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「胃袋を掴む」って?

今日は朝から晴れました。でも、気温は低めでしたね。冬型の気圧配置が強まっているのが原因だと言われており、やむを得ないとは思います。温かくしてお過ごし下さい。

さて、……。

標題の表現については、率直におかしいと思っている。この言葉は「好きな異性(大抵は男性)の気持ちをつなぎ留めるためには、美味しい食べ物を作って食べさせるのが効果的である」ことを表現する言葉として使われることが多い。

この手の話題だと、今回の本筋ではないがジェンダー議論を持ち出される可能性がある。料理は女性だけがするものではないとの主張がなされることになるが、それは全くagreeである。

私自身、貧乏学生時代から庖丁を手に取ることは少なからずあった。凝ったものは無理だけど、それでも私が作ったコーンスープで結婚前の妻に感心されたことがある。もっとも「胃袋を掴んだ」かは謎。ただ男女どちらであっても、調理の腕前は磨いておいて損はないと申し上げる。

マズいものを食べさせられて喜ぶ人は、世の中にあまりいない。これはおそらく人類普遍の原理だと思う。美味いものを食べれば気持ちが高揚し、幸せな気分になれるのだから当然である。

そういう私が「胃袋を掴む」という表現をおかしいと思うのは、極めて単純な理由である。「あなたは、胃袋で味わっているのですか?」ということ。

当たり前過ぎることを言うが、美味しいものは舌で味わう。強いて加えるならそれに歯触り、鼻腔に広がる香り、喉を通過する時の喉ごし、更に飲み込んだ後の後味までがセットになるのだろうけど、胃袋で味わう人はいないはず。

逆に考えれば、胃袋に入りさえすれば何でもよい、お握り3つでも十分で味付けなどどうでもよい人がいたとして(実際、少数だけどいる)、そういう人にお握りを提供することについて「胃袋を掴む」とは表現しないだろう。

或いは見方を変えて、食事という行為を一連のものとして捉え、美味しいものだからこそ喜んで食べて胃袋に収まってゆくという理解も成り立つ。それでも、やはり「胃袋を掴む」という表現が適切なのかはやはり疑問。少なくとも最適ではない。

なお、もし本当に胃袋を掴まれた感覚を体験したいとお考えならば、魚介類の寄生虫のアニキサスを取り除かずに食べてしまうと、胃に取り付いて「胃袋を掴まれるような」激痛に苦しむことになるそうな。もちろん全くお勧めはしない。

私も未経験だけど、一生経験したくないのは言うまでもない。そして、最悪命の危険すらある寄生虫に関する表現に近い言い回しは、やはり不適切であろう。素直に「心を掴む」でよいのではなかろうか。

お読み頂き、ありがとうございました。

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辻六道🥚
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