで電車に間に合い、会社に遅刻せずに着くことができました。
さて、……。
今年度上期の朝ドラ「虎に翼」で取り上げられたことでも注目を集めた総力戦研究所。日米関係が緊迫の度を増す中、日本の知能を集めたメンバーが「日米もし戦わばどうなるか」の研究を行った。
1941年8月下旬に当時の近衛首相、東條英機陸相以下政府・軍部要人に報告されたその研究予測は以下の通り。
なお、この報告が行われた当時、原子爆弾はまだなかったから想定されていない。それでも、見事に戦争の行方を見通した能力の高さは驚嘆に値する。
残念だったのは、この報告を受けた側の受け止め態度。結局、ほぼ机上の空論扱いでまともに受け止めなかった。この報告から約3ヶ月後に日本は真珠湾を攻撃、太平洋戦争に突入することになった。その後どうなったかはご高承の通り。
本稿はこの過去の蹉跌を踏まえてはいるが、当時の為政者批判が目的ではない。もちろん国の方針を誤ったのは間違いなく、現実に存在しない希望的可能性よりも目の前に提示された理屈を理性で判断すべきだったとは思うけれど。
明治維新以降、日清・日露・第一次大戦と勝つ側に居続けたことで、負ける現実感を抱けなくなっていた。これは当時の正常性バイアスが働いたとも言える。
私がこの先例から思うのは、多くの知見を持つ優秀な人を多数集めて将来を見通す研究を、今一度やってみてはどうかということ。なお、研究の対象はどこかの国との戦争でないことは言うまでもない。
昨今の国の議論を見ていると、個別のテーマに偏り過ぎのように感じる。太い幹が立っていないから個別テーマの話をしても全体の中での位置付けがハッキリせず、議論が深まらない。
例えば103万円の壁についても、財源はどうするんだという反対意見が出てきている。その原因も幹がしっかりしていないから。言っちゃ悪いがバックに知恵袋のない小政党に、国全体の得失を包含する政策立案を求めるのは酷だと考える。
これまで日本の経済成長が、長期低迷してきたことは論を待たない。他国はなぜそうならなかったのか、そして他国はなぜ特定分野にお金を掛けられるのか、賃上げができるのか等を根本から解き明かし、日本の進むべき道を示すような研究成果が得られるなら、それなりの負担はしてもよいと思っている。
そういう未来を示さずに、増税・社会保障費増ばかりなのが現状。もはや手遅れかも知れないけど、このまま座して死を待つべきではない。
お読み頂き、ありがとうございました。