ストロングや濃い味が流行る時代に感じること
今日は、薄曇りから晴天に変わり、初夏の雰囲気が漂いました。しかし、東京の明日の予報は、午後から雨とのこと。一応台風一過なのですが、一時ほど気温も上がらないようです。
さて、……
最近大丈夫かと感じていることとして、強い刺激や分かりやすい味覚を売りにした商品が増えてきている状況がある。激辛商品や缶チューハイのストロングシリーズは典型例。
それ以外にも、濃いめ、濃厚〇〇、△倍濃い味等と銘打った商品が目に付く。総じてハッキリ分かりやすい味付けの商品が増えているのは、間違いない。
でも、これってどうなのだろうかと危惧している。
日本料理は、優美な盛り付けと繊細な味付けが売りだったはず。微かな旨味を引き出す技法が数多く編み出され、それが料理の世界で伝承されてきているものと認識している。
人工調味料については自然の味のバランスを崩すものとの受け止めがなされ、多少の使用はともかく多用は基本的に不可とされていたはず。
この流れからすれば、強い刺激や濃厚一辺倒の味付けは、本来の日本の食文化に対するアンチテーゼであるように感じられるのだけど、これは間違っているだろうか。
言い換えるなら、世間の皆さんは微かな味の違いを自らの味覚で感じ取ろうという意欲を失い、ただ目の前のわかりやすさを求めているのではないかと感じられるのだ。
そして、もしもただ強い刺激や味の分かりやすさを求めているのだとしたら、その原因は何であろうか。
私見であるが、長い不況やコロナ禍による先行き不透明によって、昔よりも皆さんのストレスが増えているのは確か。それ故に精神的な疲労も蓄積している。この状況から私が思いつく仮説は、以下の3つ。
まず、疲労を払拭すべく強い刺激を得て覚醒したい意識があるのではないか。
次に、疲れているのだから、味を探るような余力はない。神経を研ぎ澄まさなくても分かるものが欲しいのではないか。
最後に、アルコールについては手っ取り早く酔えればそれで良いという刹那感に身を任せる人が増えたのではないか。
1.はともかく、2.3.は明らかに食文化の担い手として後退している印象を受ける。日本文化の担い手としてどうかとも思う。しかし、これを改められるのかと問われたら、難しいと答えるしかない。
海原雄山は「美味しんぼ」という漫画のキャラクターではあるものの、彼が今の「ストロング」や「濃い味」全盛状況についてどのようなコメントをするのかは、半分想像できつつも知りたい気がする。
お読み頂き、ありがとうございました。